手作りの服を笑われていた日々
近所に住む同年代の女性は、会うたびに自分の持っているブランド品の話をしてくる方でした。高価なバッグや服を身につけていることに自信があるようで、私の服装にもよく目を向けてきました。
一方の私は、昔から裁縫が趣味です。既製品をそのまま着るよりも、自分の体に合うように作った服のほうが心地よく、普段着の多くは自分で縫ったものを着ていました。
しかし、その女性は私の服を見るたびに、「あら、いつも地味ね」「やっぱり既製品のブランドものじゃないと、年齢相応の品が出ないわよ」と、小馬鹿にするようなことを言ってきました。言い返すほどのことではないと思いながらも、何度も言われると、さすがに気持ちが沈むこともありました。
親睦会で浴びせられたひと言
ある日、地域の親睦会が開かれました。私はその日に合わせて、新しく仕立てたワンピースを着て参加しました。古い着物を解いて、自分なりに工夫しながら縫った一着です。
会場には多くの人が集まっていて、和やかな雰囲気で会話が弾んでいました。すると、例の女性が私の服に気付き、近づいてきました。そして、大勢の参加者がいる前で、「あら、それも手作り? 生地が安っぽいわね」と大きな声で笑ったのです。
周囲にも聞こえるような言い方だったため、私は一瞬言葉に詰まりました。せっかく自分なりに気に入って着てきた服を、そんなふうに言われたことが悔しく、胸の奥がきゅっと縮むような思いでした。
思いがけない称賛で会場の空気が変わって
その直後、思いがけないことが起こりました。参加者の中に、セレクトショップを経営しているオーナーの奥さまがいらっしゃったのです。その方は私のワンピースを見るなり目を輝かせ、「ステキな仕立てですね。シルエットも刺繍もとても独創的。どこかのオートクチュールですか?」と声をかけてくれました。
突然のことに驚きながら、私は「いえ、古い着物を解いて、自分で縫ったものなんです」と答えました。すると、会場の空気が一気に変わりました。「既製品にはない雰囲気がある」「とても上品」と、周囲の人たちが次々に褒めてくれたのです。
先ほどまで私を笑っていた女性は、自慢のブランドバッグを抱えたまま、顔を赤くして輪の外へ下がっていきました。ブランドのロゴではなく、自分の手で作ったものを認めてもらえた瞬間、これまでの悔しさがすっと晴れていくようでした。
まとめ
この経験を通して、本当の価値は、値段やブランド名だけで決まるものではないのだと感じました。そこにどれだけ愛情や手間をかけたか、その人らしさが込められているかも、大切な価値なのだと思います。今では、誰かと比べるよりも、自分が心から納得できるものを大切にしていきたいと思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者:石川美恵子/50代女性・主婦
イラスト:sawawa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年6月)
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