私が体調不良で横になっていても、家事を手伝ってくれるどころか「ずっと家にいるんだから家事くらい完璧にしろよ」と冷たい言葉を投げかけてきます。あるときは、週末のゴルフに向けて「クラブを磨いておいて」とまで……。
おなかが目立つようになって、動くのが大変でも、夫の機嫌を損ねると、家庭内の空気が重苦しくなります。そのストレスを避けたくて、私は断れずに無理をすることも多く、とても「幸せいっぱい」とは言えない日々を過ごしていました。
理解がまったくない夫
臨月に入ると、少し動くだけでも息が上がり、おなかの張りも頻繁になって横になる回数が増えました。しかし夫は妊娠中の体調変化にまったく理解がなく、私が休んでいると露骨に不機嫌になります。
「妊娠を言い訳に家事をサボっている」「ずっと家にいてラクしてるくせに」と言われるたび、悲しくて涙が出そうになりました。
夫は自分が一家の大黒柱として稼いでいることで優位に立っているつもりなのか、私の体調を気遣う姿勢は一切ありませんでした。ベビーベッドの組み立てや出産準備の買い物への付き添いをお願いしても、「週末はゴルフの予定があるから無理」「自分でできるだろ」と冷たくあしらわれます。
挙げ句の果てには、「一日中家にいるのに準備もできないなんて、母親の自覚が足りないんじゃないか?」と説教される始末でした。
予定日より前に破水
そんなある週末の早朝、予定日より2週間早く、私は自宅で破水してしまいました。幸い、ゴルフに出かける夫が家を出る直前だったため、「破水したみたい。病院に連れて行って」と引き留めました。
しかし、夫は「俺、今日は会社の重要なゴルフコンペで幹事なんだよ。タクシーで自分で行けるだろ」と吐き捨て、家を出て行ってしまったのです。その直後、私はおなかに激しい痛みを感じ、動けなくなってしまい、手に持っていたスマホで救急車を呼びました。到着した救急隊員に母子手帳の場所を伝え、出産予定の病院へ搬送されました。
病院に着いて診察を受けると、そのまま入院となりました。ほどなくして陣痛も本格的に始まりました。心細さから夫に何度か連絡を入れましたが、応答はありません。数時間後、陣痛の合間にスマホを見ると、夫から冷たいメッセージが届いていました。
「何度も連絡するなよ」
「ゴルフの邪魔すんな!」
これ以上夫を頼ることはできないと悟った私は、事情を説明するために義母へ連絡しました。義母は驚いてすぐに病院へ駆けつけてくれ、陣痛に苦しむ私の背中をさすりながら寄り添ってくれました。
ショックと痛みで感情がぐちゃぐちゃの私は、泣きながら「もう夫に会いたくありません……」とつぶやきました。すると、私のスマホに送られてきた夫からの非情なメッセージを見た義母は激怒し、私のスマホから夫へ返信したのです。
「妻子の命よりゴルフ?」
「2人には2度と会えないわよ」
私が分娩室に入った後、ようやく事の重大さに気づいた夫から私のスマホに電話があり、義母が出たそうです。「あ、会えないってどういうこと? 生きてるよな? 破水したのはうそだと思って……」などと言い訳をしたそうですが、義母は「出産は命がけなの。命の危機にうそをつくわけないでしょう!」と一喝し、電話を切ったそうです。その後、私は無事に元気な女の子を出産しました。
夫との関係を見直した結果
産後、義母は「あんなバカ息子に会わせたらあなたの体が休まらない」と言い、私の意向を尊重してくれました。私も夫との面会を望まないことを病院側に伝えました。夫は妊婦健診に一度も同行しておらず、出産予定の病院名すら把握していませんでした。義母も病院名を伝えず、私も連絡をしなかったため、夫が病院を訪ねてくることはありませんでした。
私は、破水した朝から夫に一度も会わないまま退院し、実家に身を寄せて娘と暮らすことにしました。「母親の自覚が足りない」と私を責めておきながら、いざというときに妻子を見捨ててゴルフを優先する夫。この先、いくら反省したふりをして育児に向き合うと言われても、信用することはできません。
私は離婚を決意し、夫には娘の名前と「離婚に向けた話し合いを弁護士を通して行います」ということだけを伝え、直接の連絡を断ちました。
離婚の話し合いを進める中、夫は義母に「子どもが生まれるのを本当は楽しみにしていた」「やり直したい」と泣きついてきたそうですが、どの口が言っているのだとあきれるばかりでした。その後、ほどなくして離婚が成立しました。元夫は両家の両親からも厳しく責められ、私が提示した条件をすべて受け入れました。今では両親からも見放され、ひとり後悔の日々を送っているようです。
現在は実家で暮らしながら、娘が保育園に入れるタイミングで仕事に復帰するための準備を少しずつ始めています。初めての育児で大変なことも多いですが、両親の温かい手助けもあり、娘の笑顔に救われる毎日です。周囲への感謝の気持ちを忘れず、娘と2人で前を向いて歩んでいこうと思います。
◇ ◇ ◇
妊娠・出産は、喜ばしい出来事である一方で、女性の心身には大きな負担がかかります。妊娠中は体調や経過によって安静が必要になることもあり、無理を重ねることで母体や赤ちゃんに影響が及ぶ可能性もあります。だからこそ、パートナーには妊娠による体の変化を理解し、家事を担うなど、妊婦さんが無理をせずに過ごせるよう支える姿勢が求められるのではないでしょうか。
まして、破水した際には速やかに医療機関へ連絡し、指示を仰ぐことが大切です。そんなときに妻をひとりにして、自分の予定を優先した夫の行動はあまりにも無責任だったと言わざるを得ません。
妊娠中や出産時に不安や異変を感じたときは、ひとりで抱え込まず、医療機関や信頼できる家族などに助けを求め、自分と赤ちゃんの安全を第一に行動したいですね。
監修:関根直子(助産師)
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※一部にAI生成画像を使用しています。