反抗期のない、手のかからない娘
現在29歳になる長女は、反抗期らしい時期もなく育ちました。親の言うことをよく聞く、手のかからない娘で、義母の介護や下の子どもの世話まで手伝ってくれていたのです。中学受験でも第一志望に合格し、その後は大学院まで進学しました。
大学生になってからも、2人でお酒のイベントに出かけるなど、楽しく過ごしていた時期がありました。私はこのままずっと娘と穏やかな関係でいられるのだと思っていました。
就職活動を境に、娘との距離が広がって
ところが、就職活動のころから娘の自己主張が強くなっていきました。就職先は地元から離れた地域に決め、さらに2年後には、私たちに十分な相談がないまま転職もしていました。
婚約のあいさつに彼氏を連れてきたこともありましたが、その後、相手の方がPTSD(心的外傷後ストレス障害/強い精神的ショックを受けた後に、その経験がフラッシュバックしたり不安や不眠が続いたりする状態)を発症し、破談になってしまいました。
その出来事から、娘との距離はさらに広がっていったように感じています。それ以来、盆も正月も帰省しなくなり、家族のグループLINEからも抜けてしまいました。連絡を取ろうとしても、思うようにはつながりません。
あんなに手のかからなかった娘が、今はまるで遅れてきた反抗期の真っただ中にいるように、私には感じられるのです。
小さいころに出せなかった思い
私は、娘に小さいころ反抗期らしい時期がなかったことが、今の変化につながっているのではないかと思うことがあります。あのころは良い子でいてくれた分、自分の気持ちを抑え込んできたのかもしれません。今では、娘から私は「毒親」だと思われているのかもしれないとも感じています。
本当のところはわかりません。それでも、親としては、あのころの穏やかな関係に戻れないことが寂しく、戸惑いばかりが残っています。
まとめ
「手のかからない良い子」だったとしても、心の中では葛藤を抱えていたのかもしれません。大人になってからの変化は、娘が自分自身の人生を歩み始めたサインとも感じています。親として今の距離感を否定せず、一歩引いて見守る勇気を持つことが、新たな関係を築く第一歩になるのだと気付かされました。
医師による解説:大人に現れる「遅れた反抗期」の心理
小さいころに「良い子」だった子どもが、大人になってから親を拒絶する背景には、成長過程で抑え込まれた自己主張の回復という、重要な心理的プロセスが潜んでいることも少なくありません。
「良い子」という役割が、自己抑制の限界に
子ども時代に反抗期がなかったのは、親を助けたい、期待に応えたいというやさしさから、自分の感情を無意識に封じ込めていた可能性があります。大人になり精神的な自立が進む中で、当時出せなかった「本当の自分」を確立しようとする反動が、今、強い拒絶として現れていると考えられます。
親との距離を置くことが、自立の一助となる場合も
連絡を絶つ、グループLINEを抜けるといった行動は、親から見ればショックですが、娘さんにとっては必要な「心理的離乳」の試みかもしれません。一度強く突き放すことで、親の影響下から脱し、一人の大人としての自己を再定義しようとしている、自立のための通過儀礼とも捉えられます。
「見守る」ことが、将来的な関係修復の鍵に
「毒親」という言葉に過敏になりすぎる必要はないかもしれません。娘さんが今、親と距離を置くことで心のバランスを保っているなら、親側もそれを受け入れ、追いかけずに一歩引いて見守ることが大切です。適切な距離を保ち続けることが、将来、お互いを一人の大人として尊重し合える新たな関係性へとつながるきっかけになることが期待されます。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修:松澤美愛先生(神谷町カリスメンタルクリニック院長)
著者:川本香織/50代女性・会社員
イラスト:アゲちゃん
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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