周りから浮いていた僕と彼女
高校時代の僕は、学年で一番目立っていたグループに目をつけられ、毎日のように陰口を言われる日々を過ごしていました。
そんな僕の心の支えになっていたのが、同級生のAでした。彼女は母子家庭で生活が苦しく、昼休みにいつも1人で手作りのおにぎりだけを食べていたため、彼らから「貧乏人」と心ない言葉でバカにされていて……。
ある日、僕はそんな彼女が心配になり、「買いすぎたからあげる。一緒に食べよう」と、自分の昼ご飯だったクリームパンを渡しました。彼女は「半分こしよう」とほほ笑みながらうれしそうにしてくれたのを覚えています。それから、僕とAは仲良くなりました。
Aは「学校の近くにある高級レストラン、一生行けないけど、いつか行ってみたいなぁ」と話をしていました。そんな彼女の言葉を覚えたまま、高校を卒業して約10年。僕はがむしゃらに働き、経営コンサルタントとして独立。そして3年前、コンサルタントとしての縁があり、くしくも彼女が憧れていたその高級レストランを前オーナーから譲り受けることになったのです。
同窓会が開催されたのは
高校卒業後は連絡先も分からず、仕事に打ち込む日々を送っていました。いつかAが憧れていたようなレストランを経営できたら、もう一度会いたい……そんな思いだけを胸に秘めていたのです。
そんなある日、実家に高校の同窓会の案内状が届きました。当時の嫌な記憶がよみがえり、最初は迷わず欠席の返事を出していました。
しかし数日後、自分の店にその同窓会の団体予約が入ったのです。誰が来るのか気になった僕は、幹事に「誰が来るの?」と聞くと、参加予定者を教えてくれました。
「ついに胸を張って彼女に会えるかもしれない」 そう思った僕は、オーナーであることは伝えず、通常の参加者として席に着くことにしました。
最悪な再会と反撃
同窓会当日、会場には彼女の姿があり、僕は胸を躍らせました。しかし、再会の喜びもつかの間、最悪な再会も……。かつて僕を見下し、Aのことをバカにしていた男性たちも来ていたのです。
彼らは、僕たちを見るなり「お前らみたいな底辺が、こんな高級店に来るなよ」と、当時と変わらない様子でした。
さらに、彼らはAに向かって「誰のおごり目当てで来たの(笑)」と最低な言葉を投げつけていて……。うつむく彼女を見て、僕は我慢の限界を迎えました。
彼女の横に立つと、「大丈夫だよ、そんな言葉気にしないで…ここ、僕の店だから」
彼らは一瞬きょとんとした後、「お前みたいなやつの店なわけないだろ!」と大爆笑。しかし、騒ぎを聞きつけた店長が駆けつけると、事態は一変します。店長は僕の姿を見るなり「オーナー、申し訳ありません。すぐに対応いたします」と深く頭を下げたのです。
10年越しの告白
僕は、顔を真っ青にして固まる彼らに向き直り、「僕が、この店のオーナーです。他のお客様や、せっかく集まってくれた同級生たちの迷惑になります。これ以上騒ぐのであれば、お引き取りください」と冷静に言い放ちました。
事態を把握した彼らは、周囲の冷たい視線を一身に浴びながら、逃げるように店を飛び出していきました。その後、僕は他の同級生たちにお詫びとして特別なデザートを振る舞い、同窓会は彼らの悪口を笑い飛ばすかのように大いに盛り上がったのです。
同窓会がお開きになった後、僕は彼女だけを店に残し、静かになった憧れのレストランで2人きりの時間を過ごしました。
僕が10年越しの想いを告白すると、Aは愛おしそうにほほ笑んでこう言ってくれました。 「私もね、あのときあなたを好きになったの。今日も助けてくれて、やっぱり私のヒーローだなって思ったよ」
お互いの気持ちを確かめ合った僕たちは、その日から正式に交際をスタートさせました。今では、幸せな日々を過ごしています。かつてどんなに理不尽な環境にいても、誠実な気持ちを持ち続けていれば、いつか必ず自分を救う光となって返ってくるのだと、深く実感しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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