毎日一緒にいる夫婦の間では、ちょっとしたことでケンカになってしまうこともあります。仏教には「悪人同士」という言葉があるそうです。悪人同士であるとケンカが起きないという考え方です。悪人同士であれば、善人同士よりもケンカが起きてしまいそうですが、一体どういうことなのでしょうか。
お互いが善人で起こってしまいがちなこと
妻:ゴミ捨てておいてって言ったよね
夫:今日、会議で早く行かなくちゃいけなくて、時間がなかったんだよ
妻:会議があるのは前日にわかっているのだから、早起きすればいいじゃない
夫:そう思っていたけど、時間がなくなってしまったんだからしかたないだろう
妻:自分の分担のことぐらい、ちゃんとやってよね!私のほうがいろいろ雑用やっているんだから!
夫:ぼくのほうが君より早く家を出なければならないんだから、ちょっとくらい協力してくれたっていいだろう!
多かれ少なかれ、どこのご家庭でもこのような夫婦の会話があるのではないでしょうか。お互いがそれぞれ自分の主張を正しいと考え、譲らない場合に起こります。このようにお互いが自分を善と考えている状況が、「善人同士」です。
お互いが悪人になるということ
一方、お互いに悪人になるとどうなるのでしょうか。
妻:ゴミ捨てておいてって言ったけれど、今日は忙しかったのかしら
夫:今日、会議で早く行かなくちゃいけなくて、時間がなかったんだ
妻:それを知らずに頼んでしまってごめんなさいね
夫:僕も頼まれたときに、ちゃんと伝えれば良かったよ。ごめんね
このように、それぞれの立場を考え、自分の思慮が浅かったことについて反省して、相手に対応している状況が「悪人同士」です。
実はみんな悪人同士で暮らしている!?
友人や会社での同僚などとの関係を考えてみれば、多くの場合、「悪人同士」で接しているのではないでしょうか。お互いを思いやっているからこそ、自然にできているんですね。ところが、多くの時間を一緒に過ごし、思いやらなければならないはずの夫婦間では、なぜか「善人同士」になってしまうことが多くあります。
家族であっても夫婦は他人です。夫婦仲がこのところ悪いなと感じたら、一度、「悪人同士」になってみてはいかがでしょうか。この場合、「お互い譲り合いましょうよ」というと、「僕は譲っているよ」と「善人同士」の会話が始まりかねませんので、「こんな話があるんだって」という会話から始めるとスムーズにいくのではないでしょうか。
実際に自分自身に非があったと思っていないと、嫌味な感じになってしまい、さらに状況が悪化してしまうこともあります。あくまでも相手を思いやることが前提ですので、そのあたりは気を付けてくださいね。