忙しさの中で、母の言葉を受け流していた私
20代のころの私は、仕事が忙しく、家にほとんど寄り付かない時期がありました。帰宅しても疲れ切っていて、家族とゆっくり話す余裕もありませんでした。
母はそんな私に、いつも「無理しないでね」と声をかけてくれていました。今思えば、私の体調や気持ちを心配してくれていたのだと思います。
しかし当時の私は、素直に「ありがとう」と返すことができませんでした。「大丈夫だから」とそっけなく答えたり、会話を早く終わらせようとしたりしていました。母のやさしさをありがたいと思うよりも、どこか照れくさく感じていたのかもしれません。
冷たい言葉を言ってしまい…
ある日、いつものように疲れ切って帰宅すると、母が私の好きなおかずを用意して待っていてくれました。忙しい私を少しでも元気づけようとしてくれたのだと思います。
ところが、そのときの私は心に余裕がありませんでした。食卓を見ても素直に喜ぶことができず、思わず「こんなの作らなくていいのに」と冷たく言ってしまったのです。
母は怒ることもなく、少し寂しそうに笑っていました。その表情を見ても、私はその場で謝ることができませんでした。本当はうれしかったはずなのに、感謝の言葉を口にするどころか、母を傷つけるような言い方をしてしまったのです。
入院した母を見て、あの日の言葉を後悔
その数日後、母が体調を崩して入院することになりました。しばらく会えない日が続き、ようやく病室で母の姿を見たとき、私は胸が締めつけられるような思いになりました。
弱った母を前にして、真っ先に思い出したのは、あの日の自分の言葉でした。母が私のために好きなおかずを用意してくれたのに、どうして素直に「ありがとう」と言えなかったのだろう。どうして冷たい言い方をしてしまったのだろう。
そう思うと、情けなさと後悔で涙があふれました。家族だからいつでも伝えられる。元気になったらまた話せる。そんなふうにどこかで思っていた自分の甘さに気付かされたのです。幸い、母はその後元気になりました。それでも、あのときの後悔は今も胸に残っています。
まとめ
今では、どんなに小さなことでも「ありがとう」と言葉にするよう心がけています。家族だからこそ、言わなくても伝わると思ってしまうことがあります。しかし実際には、言葉にしなければ届かない思いもあるのだと感じました。感謝は、後で伝えようと思っているうちに言えなくなることもあります。だからこそ、今伝えられる気持ちは、その場で素直に伝えることを大切にしています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:山本美咲/50代女性・パート
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年5月)
※一部、AI生成画像を使用しています。
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