仕事が忙しくて家事まで手が回らないと「だらしない」と責められ、スーパーのお総菜を夕食に出せば「仕事を言い訳にするな」と言って手をつけてもらえないことも。
ちょうどそのころ夫は会社で昇進し、仕事が忙しくなっていました。私は「きっと仕事のストレスがたまっているんだ」と自分に言い聞かせ、夫の言葉に傷つきながらも我慢していたのです。
「結婚してやった」と私を見下す夫
ある日、夫の友人から食事に誘われ、私たち夫婦は彼の家を訪ねました。
ところが、友人の前でも夫の態度は変わりません。私の家事や仕事について、いつものように不満を並べ始めたのです。
あまりの言い方に、友人も「さすがに言い過ぎじゃないか」と止めてくれました。しかし、夫は悪びれる様子もなく言いました。
「俺は30歳でバツイチのお前と結婚してやったんだぞ」
人前でそこまで言われ、さすがに私もムッとしてしまいました。
帰り道、夫に「昔はもっとやさしかったよね。どうしてそんな言い方をするようになったの?」と尋ねた私。すると夫から返ってきたのは、思いもしなかった言葉でした。
「そんなこと言って、離婚されてもいいのか? 30歳でバツ2になったら、次はないかもしれないぞ」
腹が立つと同時に、胸の奥を突かれたような気持ちになりました。私は一度離婚を経験していたため、「また結婚に失敗したくない」という思いが人一倍強かったのです。
「本当に次はないかもしれない……」
そう考えてしまい、その日は何も言い返せませんでした。
離婚を決意した理由
それから夫の態度は、さらにひどくなっていきました。
夫は「離婚するぞ」と脅せば、私が何を言われても我慢すると考えていたのでしょう。実際その通りだったと思います。
しかし、私はある日、離婚を決意。それは仕事まで見下されたことがきっかけでした。
その日、仕事の都合で早朝に家を出なければならず、前日の夜に「明日の朝食だけは自分で用意してほしい」と夫に頼みました。
すると夫は不機嫌になり、「お前の仕事なんて誰にでもできるだろ。俺の朝飯より大事なのか?」と言ったのです。
その瞬間、これまで我慢してきたものが一気に崩れ、「ああ、もう無理だ」と思いました。
「今度こそ最後まで添い遂げたい」と思っていた私。その気持ちがあったからこそ、多少つらくても我慢しなければならないと自分に言い聞かせていたのです。
しかし、相手の言うことを何でも聞いて我慢することと、結婚生活を大切にすることは違います。
「こんな毎日を送るくらいなら、ひとりで暮らしたほうがいい」――そう思えるようになった私は、その場で夫に離婚したいと伝えました。
妻の決意を嘲笑った夫
ところが夫は、私が本気だとは思わなかったようです。
あくる日、離婚届を用意して話し合おうとすると、「離婚届を見せれば、俺が焦ってやさしくなるとでも思った? お前に離婚なんてできるわけないだろ」と鼻で笑いました。
その態度を見て、私の気持ちは完全に冷めてしまいました。私は必要な荷物をまとめて実家へ戻り、その後、夫と離婚についてメッセージで話し合うことに。
夫は最後まで「困るのはお前だ」と強がっていましたが、最終的には離婚に同意。双方が署名した離婚届を提出し、私たちの離婚は成立したのです。
離婚後、元夫からは、「せっかく結婚してやったのに。もう再婚なんて無理だと思ったほうがいいぞ」というメッセージまで届きました。私は返信せず、そのメッセージも保存しておくことに。
これでようやく元夫との生活から解放された――そう思っていたのですが、数カ月後、思いもよらないことが起こったのです。
実家へやってきた元夫
ある日、元夫が突然、私の実家を訪ねてきて、顔を合わせるなり「やり直したい」と言い出したのです。
詳しく話を聞くと、夫は私と離婚したあと、憂さ晴らしをするかのように、これまで私に向けていたきつい言葉を職場の部下にもぶつけることが増えていったようです。
ある部下が元夫の発言を記録し、上司に相談したことで問題になり、元夫は会社から厳重注意を受けたとのこと。その後は担当を外されるなどして職場に居づらくなり、周囲との関係も悪化。結局、自分から会社を辞めたと話していました。
そして元夫は、「お前だけは俺のことをわかってくれていた。あんな俺にもずっと耐えてくれただろ。俺の本当の理解者はお前しかいない」と言ったのです。
私は耳を疑いました。私が暴言に耐えていたのは、元夫を理解していたからではありません。再び離婚することが怖く、自分さえ我慢すればいいと思い込んでいただけでした。
数日後、以前一緒に食事をした元夫の友人から連絡があり、職場でトラブルを起こして退職したという元夫の話が事実だったことがわかりました。元夫の友人からも「かなり参っているようだ」と言われましたが、私は元夫とやり直したいとは少しも思いませんでした。
そもそも当時の私は、婚姻中に受けた暴言について弁護士へ相談中だったのです。元夫から届いたメッセージはもちろん、結婚生活の後半には、暴言を録音したデータや、言われたことを日付とともに残した記録もありました。それらをもとに、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できるか確認してもらっていたのです。
そんなことなどつゆ知らず、「もう一度だけチャンスをくれ」と繰り返す元夫。もちろん、私はきっぱり断りました。離婚したことでようやく、「結婚していること」よりも「自分を大切にできる生活」のほうがずっと大事だと気づけたからです。
元夫がこれからどう生きるのかは、もう私には関係ありません。ただ、自分が周囲の人に投げつけてきた言葉については、一度きちんと向き合ってほしいと思っています。
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相手の立場が自分より弱いと決めつけ、「何を言っても許される」と思い込んでしまえば、大切な関係も信頼も失いかねません。夫婦だからこそ、どちらかが上に立つのではなく、お互いの気持ちを尊重し、思いやりを忘れずにいたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。