僕の店で始まった最悪な合コン
その日、予約の時間にやってきたのは、高校時代から目立つタイプだった同級生の男3人組とお相手の女性3人でした。男性陣は皆、誰もが知る一流企業に勤めているそうで、仕立ての良さそうなスーツを着て鼻高々。
同級生の中でも特にプライドが高いF男が、さっそく大声で自慢話を始めました。
「やっぱ俺らみたいな一流企業勤めだと、仕事の規模もデカくてさ〜」
女性陣が「すごーい!」と場を盛り上げると、調子に乗ったF男が、カウンターの奥で調理をしている僕に気づきました。すると、わざと聞こえるような大声で笑い出したのです。
「あそこにいるの、俺たちの同級生なんだ。店始めたっていうから、来てやったけど大したことないな。このエリアじゃ底辺じゃねw」
F男達は僕を完全に引き立て役にしようと、ニヤニヤしながら「おい、元同級生として応援しに来てやったぞ。もっとマシな店かと思ってたわw」と、店や僕の仕事をこれでもかと見下してきました。
女性陣の視線が変わる
F男は女性陣に向かって「やっぱり男は、俺みたいに一流企業で稼いでないとね。こんな底辺店で料理してるようなやつとは世界が違うよなw」と、マウンティングを止めません。女性陣は一瞬、困惑したような表情を見せましたが、すぐに何かを察したようでした。
僕はあまりの言い草にイラッとしつつも、その気持ちを抑え、「いらっしゃい。まだこの店は始めたばかりだから改善点があったら遠慮せず教えてよ」と静かに告げました。
すると、女性陣のうちの一人が切り出しました。
「あの、このお店ってもしかして〇〇ダイニングの新業態ですか?」
「はい、そうなんです。よくご存知ですね。あっちの店がうまく行ったので、ここでもっとカジュアルなスタイルのお店を始めたんです」僕が答えると、「やっぱり!!」と女性達の目が輝きました。
「え、店ってここだけじゃないのかよ……」困惑するF男の声を遮るように、女性が興奮した声で尋ねました。
「先週、雑誌の特集でインタビューを受けてらっしゃいましたよね。『今最も旬で勢いのある飲食店』の一つだって……人気店を何店舗も手がけるなんてすごいです!」
「その記事、私も見た!会社の同僚の間でも絶対今度行こうねって話題で」
「お店の雰囲気もすごく素敵だし、料理もとっても美味しいです。友達に自慢しちゃお♪」
女性陣の関心は、自慢話ばかりのF男達から、一気にオーナーである僕へと移ってしまったのです。

逆転した立場と彼の末路
立場が完全に逆転し、F男は顔を真っ赤にしてフリーズしています。
さらに女性陣の猛攻は止まりません。
一人の女性が「ねえねえ、オーナーの連絡先、教えくれませんか」と身を乗り出すと、他の2人の女性も「ずるい!私も〜!」と笑顔で乗っかってきました。
F男達は自分が引き立て役にされるどころか、完全に置いてけぼり。おまけに、自分の狭い器を露呈してしまい、合コンの雰囲気は冷え切ってしまいました。
男性陣は居心地が悪そうに、その後はひたすら酒をあおっていました。
自分の仕事を誇りに思って地道に頑張っていれば、見ている人はちゃんと見てくれているのだと実感した出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。