作業着姿の僕を見下す元カノ
その日、僕は担当する再開発プロジェクトのため、取引先が所有する高層ビルを訪れていました。外構工事の進み具合を確認するためです。
現場に入る以上、僕も作業着とヘルメットを着用します。資料を見ながら歩いていると、スーツ姿の女性から声をかけられました。
「え、もしかして……久しぶり」
そこにいたのは、高校時代に付き合っていたA子でした。今は大手広告代理店で働いているそうです。ところが、僕の格好を見るなり、A子は口元をゆがめました。
「作業着ってことは、現場仕事? やっぱり、高卒の人と別れて正解だったわ」
僕は言葉を失いました。A子とは高校を卒業して1年後に別れたのですが、当時の彼女はよく「あなたの将来が不安」と言っていたのです。
高校卒業後、僕は家庭の事情で大学へは進まず、建設会社で経験を積みました。その知識を評価され、今の会社へ転職したのです。
「私はこれから、そこの高層ビルで商談なの。もう住む世界が違うみたいね」
A子が指さしたビルを見て、僕は少し驚きました。まさに僕の取引先のビルだったからです。
後日、元カノと再会して
するとそこへ、取引先の女性担当者がやってきて「すみません。確認したいところがあって」と声をかけられました。僕はA子に「仕事中だからもう行くね」と告げ、その場を離れました。
数日後、僕は同じビルで開かれる打ち合わせへ参加することに。その日はスーツ姿です。会議室へ向かっている途中、商談で訪れていたA子と再び鉢合わせました。
「何よ、その格好。この前は作業着だったじゃない」
A子が怪訝そうにしていると、取引先の社長と女性担当者が近づいてきました。
「いつもありがとうございます。今回の改善案、とても良かったです」
社長が笑顔で僕に声をかけると、A子の顔色が一変しました。
元カノの失言に社長の反応は…!?
女性担当者がA子に説明しました。
「お二人はお知り合いですか? この方は、ビルの再開発を支援してくださっているコンサルタントです」
「現場まで足を運んでくださるので、提案がとても具体的なんですよ」
A子は慌てて笑顔を作りました。
「そ、そうなんですね。でも、高卒だと聞いていたし、この前は作業着だったから、てっきり現場の人かと……」
その瞬間、場の空気が凍り付き、社長の表情も厳しいものに。
「学歴や服装がそんなに重要でしょうか?」
「そのような発言をされる方に、仕事をお願いするのは不安ですね」
さらに、社長は「本日の商談はここまでにしましょう」と告げました。A子はようやく失言に気づいたのか、顔がみるみる青ざめていきました。
現場での努力が評価されて
その後、僕たちのプロジェクトは順調に進みました。現場で確認した課題を提案に反映したことで、取引先からの評価も上がり、新たな案件を任せてもらえることになったのです。
一方、それきりA子に会うことはありませんでした。後から聞いた話では、A子の上司が謝罪に訪れ、彼女は商談の担当を外されたそうです。
あの日、A子が鼻で笑った作業着姿こそ、僕が現場まで足を運び、信頼を積み重ねてきた証でした。
人の価値は、学歴や服装だけで決まるものではありません。僕はこれからも、目の前の仕事に真摯に向き合い、結果で期待に応えていきます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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