妹の結婚式へ
妻は仕事で遅れるため、僕が娘を連れて先に式場へ向かいました。
挙式後、披露宴会場へ移動していると、ロビーでA男親子に鉢合わせました。A男とは妹に紹介された際に何度か会っていましたが、いつも礼儀正しいイメージでした。一方、父親ときちんと話すのはこの日が初めてです。
すると、A男は僕を見るなり、「お義兄さん、わざわざ来なくてもよかったのに」と薄笑いしたのです! 父親も「ああ、例の牧場の方ですか。うちの会社とも取引がありましたよね」と、僕の全身をジロジロと眺めます。
僕が「本日はおめでとうございます」と頭を下げると、A男は「礼服に牧草ついてないですか? 披露宴会場で牛のにおいがしたら困るんで」とニヤニヤ。父親まで「うちとの契約は今月いっぱいでしたかね。これから大変でしょう」と続けました。
娘は僕の手をぎゅっと握り、不安そうに見上げてきました。
娘をかばったら…!?
「失礼します」とその場を離れようとしたとき、A男が足をもつれさせ、持っていたグラスの中身がこちらへ飛んできました。僕はとっさに娘をかばい、胸元から袖まで飲み物を浴びてしまったのです。
娘が「パパ、大丈夫?」と泣きそうになると、A男は一度謝ったものの、すぐに「でも、ちょうどよかったんじゃないですか? その格好じゃ披露宴に出られませんよね」と笑いました。
父親も「お子さんも泣いていますし、帰ったほうがいいのでは?」と追い打ちをかけてきました。まるで僕たちを追い返したいような口ぶりです。
「僕への嫌みはともかく、娘まで巻き込まないでください」と言うと、A男は「邪魔者扱いなんてしてませんよ。ただ、場に合わない人っているじゃないですか」と肩をすくめました。
その瞬間、背後から低い声が響きました。
「夫と娘に、何してるの……?」
振り返ると、遅れて到着した妻が立っていました。
妻の顔を見た瞬間、新郎が絶句!
妻の顔を見た途端、A男は「えっ、社長……?」と絶句。
実は妻は、A男親子が勤める食品会社の社長です。家庭のことを社内で詳しく話していなかったため、2人は僕が社長の夫だと知らなかったのでしょう。
A男は「違うんです。飲み物をこぼしただけで」と慌てました。しかし妻は、「さっきの言葉も聞いていました。取引先を見下し、私の家族まで傷つけるなんて……今回の件は会社に報告します」と静かに告げます。
「誤解です。息子も悪気があったわけでは」と取り繕う父親に、妻は「悪気がなければ何を言ってもいいんですか?」と一喝。
そこへ妹も駆け付けました。僕の濡れた礼服を見て「お兄ちゃん、どうしたの?」と尋ねる妹に、僕が「大丈夫だよ」と言おうとすると、娘が先に「この人たちがパパに意地悪したの」と訴えたのです。
妹が下した決断
妹はA男を見据え、「私の大切な家族に何をしたの?」と尋ねました。
「い、いや、冗談で……」としどろもどろになるA男に、事情を知った妹は「そんな人だったなんてショックです。こんな気持ちで披露宴は続けられません」と告げました。
A男は「待ってくれ。君のことは本気なんだ」とすがりましたが、妹の意思は変わりません。両家と式場に事情を説明し、披露宴は中止に。後日、改めて話し合った末、妹はA男との婚約を解消しました。
その後、妻が式場での件を会社に報告すると、A男の父親には契約終了を決める権限がなく、独断で発言していたことが判明。僕の牧場は以前から重要な取引先だったため、会社の信用を傷つけたA男親子は、厳しく責任を問われたそうです。
帰り道、娘はようやく笑顔を取り戻し、「ママ、かっこよかったね」と話していました。妹も「彼の本当の姿に気づけた。結婚しなくてよかった」と言ってくれました。
妹の晴れの日がこんな形で終わってしまったことを思うと、胸が痛みます。それでも、妹が自分で出した答えを尊重し、家族みんなで支え合っていきたいと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!