ある朝突然、天井がぐるぐる回る

30代後半のある朝、ベッドで目覚めて伸びをしていると、突然天井がぐるぐる回り始めました。とにかく回転するので気持ちが悪く、動けません。その日は数分ほどで回転は治まったのですが、こんなことは40年近く生きてきた中で初めての出来事。
“これがめまいなのか……”という理解ができるまで少し時間がかかりました。
その後も同じように、朝、ベッドで横になって伸びをしていると天井がぐるぐると……。朝以外はいつもと同じような生活を送れていたので、少し疲れがたまっているのかな? と、様子を見ることにしたのです。
しかし、家族でドライブに出かけた際、車の運転席の座席シートを少し倒して休憩していたときに、あの、気持ちの悪い“ぐるぐる”に襲われたのです! これは一度病院で診てもらったほうがいいと、休み明けに病院で検査を受けたのでした。
脳には異常なし、次は…
家族や友人に相談し、最初に脳神経内科を受診しました。検査の結果、脳には異常がなく、耳鼻咽喉科の受診を勧められました。耳鼻咽喉科では、問診や聴力検査のほか、水中眼鏡のような器具を着け、頭をさまざまな方向に動かしながら、めまいが起きたときの目の動きを確認する検査を受けました。
私は「良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)」と診断されました。これは、頭の位置を動かしたときにめまいが起こる病気だそうです。医師からは、内耳の耳石器から剝がれた耳石(じせき)が半規管に入り込み、頭を動かした際にめまいが起こると説明を受けました。2週間から1カ月くらいで良くなると言われ、少し安心したのでした。
しかし、1カ月が過ぎても相変わらずめまいが起きました。以前のように回転するめまいは少なくなりましたが、常に船酔いをしているような気持ちの悪いふらつきが起こるようになりました。
再度、耳鼻咽喉科を受診し、酔い止めの内服薬を処方されたのですが、効き目を感じることができず、精神的に落ち込んでしまう日々が続いたのです。
医師から言われた言葉で考え方が変わる
そんな私の姿を見て、家族が地元では有名な耳鼻咽喉科専門クリニックをすすめました。クリニックでは、これまでと同じような問診や検査を受け、同じく「良性発作性頭位めまい症」と診断されました。
きっとまた酔い止めの内服薬が処方されるだけだろうと思っていた私に医師が言った言葉は、
「あなたに出す薬はありません。酔い止めの薬も出しません。薬は、よく食べて、よく寝て、運動して、元気に生活することだけです!」
言われた瞬間は、あっけにとられてしまったのですが、医師のこの言葉になんだかいろいろ吹っ切れた気持ちになれたのです。
さらに医師は、「会社でずっとパソコンの前に座っていてはダメだよ。1時間に1回は休憩して、肩や首を動かすこと。食事をしっかりとり、運動も取り入れて」と具体的なアドバイスをしてくれました。
クリニックをあとにし家に着くころには、「薬がないなら仕方ない! 自分次第なんだ! とにかく体を動かそう!」と、とても清々しく前向きな気持ちに切り替わっていたのです。
早速、翌日から会社ではなるべく時間を決めて休憩を取り、肩や首周りのストレッチをするように。帰宅後はウォーキング、その後はゆっくりと入浴し、早めに就寝するようにしています。
◇◇◇◇◇
この診察を最後に、めまいの症状で耳鼻科を受診することは今のところありません。あれだけ悩んでいためまいも、気付かないうちに治まっていきました。
あのときの医師の言葉が、私の後ろ向きな考えを変え、回復への近道に導いてくれたと思います。今でも少しふらつきを感じるときは、肩や首のストレッチをしたり、仕事の合間にこまめに休憩をとったりして、早めに就寝しています。
自分の体と向き合いながら、無理をしない生活を心がけています。薬ではなく、医師の言葉に救われた体験でした。
監修/高島雅之先生(たかしま耳鼻咽喉科院長)
日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本睡眠学会専門医。金沢医科大学医学部卒業。金沢医科大学耳鼻咽喉科で講師を務めたのち、2007年に開院。「病気の状態や経過について可能な範囲でわかりやすく説明する」ことをモットーに地域医療に従事。「宇都宮スリープセンター」を併設し睡眠医療にも携わる。テレビやラジオなどメディアでも、いろいろなジャンルにおいて医療情報を発信。著書に『専門医が教える鼻と睡眠の深い関係 鼻スッキリで夜ぐっすり』(クロスメディア・パブリッシング)があり、Amazonのカテゴリー7つで1位を獲得。
著者:三澤 凛/40代独身・会社員。病気を機に自分の体を大切にしてあげることを痛感。食事内容に気を付け、運動する機会を増やすよう奮闘中!
