しかし同居生活が始まると、夫は仕事を理由に帰宅時間が遅くなり、外泊も増えていきました。
さらに私を悩ませていたのは義父の態度です。介護をしてもらうのが当たり前という態度で、着替えや食事の際にデリカシーのない暴言を吐いたり、わざと夜中に何度も呼び出したりと、精神的に疲弊する毎日でした。
夫に相談しても「年寄りのわがままだから勘弁してやってくれ」と軽くあしらわれるだけでした。
私には妹がいますが、昔から性格が合わず、私のことを見下すような発言も少なくありませんでした。以前、妹が家に来た際には、義父がさっそく妹にもあれこれと口を出し始め、気の強い妹とぶつかりそうになったため、面倒になる前に早々に帰らせたこともあります。そんな妹が、まさか夫と裏でつながっていたとは思いもしませんでした。
夫と妹の裏切り
いつになっても夫は介護に協力せず、次第に私との会話も避けるようになっていきました。あまりの負担に「施設への入所を検討してほしい」と夫に頼んでも、「父さんが嫌がるから」と取り合ってくれません。
私は、幸せな結婚生活とはほど遠い状況に疲弊してしまい、「今後の生活を改めて考えたい」と伝えたところ、夫は突然怒りを爆発させました。
「俺がいなければ満足な生活もできないくせに、何を偉そうなことを言っているんだ」と私を見下し、続けて衝撃の事実を口にしたのです。
「お前の妹と再婚するから離婚してくれ」
なんと夫は、以前から妹と密かに連絡を取り合い、不倫関係になっていたというのです。思ってもみないことでしたが、これでこの過酷な生活から解放されると思うと、不思議と未練はありませんでした。
「わかった」
私があっさりと離婚を受け入れると、夫は自分が主導権を握ったと勘違いしたのか、とんでもない頼み事をしてきました。
「父さんの介護は引き続き頼む」
「家族には変わりないからな」
「お前も住むとこないだろうから、ちょうどいいだろ」
再婚後は、妹と新しいマンションで暮らすから、私はこの家に残って義父の面倒を見ろと言うのです。「父さんの年金から生活費くらいは渡してやるから」と得意げに語る夫を見て、私はあきれ果てて言葉も出ませんでした。
義父に新しい家族を紹介
私はすぐに行動しました。まず、離婚届に記入して夫に提出させました。元夫は、私との離婚成立後、ほどなくして妹と再婚しました。そして、元夫は義父に何も告げず、妹と新生活を始めるために出て行ったのです。
そのため私は、義父に元夫と妹の関係をありのままに説明しました。そして、「妹は息子さんの新しい妻です。これからは妹が、お義父さんの新しい家族になります」と伝えました。
「これからの介護については、彼らと話し合ってくださいね」
私がそう告げると、義父は以前、わが家を訪れた妹と顔を合わせていたこともあるため、「あの子かぁ」とすぐに事情を理解しました。そして、私への謝罪や気遣いはなく、「あんたより若い妹ちゃんが世話してくれるなら、そのほうがいいな!」と言ったのです。
義父は自ら元夫に電話をかけ、「お前たちの新居で暮らす。すぐに迎えに来い」と要求しました。当然、元夫は「父さんはそのままそっちにいればいいだろ」と拒否。しかし私は、間もなくこの家を出て行く予定です。元夫は義父の今後の生活や介護体制について向き合わざるを得ないのです。
私は、家を出て行くと同時に義父の介護も終了することを、元夫と義父に改めて伝えました。事前にケアマネジャーや地域包括支援センターにも相談し、私が介護を続けられないことと退去日を共有していました。義父が危険な状態で取り残されないよう必要な支援についても相談したうえで、元夫に対応を求めていたのです。
それでも元夫は何も手配しないまま当日を迎えました。私が本当に荷物をまとめて家を出ると知り、介護が必要な義父がひとりになってしまう現実に直面し、ようやく元夫は義父を迎えに来ました。義父も「息子夫婦と暮らす」と譲らず、ひとまずはそのまま元夫たちの新居へ移っていったのです。
後日、元夫から「◯◯ちゃん(私の妹)が親父の介護なんて聞いていないとパニックになっている。手伝いに来てくれないか」と連絡がありましたが、当然断りました。
元夫は、私が経済的に自立できないと見くびっていたようですが、独身時代からの貯蓄と在宅ワークの収入があるため、ひとりで生活していくには何の不安もありません。
その後の法的手続きで、元夫が慰謝料を支払うことが確定しましたが、元夫からの支払いは滞っていました。一方、訴訟などに発展することを避けたかったのか、世間体を気にする妹は早々に示談に応じ、慰謝料を支払ってきました。
数カ月後、元夫の生活は…
あれほど偉そうにしていた元夫ですが、数カ月後に連絡してきたときには、泣きながら私にすがってきました。義父の介護のために遅刻や欠勤を繰り返し、元夫の収入は大幅に減ってしまったのだとか。そのうえ、新居の家賃や生活費、介護サービスの利用料などの負担が重なり、貯蓄も底をつきかけ……。私への慰謝料もいまだに支払えず、生活は完全に行き詰まっていたのです。
元夫の話によると、義父のわがままな言動と介護の負担に耐えきれなくなった妹は、「こんな生活になるなんて聞いていない」と早々に荷物をまとめて出て行ったそうです。元夫は仕事を続けながら、ひとりで義父の介護を担うことになり、さらに遅刻や欠勤が増えて、会社での立場まで危うくなっているとのことでした。
「今になって、やっと君の大変さが理解できた。戻ってきて助けてほしい」と言われましたが、私が元夫を助ける理由はありません。「会社を辞めて介護に専念すればいいのでは?」と冷たく返しました。介護を私ひとりに押しつけ、その裏で妹と不倫していた元夫がどうなろうと、私の知ったことではありません。
後日、共通の知人から聞いた話によると、元夫は義父の介護をひとりで背負いきれず、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、施設への入所手続きを進めているそうです。
身勝手な人たちから離れ、私はようやく自分の人生を取り戻すことができました。これからは自分自身の幸せのために、穏やかな毎日を送っていきたいと思います。
◇ ◇ ◇
介護という現実的な問題から逃げ、妻を裏切った夫。まして不倫相手が妻の妹とは……。介護は、家族だけで抱え込むのではなく、本人の意向を踏まえながら、介護サービスや専門機関も頼って向き合っていく問題ではないでしょうか。それを妻だけに押しつけ、妻の気持ちを無視することは許されませんよね。家族の介護問題に直面したときは、パートナーや家族としっかり話し合い、介護サービスや専門機関も活用しながら、現実的な解決策を見つけていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※一部にAI生成画像を使用しています。
嘘松☆