今年(2019年)の6月に明るみになった、かんぽ生命の不適切な契約問題ですが、不安になっている方も少なくないと思います。ご相談をお受けする中で、ご自身だけでなく離れて暮らす親御さんのかんぽ生命の契約について心配の方もいらっしゃいました。
年末年始は両親や親族と会う機会も多い時期ですので、場合によっては確認いただく機会にしても良いと思います。今回はかんぽ生命の不適切な契約問題と確認事項、対象方法についてお伝えします。
かんぽ生命の不適切な契約問題とは?
郵便局ではかんぽ生命の契約を取り扱っていますが、不適切な契約とは、契約ノルマの達成や報酬を目的として、お客様が希望をしていない保険の契約や正確な説明をしないまま手続きした契約、契約者(お金を払う人)や被保険者(保険金の対象となる人)と会わずにおこなった契約など、正規の手続きに則らず保険を契約したことです。
また、2019年6月の発表では、
①新しい保険を勧められ、いままで加入していた保険を解約したところ、加齢などにより健康状態が悪化していることを理由に、新規契約を断られてしまったケースが15,800件。
②新しい保険に乗り換えたものの、保険金の支払いを求めた際に、実は必要とされていた病歴の告知を怠っていたことを指摘され、契約を解除されてしまったケースが3,100件。
③もともと加入していた保険の特約で対応したほうが、新しい保険に乗り換えるより有利だったケースが5,000件あったとのことです。
特に①のケースでは、無保険の状態になってしまうこともあり、お客様のためというより、かんぽ生命や販売員のための契約が一部おこなわれていました。そのため、2019年8月からすべての保険契約を対象に書面を送付し、調査をおこなっているところです。
不適切な保険かどうか見分けるには?
かんぽ生命はご契約者数で約2000万人もいるため、すべてにおいて不適切な契約がおこなわれたというわけではありません。その中で加入しているかんぽ生命の保険が適正なものか、不適切なものか分からない方もいらっしゃると思います。そのため、両親や家族などが不適切な保険かどうか見極めるためのポイントをいくつかお伝えします。
〈不適切な保険かどうか見極めるためのポイント〉
【1】郵便貯金の代わりや定期貯金の満期を迎えた後に、養老保険や終身保険などの加入を勧められ、貯金か保険か分からずに契約してしまった保険がある。
【2】通帳のデザインが変わったと伝えられ、手続きをした上で、養老保険や終身保険などに加入をした。本人は通帳が変わったと思っていたら、保険証券だった。
【3】本人では健康面や保険金の上限を超えてしまったので、別の家族の名義で保険に加入をしていた。また、別の家族は手続きをしていないのに、保険証券が存在する。
【4】日付がそれほど離れていない、似たような保障内容の保険証券が2つ以上存在する。
【5】本人の記憶していない・自覚をしていない保障内容の保険証券が存在する。
これらの条件が一つでも当てはまれば、不適切とは言わないまでも、不適切かどうか確認するようにしましょう。このような保険が2015年以降の加入であったり、契約者の年齢が68歳~69歳であったりすれば、不適切な保険契約の可能性が高まります。不適切な保険契約か気になった場合で、契約者が両親や家族の場合は、契約者に経緯を確認するようにしましょう。
また、判断に迷う場合は有料となりますが、ファイナンシャルプランナーに保険証券の内容を確認してもらうことも一つの方法です。
不適切な保険と思ったら?
不適切な契約かどうかと思った場合でも、勘違いや内容を忘れている場合も少なくありませんので、担当者や最寄りの郵便局に内容を確認してからの判断をしても良いでしょう。担当者や最寄りの郵便局の説明で意見が食い違う場合や明らかに件数が異常に多いなどの不適切な可能性が高い場合は、コールセンターやお客さま相談室に直接やり取りすることも必要です。お客さま相談室は地域ごとに異なるため、保険証券やホームページを確認するようにしましょう。
コールセンターやお客さま相談室でも解決できない場合は、一般財団法人生命保険協会が運営する生命保険相談所、生命保険相談所連絡所での相談も有効です。こちらは保険会社ではないため、保険内容の照会はできませんので、ご注意ください。保険証券を用意し、郵便局・かんぽ生命の対応や意見の食い違う点、解決方法等を相談する場所となります。全国50か所にありますので、必要の際はこちらから最寄りの相談所、相談所連絡所を確認してください。
2019年12月にはかんぽ生命から調査結果も報告されるようですが、ご自身やご家族の保険が適切かどうか判断するにはご自身やご家族が保険証券の内容や経緯を把握するしかありません。怪しいと思われた場合は記事をご参考に確認・判断をするようにしましょう。