こんにちは。保育士の中田馨です。子育てをしていると、1日に何度も子どもを「しかる」場面が出てきます。子どものすることにイライラして強く言いすぎてしまって、あとから「もっと違う言い方があったかも」と後悔するということもあると思います。
イライラして怒ってしまう感情は誰にでもあることなので落ち込む必要はありません。今回は、生活のなかでの子どものじょうずなしかり方を保育所での実例を挙げながら紹介します。
「しかる」の基本は2つ
子どもをしかるときのポイントは2つあります。
1.子どもの行動をしかる
しかるときは、子どもの「行動」を見てからしかるようにします。例えば、子どもがおもちゃを投げたときは「おもちゃいらないなら、捨てるよ」ではなく「おもちゃは投げないでね」です。具体的に子どもがした行動を伝えることが大切です。
2.決めつけてしからない
「こういうときはこうするべきだ」という先入観がありませんか? 例えば、お友だちがおもちゃを「かして」と言ってきたら、「どうぞ」とすぐに貸すことが良い、「9時までに布団に入らなければいけない」など大人のルールで決めていることを、子どもがしなかったときにイライラして怒ってしまうことがあります。子どもには大人のルールはわかりませんので、まずはそのルールを教えることから始める必要があります。
この2つのポイントを参考にしつつ、ここからは3つの事例としかり方を紹介します。
【1】離乳食をグチャグチャして食べない/1歳4カ月
手づかみやスプーンなどを使い、自分で食べる楽しさを知っていく時期です。自分で食べているうちに離乳食を触っているのがエスカレートし、子どもの周りがグチャグチャになって、離乳食はほとんど口に入っていないこともあります。
そんなときに、「やめなさい!」「ちゃんと食べなさい!」とつい言ってしまいがちです。まずは、ママが自分の許せる許容範囲を決めます。例えば、10分遊んだらやめさせるなどですね。そして、「次は、スプーンを使って食べてみよう」「(器の)うさぎさんが見えてきたね」「こぼさず食べてみよう」など子どもの意識が食べ物をグチャグチャする遊び以外にいくようにしてみます。
それでも遊んで食べないときは「ごはんをおしまいにするね」と終了します。
【2】友だちのおもちゃを取り上げる/2歳1カ月
自分は別のおもちゃを持っているのに、友だちのおもちゃが気になり、強引に取り上げてしまうことがあります。これはこのころの子どもによくあることなので、心配しなくて大丈夫です。
友だちの使っているおもちゃを取り上げたときの声かけとしては、「返しなさい!」「意地悪しないの!」ではなく、「〇〇ちゃんが今使っているから後で借りようね」です。そしてお友だちにおもちゃを返しながら「このおもちゃ、あとで貸してね」と子どもと一緒に言います。
【3】手を振りはらい急に走り出す/2歳11カ月
この時期はしっかり歩けるようになるので、手をつないで外で歩いているときに、急に手を振りはらい、走り出すことがあります。周りをよく見ずに走るのでヒヤッとしますよね。
危険なことは、まずはやめさせることが第一。その上で、してはいけない理由を伝えることです。「ママにしかられたからしない」ではなく、「危険なことだからしない」ということを子どもに伝えなければいけません。「走らない!」「手をつなぎなさい!」だけではなく、「車が来るから危ない」「車が来たらどうなるか」ということを簡単な言葉でハッキリと子どもに伝えることが大切です。
子どもに声かけする言葉を少しだけ変換するだけで、言葉をかけられる子どもの気分が変わりますし、何より言葉をかけるママの気持ちが変わります。普段思わず言ってしまう言葉を出す前に「あ、この言葉、別の言い方ができないかな?」と一瞬考えてみるだけで、「しかる」が変化します。
イラスト/sawawa