胸のへこみに気付いた日
その日は、友人と、自宅でお茶をする約束をしていました。身支度をしようと鏡の前に立ち、何げなく汗を拭いていたときです。右胸に、小さなへこみがあることに気付きました。
「あれ? 何でへこんでいるんだろう」
膨らむならまだしも、へこんでいる胸の一部分。痛みもかゆみもなく、赤くもなっていませんでした。一瞬不安になり触れてみましたが、しこりはありませんでした。
そのときは、寝たときに跡がついたかな、と思いましたが気になって、安心するためにネット検索をしました。
すると出てきたのは、「乳腺科を受診」という言葉でした。まさかと思いながらクリニックを受診し、エコー検査をすると、結果は「グレー」。判断がつきにくいというものでした。
「はっきりさせるには、大きい病院で詳しい検査を」という医師の言葉に頭の中が真っ白になり、涙をこらえるのがやっとでした。
でもこのとき、私はまだ「本当のこと」をわかっていませんでした。
「しこりがないから大丈夫」は違った
翌週、紹介された病院で精密検査を受けました。
主治医の先生は開口一番、「乳がんです」と告げました。「詳しくは聞かされていなかったでしょう」そう続けられ、紹介状にはすでに乳がんが疑われる内容が記載されていたことも知りました。
私のがんは「浸潤性小葉がん(しんじゅんせいしょうようがん/乳腺の小葉に発生する乳がんの一種)」と説明を受けました。
「しこりとして触れにくく、広がるように存在することがある」
「ビー玉を握って手を開いたときに、四方に散る(細かく広がっている)ようなイメージ」
その説明が、強く印象に残っています。
さらに、治療についての説明もあり、乳房全摘術になる可能性があると告げられました。思っていたよりも重い状況に、どこか現実感がありませんでした。そのとき初めて、「しこりがなければ大丈夫」という思い込みは、完全に崩れました。
気付きにくいからこそ、大切にしたい習慣
私はそれまで、健康には自信がありました。だからこそ、「自分は大丈夫」とどこかで思い込んでいたのだと思います。
ですが乳がんにもさまざまなタイプがあり、気付きにくいものもあると知りました。
私の場合は、しこりとして触れにくいタイプで、「触ってもわかりにくい」ことがあるようです。だからこそ、検診だけでなく、日ごろから自分の体をきちんと見ることが大切だと感じています。
実は私は、入浴前にコンタクトを外してしまう習慣があり、自分の胸をしっかり見ることがほとんどありませんでした。もしもう少し意識して見ていたら、もっと早く気付けたのではないか――そう思います。この経験から、日ごろから自分の体を見ておくことの大切さを強く感じています。
まとめ
しこりがないから大丈夫――。以前の私は、どこかでそう思い込んでいましたが、けれど、胸の小さなへこみに気付いたことが、受診につながりました。
この経験を通して、検診だけでなく、日ごろから自分の体を見ておくことの大切さを実感しています。「あれ?なんか気になる」そんな小さな違和感を見過ごさないことが、自分を守る一歩になるのだと思いました。
医師による解説:しこり以外の乳がんサイン
乳がんは「しこり」が代表的な症状として知られていますが、実際には胸のへこみや皮膚の変化など、気付きにくいサインで見つかることもあります。日ごろから自分の体の変化に目を向けることが大切です。
へこみも受診のサインに
乳がんでは、しこり以外にも胸のへこみ、皮膚のひきつれ、左右の乳房の形の変化、乳頭や乳輪の変化、乳頭からの分泌物などが現れることがあります。痛みを伴わないケースもあるため、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、気になる変化があれば乳腺外科などに相談することが大切です。
しこりが触れないタイプも
乳がんにはさまざまな種類があり、中にはしこりとして触れにくく、広がるように見つかるタイプもあります。記事内にある「浸潤性小葉がん」もその一つで、見た目の変化がきっかけで発見される場合があります。
日ごろのセルフチェック習慣
定期検診に加え、普段から自分の胸を見たり触れたりして変化に気付く習慣も大切です。入浴時や着替えのタイミングなどに、「いつもと違う部分はないか」を確認することが、早期受診につながる場合があります。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修:沢岻美奈子先生(日本産科婦人科学会専門医・日本女性医学学会ヘルスケア専門医)
著者:橘 あおい/40代女性。認知症の家族を在宅介護しながら、日々の出来事や感じたことをもとに執筆をおこなっている。自身も乳がんの手術・治療を経験しており、介護や病気と向き合う中で感じた不安や戸惑い、言葉にしづらい気持ちを、読者に寄り添いながら丁寧に言葉にすることを大切にしている。
イラスト:エェコ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
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