専務の嫌がらせと暴言
直属の上司との査定面談の翌日、僕は専務室に呼ばれました。専務はニヤニヤしながら僕の査定表を手に取り、ヒラヒラと見せつけました。
「中卒のくせにボーナス200万なんて無駄なんだよw どうせ上司に媚を売って評価を上げてもらったんだろ。査定は却下だ!」
さらに、「文句があるなら、明日から来なくたっていいんだぞ」と高圧的な態度をとってきたのです。
これまで会社のために睡眠時間を削って成果を出してきた努力を、学歴だけで全否定された悔しさ。権力を振りかざす専務の理不尽な態度に、僕は怒りと情けなさで言葉を失ってしまいました。
打ちのめされた僕が「本当に辞めてもいいんですね?」と静かに尋ねると、専務は「辞めるって言うなら、ますますボーナスなんて払う必要ないな!」とケラケラと笑うばかりでした。
応接室で待っていた人物
僕は沈んだ気持ちを抱えながらも、事前に予定されていた「ライバル社との合同プロジェクト協議」のため、専務とともに応接室へ向かいました。
そこに待っていたのは、業界で飛ぶ鳥を落とす勢いのライバル会社を率いる女社長でした。双方の担当者が集まる中、女社長は僕の顔を見るなり、パッと表情を輝かせたのです。
「まぁ、今回のプロジェクト、あなたが仕切ってくれるのね。楽しみだわ」
実は過去の合同現場で僕が提案した改善策に、女社長は以前から深く感銘を受けていたとのことでした。
僕が「本日はよろしくお願いします」と挨拶しようとすると、専務が割り込むように口を挟みました。
「いや〜すみません、彼、退職するそうなので担当を変えますね」
驚いた女社長が「え、あなた会社を辞めるの?」と聞いてきたため、僕が答えに困っていると、女社長はまっすぐ僕を見つめて言いました。
「もしよかったら、今度改めてお話しさせてもらえないかしら。前々から、あなたのような人にうちへ来てほしいと思っていたの」 突然の申し出に、専務は明らかに顔色を変え、動揺を隠せない様子でした。
「な、何をおっしゃるんですか。彼はただの中卒の現場社員ですよ」と焦って口を挟みましたが、女社長は静かに専務へ視線を向けました。

正当な評価をしてくれる場所へ
「学歴? それが何だというのですか。彼の現場での実績と素晴らしい仕事ぶりは、業界内でも有名ですよ。こんなに優秀な人材の価値もわからないなんて、御社の評価体制はどうなっているのかしら?」
女社長の毅然とした一言に、専務は顔を蒼白にして言葉を詰まらせました。
正当に評価してくれる人の存在を知った僕は、後日あらためて女社長からの誘いを受け、ライバル社への転職を決意。前職以上の待遇と高い評価で、温かく迎え入れてもらえることになりました。
一方、現場の要であった僕を失った元の会社は、しばらく混乱が続いたそうです。専務についても、強引な査定運用や部下への高圧的な対応が経営陣の知るところとなり、人事評価の担当から外れることになったと聞いています。正当に評価される環境で、僕は今、とてもやりがいを持って働いています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。