イラスト:マメ美
44歳で始まっためまいと不安感

私の不安感はある日突然やってきました。44歳のときです。仕事中にパソコンを操作しているとき、今まで経験したことのないめまいに襲われました。しばらく休憩室で横になってもぐるぐる回ったまま。その日は早退させてもらい、自宅で1日中寝ていました。
しかし、その日を境に1日の中で何回もめまいに襲われるようになり、その後も定期的にめまいの症状に悩む日々が続きました。
最初は内科を受診しましたが、原因は特定されませんでした。その後耳鼻科を受診し、「良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょう)」と診断されました。
半年ほど通院し、処方された薬によって症状は徐々に軽減しました。しかし、「いつまた発作が起きるのか」「外出先で発作が起きたらどうしよう」という恐怖心から、不安感が強まりました。
不安感が日常生活にも影響するようになり、心療内科を受診することになりました。さらに、不安感や体調不良に更年期が関係している可能性も考え、婦人科を受診しました。診察や検査を受けた結果、更年期障害と診断され、ホルモン補充療法を開始しました。
心療内科では抗不安薬と抗うつ薬を処方してもらい、とにかく不安な日々を過ごしていました。
今思えば、仕事で体を酷使することが多いうえ、当時高校1年生だった長男の不登校や、中学1年生だった次男が所属する野球チームの保護者との人間関係もあり、心身ともに疲れ切っていたのだと思います。
ヨガスタジオでヨガニドラーを体験
私はスポーツインストラクターをしていて体を動かすことが好きだったのもあり、通っていたヨガスタジオのワークショップを受けていました。その中に瞑想を学ぶコースがあり、受講生となり2カ月ほど通いました。これが私とヨガニドラーとの出合いとなりました。
ヨガニドラーは「眠りのヨガ」です。ヨガマットの上にあお向けになり、目を閉じてくつろぐポーズで、インストラクターのガイドに耳を傾けるものです。ヨガというとストレッチの要素が入ったポーズを取るものと思っていた私は、「これで何か変わるのかな?」と半信半疑でした。
しかし、一度体験してびっくり! なんともいえない心の安らぎとリラックスを感じたのです。これはやってみる価値がある!と思って、続けることにしました。
ヨガニドラーを続けてみた結果
ヨガニドラーのCDを買っていたのもあり、自宅でもおこなうことにしました。今は有料のアプリを使って毎日1日1回、昼食の後に20分ほどのものをルーティンにしています。
ヨガニドラーはインストラクターのガイドに従いながら、じっとあお向けのポーズで体を細かく意識します。ヨガニドラーは、ガイドを聞きながら体の各部位に意識を向け、心身をリラックスさせていく方法です。以前通院していた心療内科では、自律訓練法というリラクゼーション法について教わったことがあり、私はヨガニドラーにも似たところがあると感じました。
自律訓練法と異なると感じたのは、「サンカルパ」(サンスクリット語で「決意」の意味)と呼ばれる、前向きな決意を心の中で唱える時間があることです。私が学んだ方法では、3回唱えます。ヨガニドラーの中には2回サンカルパの時間がありますが、毎回変えずに言い聞かせるようにやります。私が学んだ方法では、ヨガニドラーの最初と最後にサンカルパをおこないます。
私は、「体の不調を軽くしたい」「毎日を快適に過ごしたい」とサンカルパで唱えました。ヨガニドラーを続ける一方で通院や治療も続け、医師と相談しながら、徐々に抗うつ薬の服用を終え、抗不安薬も減量しました。私にとってヨガニドラーは、日常の忙しさから解放されるための、自分を見つめ直すきっかけにもなっています。
ヨガニドラーを始める46歳のときは、頑張ることが良いこと、無理してでも自分を奮い立たせて突っ走ってきたところがありました。しかし、頑張ることだけが良いことではなく「自分にやさしく」することも大事なんだ!と思えるようになり、日々の体調に耳を傾けるようになりました。
しんどかったら、「今日は無理しないでペースダウンしよう、こんな日もあるよね~」というように。
◇◇◇◇◇
以前の私は自分のことは後回し、仕事では責任のあるポジションに就くなどに加え、体の変化についていけなくて落ち込むことが多々ありました。もともと体が弱かったこともあり、体の不調には慣れていましたが、まさかメンタルの不調になるとは思いませんでした。ストレスに対する受け止め方が若いときより弱くなっていることを改めて感じています。
生活のペースを落としてから、不安感も以前より少なくなったように感じています。私にとっては、ヨガニドラーで心身を休める時間を日常的に持つことも、気持ちの変化につながったのかもしれません。以前お世話になったヨガインストラクターからは、「人は体を緊張させることは得意でも、緩めることは苦手」と教わりました。これからも、ヨガニドラーを続けて「自分にやさしく」過ごしていきたいと思います。
監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)
2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。
著者:吉野和見/50代女性。管理栄養士・健康運動指導士としてフリーランスで活動中。 40代前半から不調に悩まされあらゆることを試行中。
まとめ
2人の体験からは、不調と向き合う中で「自分を追い込み過ぎないこと」の大切さが伝わってきます。生活習慣を見直したり、心と体を休める時間を意識したりすることで、自分の状態に目を向けるきっかけになったようです。忙しい毎日の中で、自分でも気付かないうちに無理を重ねていることがあるのかもしれません。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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