ある休日、自宅でゆっくり過ごしていると、息子夫婦が突然訪ねてきました。
「母さん、ちょっと相談があるんだ」
そう言われて話を聞くことに。すると、息子は開口一番こう切り出したのです。
「子どもも生まれるし、一緒に暮らそうよ」
私は、息子なりに私の老後を心配してくれているのかと思いました。ところが、その考えはすぐに間違いだとわかったのです……。
同居の本当の目的
息子は続けてこう言いました。
「その代わり、生活費として毎月10万円出してほしいんだ」
「孫の面倒も見られるし、母さんも寂しくないだろ?」
あまりに一方的な話に言葉を失いました。さらに息子の妻も当然のように続けます。
「家事は全部お願いしたいです。子どもが生まれたら忙しくなるので」
まるで私が同居を望んでいるかのような前提で、話が進んでいきます。
私はまだ何も返事をしていません。それにもかかわらず2人は、「じゃあ、引っ越しの準備があるから」と言い残し、そのまま帰ってしまったのです。
それから数日間、私は冷静に考えました。
もちろん、孫が生まれることはうれしいことです。しかし、話を聞けば聞くほど、私に求められているのは家族としての同居ではなく、家事や育児を担う存在としての同居でした。
生活費まで負担しながら、家政婦のような役割を求められる未来しか想像できません。私は同居を断ることを決意しました。
息子夫婦が明かした本音
後日、息子夫婦を呼び出し、同居は難しいと伝えた私。
「同居のことだけど……結構です。私は同居を望んでいないの」
すると2人は驚いた様子で、「もう引っ越しの準備を進めているんだけど」と言ったのです。
私は同居を承諾したことなど一度もありません。勝手に話を進めていたことに強い怒りを覚えました。
それでも私は、「よく考えたけれど、同居はしない」と再度はっきり伝えました。
すると、不満をあらわにした息子。
「家のことを全部お願いするつもりだったのに」
「子どもが生まれたら大変なのに……同居してくれないと困る」
その言葉を聞き、やはり私の考えは間違っていなかったのだと確信しました。さらに息子の妻は、「協力してくれないなんて冷たいですよね」「将来追い出されて困るのはお義母さんのほうですよ?」と口にしました。
しかし、子育ては本来、まず夫婦で協力して取り組むものです。親が手伝うことはあっても、それを当然のように求めるものではないと、私は考えていました。
だからこそ、私は静かに2人にこう話しました。
「これから親になるのだから、まずは自分たちの力で家庭を築いていってほしい」
「困ったときには相談に乗るし、無理のない範囲では手伝うつもりよ」
「ただ、あなたたちの生活を支えることまではできない」
私が自分の気持ちを伝えると、息子夫婦は顔を見合わせ、それ以上何も言わずに帰っていきました。
初孫の誕生は本来とても喜ばしい出来事です。しかし、家族だからといって相手の善意を当然のように期待し、一方的な負担を押しつけてよいわけではありません。
今回の出来事を通じて、親子であっても適切な距離感とお互いへの尊重が大切だと改めて感じました。
これからも息子夫婦とは良好な関係を築いていきたいと考えていますが、そのためにも無理な同居はしないという判断は間違っていなかったと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。