当時の私は28歳。もうすぐ5歳になる娘を育てるため、複数の仕事を掛け持ちしながら毎日必死に働いていました。
夢だったカフェ店長を任されることに
その仕事の一つがカフェでした。オーナー兼店長は高齢で、以前から「いずれ店を任せられる人を探している」と話していました。
ある日、その店長から「君にこの店を任せたいと思ってるんだ。店長をやってみないか?」と声を掛けられたのです。
実は、カフェの店長になることは私の長年の夢。突然の話に驚きましたが、本当にうれしく、期待に応えようと今まで以上に仕事へ打ち込むようになりました。
娘も時々お店へ来て、閉店後に机を拭くなど簡単なお手伝いをしてくれました。そんな娘の成長を見ながら、忙しくも充実した毎日を送っていたのです。
金髪の男性からのナンパ!?
そんなある日、一人の金髪の男性がお店を訪れました。男性は私の顔を見るなり、「俺のこと覚えてる?」と笑顔で声をかけてきました。
最初は誰かわかりませんでしたが、よく見ると昔の幼なじみ。学生時代はさわやかな印象だった彼は、派手な髪色に変わり、遊び慣れているような雰囲気になっていたのです。
驚いていると、彼はいきなり「今は離婚して、ひとりって聞いたよ。俺と付き合わない?」と言いました。
営業時間中でもあり、冗談だと思いつつも突然の告白に戸惑った私。
「娘が一番だから。それに、軽そうな人とは付き合えないよ」
そうはっきり伝えると、彼は何も言い返さず、そのまま店を後にしたのです。
幼なじみの変化
それから数カ月後、彼は再び店へやって来ました。彼の髪の色は、金色から黒へと戻っていました。
「上場企業に就職が決まったんだ。就活で髪も黒く戻した」
「あの日は仕事の邪魔をしてごめん。でも本気なんだ。いつか気持ちが向いてくれるよう頑張る」
そう言い残すと、今度はすぐに帰っていった彼。
それ以来、幼なじみがお店へ来ることはなくなりました。彼のことが気になりながらも、忙しい毎日に追われ、そのまましばらく時間が過ぎていったのです。
新しい家族
ある日の閉店後、久しぶりに幼なじみがお店へ現れました。
彼は「就職してから生活を全部見直したんだ」と話し始めました。給料で無理のない家賃の部屋へ引っ越し、自炊を始め、生活リズムも整えたそうです。
「君と再会して、このままじゃダメだって思った」
「本気で将来を考えてもらえる人になりたかった」
以前とは違う落ち着いた表情で話す彼を見て、口先だけではなく、行動で変わろうとしてきたことが伝わってきました。
そして最後に、改めて気持ちを伝えてくれたのです。
「こんな俺だけど、付き合ってもらえないかな」
その誠実な姿を見て、私は自然と「こちらこそ、よろしくお願いします」と答えていました。
交際が始まってからの幼なじみは、何よりも娘を大切にしてくれました。無理に父親らしく振る舞うのではなく、娘の気持ちを尊重しながら少しずつ距離を縮めてくれたおかげで、娘もすっかり彼になついていきました。
そして娘の小学校入学を控えたある日、彼は真剣な表情でプロポーズをしてくれたのです。
「これからは家族として歩んでいきたい」
「入学式には娘の父親として一緒に参加させてほしい」
その言葉を聞いた私は、この人となら困難があっても家族で乗り越えていけると確信し、プロポーズを受けることに。こうして私たちは結婚し、娘の小学校の入学式には夫婦として並んで出席したのです。
今では夫と娘、家族3人で穏やかな毎日を過ごしています。
人は見た目だけで判断してはいけないとよく言いますが、彼は見た目だけでなく、生き方そのものを変える努力を続けていました。彼の努力がなかったら、この幸せな未来はなかったかもしれません。
これからも家族で支え合いながら、たくさんの思い出を作っていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。