過干渉な義両親と見て見ぬふりの夫
結婚してからというもの、私は義両親の過干渉に苦しんでいました。息子離れができていない義母は、私の家事のやり方が気に入らないらしく、週末のたびにアポなしでわが家を訪れては「掃除が行き届いていない」「料理の味が薄い」と小言を繰り返すのです。
困り果てて夫に相談しても、「親の言うことなんだから聞き流せばいいじゃないか。嫁姑なんてそんなもんだろ」と他人事で、私を守ろうとはしてくれません。
頼りにならない夫に愛想が尽き、私は「このままの状況が続くなら、離婚も考える」と夫に宣言しました。
焦った夫は平謝りし、「これからは俺が間に入って、母さんたちにもきちんと言い聞かせるから。今夜は仲直りにおいしいものでも食べに行こう」と提案してきました。
騙されて連れ出された食事会
夫に連れられて向かったのは、隣町にある地元で評判のいいフレンチレストランでした。実は、私の実家が昔からお祝い事のたびによく利用している、顔なじみのお店です。夫なりに気を使ってくれたのかと思いながら席に案内されると、個室には見慣れた顔が……。義両親の姿があったのです。
事態が飲み込めずにいると、夫がバツの悪そうな顔で言いました。
「父さんの友人夫婦たちとの食事会なんだけど、母さんが絶対にお前も連れて来いって言うから……騙すみたいになってごめんな」
義父の友人夫婦が2組来るそうですが、まだ到着していないようでした。すぐにでもその場から帰りたいと思いましたが、夫に促され、私は仕方なく一緒に個室へ入りました。しかし、案内された部屋には椅子が7脚しかありません。私たちは8人なので、1人分足りないのです。
私がスタッフを呼び、椅子を持ってきてもらおうとした瞬間、義母が笑いながら言ったのです。
「今日はね、7人で予約してるのよ。お友だちが来たら、椅子が足りないから、あなたは、別のテーブルに座りなさいね。嫁は家族じゃないものね」
私はあぜんとするしかありませんでした。夫もオロオロするばかりで反論してくれません。私は促されるまま、個室の外の一般席にひとりで座ることになりました。
友人たちの前で義両親が赤面
惨めな気持ちでポツンと座っていると、「どうしたんだ、こんなところでひとりで」と声をかけられました。驚いて顔を上げると、そこには私の祖父の姿が。祖父はこの店の常連で、この日も友人たちと食事に来ていたのです。
事情を話すと、祖父の顔つきがスッと変わりました。祖父はスタッフにひと言、断りを入れると、足早に義両親のいる個室へ向かい、ドアを開けました。
「突然申し訳ありません。孫がいつもお世話になっております」
祖父は、到着していた義父の友人夫婦たちに向かってにこやかにあいさつしたあと、義両親に向き直って言いました。
「こちらでは孫の席をご用意いただけないようですので、孫は私が連れて帰りますね」
事情を知らない友人夫婦たちは「えっ、お嫁さんを外の席に座らせていたの?」と驚いた顔で義両親を見つめました。自分たちの意地悪が露呈し、義両親は顔を真っ赤にしてうつむいていました。
「いや、あの、これは……!」と慌てて弁解しようとする義母をよそに、祖父は「では、失礼いたします」と一礼してドアを閉めました。私は夫に「もう無理です」とだけメッセージを送り、祖父たちと一緒に店を出て、そのまま実家へ帰りました。
その後、夫からは何度も謝罪の連絡が来ましたが、私が一番つらいときに守ってくれなかった夫への信頼は完全になくなりました。現在、私は離婚に向けた話し合いを進めています。
◇ ◇ ◇
パートナーが理不尽な状況で困っているときに守ろうとしない態度は、相手の信頼を根本から破壊してしまいます。家族間のトラブルにおいて、見て見ぬふりをすることは何の解決にもなりません。もし自分のパートナーが家族との関係で苦しんでいたら、真っ先に味方になり、一緒に解決策を考えていく姿勢を持ちたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。