最悪の記念日デートに
このとき彼とは婚約状態。先んじて結婚式についての準備も進めていたところでした。
そんな中で迎えた、交際記念日。以前から「水族館に行きたいね」と話しており、私もとても楽しみにしていました。夜はレストランも予約していて、久しぶりにゆっくり過ごせると思っていたのです。
ところが当日、彼は朝からどこか不機嫌でした。
理由を聞いても「別に」と言うだけで、会話もあまり続きません。それでも、せっかくの記念日だからと気持ちを切り替え、私はできるだけ明るく振る舞っていました。
水族館の館内を歩いている途中、彼が水槽の魚を見て「カレイだ」と言いました。私は何気なく、軽い会話のつもりで「それ、ヒラメじゃない?」と返すと……。彼は急に怒ったような声色で「少し間違えたくらいで笑うんじゃねぇよ!」と口にしたのです。当然、間違いを責めるつもりも、馬鹿にするつもりもありませんでした。
私は慌てて「ごめん、そんなつもりじゃなかった」と謝りましたが、彼は聞く耳を持ってくれず……。
そしてついには、「帰る。夜の店もキャンセルしておけ」と言い残し、本当にひとりで帰ってしまったのです。
いつになったら、ちゃんと謝るんだ?
突然水族館に残され、私はしばらくその場から動けませんでした。
彼にメッセージを送っても、電話をかけても応答はありませんでした。せっかくの記念日なのに、どうしてこんなことになったのだろうと、悲しさよりも呆然とする気持ちのほうが大きかったです。
夕方になっても彼から連絡はありませんでした。
すると、彼の妹から「お兄ちゃんが帰ってきたんだけど、何かあった?」と連絡が届きました。彼の妹とは以前から仲が良く、彼のことで相談に乗ってもらうこともあったのです。
私が水族館での出来事を話すと、彼女から「それはお兄ちゃん、心が狭いよね」という返信が。
そのとき、私は夜のレストランの予約を思い出しました。直前のキャンセルも申し訳ないですし、せっかく予約したお店をそのまま無駄にするのも悲しくて……。
私は思い切って、「予定がなければ、一緒に行かない?」と彼女を誘いました。彼女は少し驚いていましたが、「いいの? じゃあ行く」と言ってくれました。
そしてその夜は、彼の妹と食事をしました。彼の話ばかりにならないように気をつけながらも、彼女が明るく接してくれたおかげで、少しだけ気持ちが救われたのを覚えています。
そんな中、彼から連絡が。
「いつになったら、ちゃんと謝るんだ?」
結婚式まで中止に
彼は、私が何度も連絡してこなかったことに腹を立てていたようでした。
「俺が怒って帰ったんだから、普通はもっと必死に謝るだろ」
「電話に出なくても、何度も連絡してくるべきじゃないのか」
そんな内容のメッセージが続きました。
私は、「今回のことは、私がそこまで責められることなのかな」と返しました。もちろん、彼が嫌な気持ちになったなら謝るつもりはありました。けれど、一方的に帰ってしまい、予約していた予定まで放り出したのは彼です。
すると彼は、さらに怒ったようでした。
「そんな態度なら、結婚式も中止でいい」
「式場への連絡はお前がしておけ」
「結婚はなしだ」
その言葉を見たとき、胸が冷たくなるような感覚になりました。
結婚式は、勢いで投げ出していいものではありません。両家にも関わることですし、式場とのやりとりも進んでいました。それを、ささいな喧嘩の延長で「中止」と言えてしまう彼に、モヤモヤしてしまったのです。
私は何度か「本気で言っているの?」と確認しました。しかし彼は、「お前が悪いんだから当然だろ」と言うばかり。
このとき、私はもう彼との関係も終わっているのだと感じました。
幸い、式までまだ少し期間があり、キャンセル料も大きな金額ではありませんでした。私は式場に事情を説明し、必要な手続きを進めました。両親にも話し、彼の妹にも、彼との結婚はやめるつもりだと伝えました。
彼の妹は「本当にごめんね」と謝ってくれましたが、彼女が悪いわけではありません。私は「あなたには助けてもらったよ」とだけ伝えました。
数カ月後の連絡
それから数カ月が経ったころ、突然彼から連絡が届きました。
「式場に行かないの?」
最初、私は意味がまったくわかりませんでした。すでに式はキャンセルし、彼との関係も終わったものだと思っていたからです。
私が「結婚式は中止にしたよね」と返すと、彼からは信じられない返事がきました。
「あれは勢いで言っただけだろ」
「本当にキャンセルするとは思わなかった」
「お前が謝れば済む話だったのに」
その言葉を見て、私は改めて、この人とは結婚できないと思いました。
彼にとっては、私が折れて謝ってくることが前提だったのでしょう。自分が怒って帰り、結婚式まで中止と言い出したにもかかわらず、私が本当に手続きを進めるとは思っていなかったようです。
私は、「あなたが結婚式を中止すると言った時点で、式場はキャンセルした、結婚はなしと言った時点で関係が終わったと思って、そのことを両親にもあなたの妹にも言った」と伝えました。
彼はその後、「やり直したい」「言いすぎただけだ」と何度か連絡してきました。しかし、私はもう気持ちが戻ることはありませんでした。
結局、彼の妹や彼の両親にも協力してもらい、彼にも最終的には関係の終わりを受け入れてもらえました。ささいな言い間違いから始まった出来事でしたが、彼の言動を通して、結婚後の生活が少し見えてしまった気がしました。自分の機嫌で相手を振り回す人と、これから先の人生を歩むことはできない、結婚前にこの人の本質に気づけてよかった、今はそう思っています。
イラスト:わかまつまい子
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!