監修/粒来 拓先生(よしかた産婦人科分院 綱島女性クリニック院長)
日本産科婦人科学会 専門医・指導医。日本女性医学学会 女性ヘルスケア認定医・指導医。日本女性心身医学会 認定医。患者一人ひとりの症状と考え方に寄り添い、サポートしている。
「この記事はこんな人におすすめ」
・更年期症状の疲れやだるさ、やる気のなさに悩んでいる方
・疲れる、だるい、やる気が出ないときの対処法が知りたい方
・更年期症状別の治療法や自分でできることが知りたい方
疲れが取れない、やる気が出ない場合は何が原因?
貧血、甲状腺機能低下症の可能性も
更年期には、疲れやすい、疲れが取れない、だるい、何もやる気が出ないなどの症状が出ることがあります。診療の中で相談されることが一番多いといっても過言ではなく、皆さんが悩んでいる症状といえます。
これは卵巣ホルモン、特にエストロゲンの分泌量が急激に減っていくことが背景の一つと考えられます。ただ、全身のだるさや倦怠感は貧血、甲状腺機能低下症などが関係していることもあり、何もやる気が出ない状態には、うつ病などの精神的な不調が関係している場合もあります。まずは何が原因でその症状が出ているのかをきちんと診断してもらうことが治療のスタートとなります。
どんな状態だったら医療機関への受診が必要?
日常生活に支障が出るなら受診を

疲れやだるさ、やる気が出ないことで、家事も進まない、出かける気も起きない、自分で気分転換もできないなど日常生活に支障が出るようなら受診を考えましょう。
更年期にそれらの症状が出ているようなら、まずは婦人科に相談してみるのが良いでしょう。婦人科では、カウンセリングや問診を通して、働き過ぎ、気づかい過ぎ、睡眠不足、運動不足はないか、食事はしっかりとれているかなどを確認し、生活習慣の見直しを提案します。検査の結果や症状から他科の受診をすすめられることもあります。
婦人科以外の受診も必要?
症状によっては内科や心療内科、精神科への受診も

婦人科でおこなった検査で、貧血や甲状腺機能の異常がある場合、もしくは更年期症状以外の症状を伴った全身の疲れやだるさがひどい場合は、内科での治療がおすすめされます。何もやる気が出ない、食欲もないということであれば心療内科や精神科への受診も提案されます。
症状別4つの治療法とセルフケア

【1】のぼせ・発汗を伴う場合はホルモン補充療法、漢方療法
【2】貧血なら鉄剤の投与、甲状腺機能低下症なら甲状腺ホルモン剤の投与
【3】うつ病から来る症状なら抗うつ剤や漢方薬の処方も
【4】まずは頑張り過ぎないこと、そして規則正しい生活習慣を
【1】のぼせ・発汗が伴う場合はホルモン補充療法、漢方療法
のぼせ、発汗など、更年期のほかの症状も伴っている場合は、エストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)が治療の選択肢となり、漢方療法も検討されます。
漢方では、体の元気を補う「補剤」といわれる人参養栄湯(にんじんようえいとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが、症状や体質に応じて使われることがあります。
【2】貧血なら鉄剤の投与、甲状腺機能低下症なら甲状腺ホルモン剤の投与
内科では、貧血があるようなら鉄剤の投与、甲状腺機能低下症であれば甲状腺ホルモン剤が投与されます。改善を感じるまでに2~3カ月かかることもあります。つらい場合も、医師と相談しながら経過を見ていくことが大切です。
【3】うつ病が関係している場合は抗うつ薬や補助的な漢方薬の処方も
精神科などでうつ病が関係していると診断された場合は、カウンセリングなどと併用しながら、必要に応じて抗うつ薬が処方されます。また、補助的に漢方薬が処方されることもあります。
【4】まずは頑張り過ぎないこと、そして規則正しい生活習慣を
セルフケアとしては、まず頑張り過ぎないことが大切です。更年期は、20代、30代のころと同じペースで無理を続けると、心身に負担を感じやすくなる時期です。周りのため、家族のため、仕事のため、休まず働くのではなく、ぜひ自分のために自分のペースで動きましょう。状況的になかなか難しいかもしれませんが、常に余力を残すことが症状緩和のコツです。
また、規則正しい生活習慣を心がけましょう。睡眠時間をできるだけ確保し、糖分や脂質のとり過ぎに注意しながら、ビタミンやミネラルを含む栄養バランスの良い食事、適度な運動を心がけることが大切です。
更年期世代はうつ症状に注意が必要
ひとりで抱え込まず、受診も選択肢に

更年期の女性は、子どもの進路や夫婦関係、親の介護、職場での責任や立場の変化、さらに加齢に伴う身体的な変化など、さまざまなストレスが重なりやすい時期です。そこに女性ホルモンの急激な変化が複雑に関わることで、抑うつ気分や意欲の低下が現れることがあります。実際、閉経移行期には、閉経前と比べて抑うつ症状のリスクが高まる可能性を示す研究もあります。
うつ病の治療では、休養、薬物療法、精神療法などが症状に応じて検討されます。近年は、従来の薬と比べて副作用が少ないとされる新しいタイプの抗うつ薬も使われています。悩むよりまずは受診するのがおすすめです。
まとめ
疲れやだるさ、やる気のなさで病院にかかることに、なんとなくちゅうちょしてしまう人もいるかもしれません。ただ、それらの症状によって日常生活に支障が出たり、生活習慣が乱れたりしている場合は、専門家に相談することが大切です。体が思うように動かないときは、心身がなんらかの助けを求めているサインかもしれません。自分だけで解決しようと抱え込まず、早めに受診を検討してもよいでしょう。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
※AI生成画像を使用しています
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取材・文/アキモトスズ
「年齢より若いね~」と言われたこともあったけど、今や白髪、老眼、集中力の低下に悩む私はまさに更年期ど真ん中。食事と運動とマッサージを中心に健康と若さのキープ法を日々考え中。