記事サムネイル画像

「旦那様はここへは来ません」離婚前夜、最後のデートに現れた見知らぬ女性→直後、私が走り出したワケ

夫と結婚して10年。高校時代から付き合いである私たちは、人生の半分以上を一緒に過ごしてきました。しかし、半年ほど前から夫の態度がなんだかおかしくなりました。一緒に過ごすことが多かった休日も、ひとりでどこかに出掛けることが多くなり、予定が入っていないときも「疲れている」と部屋で寝てばかり……。

平日も、仕事があるからと私を避けて部屋にこもり、会話もめっきり減りました。何か私に隠し事があるのは直感的にわかりましたが、私にはそれを調べる勇気がありませんでした。

 

離婚を決意

ついに、ヒリヒリした毎日に限界を迎えた私が爆発してしまいます。単刀直入に浮気しているのかと聞くと、夫は「俺のこと疑ってるの?」と冷たい目で私を見ました。

 

休日はひとりで出掛けていき、仕事から帰っても部屋から出てこようとせず、会話もほとんどなし……こんな状況が続けば疑いたくもなると反論すると、夫はそれを否定するわけでもなく「だったら好きにすれば?」と言ったのです。

 

 

もう以前のように私を愛してくれる夫ではなくなってしまった……。そう思った私は、それならせめて夫を嫌いにならないうちに離れたいと考え、離婚を決意しました。案の定、夫もすんなりと離婚を受け入れてくれました。

 

そして、あれよあれよという間に離婚の話し合いが進み、気付けば明日は離婚届を出しにいく約束をした日。私は最後に1つだけお願いを聞いてほしいと夫に言い、お気に入りのレストランで最後の食事をしようと提案しました。

 

夫は少し戸惑った様子を見せましたが、「……わかった」と承諾してくれました。久しぶりに、夫の穏やかな表情が見られた気がしました。

 

 

最後のデートに現れたのは謎の女性

早めに仕事を終えた私は、少し早いと思いつつレストランに向かいました。プロポーズ、結婚記念日、誕生日……私たち夫婦の大切な日を過ごしてきたレストランに、こんなにつらい気持ちで行く日が来るとは思ってもいませんでした。

 

「あなたたち夫婦の最初から最後までを見届けられて光栄だけど……とても寂しいわ」


予約を入れるとき、簡単に事情を話していたため、オーナーの奥さんは私を見るなり、そう声をかけてくれました。いつも穏やかなオーナー夫婦は、私の理想の夫婦像だったのです。

 

 

私は涙をこらえながら軽く会釈をして、案内された窓側の席へ。「先にお店に入っている」と夫にメッセージを送り、夫が来るのを待っていました。

 

しかし、待ち合わせの時間を大幅に過ぎても、夫は現れず、メッセージも既読にはなりません。直前で気が変わったのかもしれないと不安になっていると、店の入り口が急に騒がしくなりました。

 

息を切らした若い女性がオーナーの奥さんに何かを尋ねています。すると、オーナーの奥さんが私の席を指し示し、女性はこちらへ駆け寄ってきました。「あの……!」女性が私の名前を知っていることに驚きながら話を聞くと、彼女は切迫した表情で言いました。

 

「旦那様は今日、ここには来ません!」

 

 

夫の隠し事

「あなた、夫の浮気相手……?」混乱した私が尋ねると、女性は慌てて首を横に振り、自分は夫の職場の後輩だと名乗りました。

 

夫は退社しようとした矢先、職場で突然倒れ、緊急搬送されたとのこと。意識がもうろうとする中で、「妻がレストランで待っている」「知らせないと……」と繰り返し、店の名前と私の名前を後輩に伝えたそうです。

 

後輩は私の連絡先を知らず、夫のスマホもすぐには確認できない状況でした。幸い、店は職場から近く、近所では有名なお店だったため、救急車を見送ったあと、直接知らせに来てくれたのです。

 

私は後輩の女性と一緒に、急いで病院へ向かいました。その道中、彼女から“夫が半年前に重い病気を宣告されていた”ことを聞かされたのです。

 

 

半年前といえば、夫の態度が変わったころ。休日ひとりで出掛けていたのは通院や治療のためで、部屋にこもって寝ていたのは体調が悪かったからでしょう。私が感じ取っていた隠し事というのは、浮気ではなく病気だったのです。

 

会社の一部の人だけが事情を知っていましたが、夫は周囲が何度説得しても、頑なに妻には病気を明かさないでほしいと譲らなかったと言います。きっと病気を理由に離婚はしてくれないだろうから、頑張って嫌われる努力をすると話していたそうです。

 

その話を聞いて、何も知らなかったとはいえ勝手に浮気を疑い、夫の体調など気に留めることもなく、自分のイライラをぶつけてしまったことを激しく後悔しました。私は離婚を撤回し、夫と一緒に病気に向き合うことを決めたのです。

 

 

全力で闘い抜いた時間

病院に到着すると、夫は点滴を受けている最中でした。私に気付き、気まずそうな顔を見せます。私は手を握り、「一緒に闘いたい」と告げたところ、夫はうれしそうに笑ってくれました。

 

それからは文字通り一丸となってあらゆる治療を試し、私たちは夫婦としてより一層絆が深くなりました。しかし、一進一退を繰り返しながらも夫の病状は悪化し、帰らぬ人となりました。

 

やれるだけのことはやったと自信を持って言えるほど濃い時間を過ごしたので、後悔はありません。きっと、何も知らずに離婚を選択していたら一生後悔していたと思います。

 

夫がいなくなった事実を受け入れるまで、まだ少し時間はかかるかもしれません。しかし、夫には何に対しても全力で向かうことの大切さを教えてもらった気がします。今後も月命日にはいつものレストランに足を運んで、オーナー夫婦と夫の思い出話でもしながら、夫の分まで今を全力で生きていきたいと思います。

 

◇ ◇ ◇

 

大切な人を思うあまり、自分ひとりで抱え込んでしまうこともあるかもしれません。けれど、何も知らされないまま距離を置かれる側もまた、不安や悲しみを抱えてしまいます。

 

つらいことほど伝えるのは勇気がいりますが、夫婦や家族だからこそ、一緒に向き合えることもあります。限られた時間を後悔なく過ごすためにも、ひとりで決めてしまうのではなく、思いを言葉にして伝え合うことを大切にしたいですね。
 

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ベビーカレンダー記事制作の取り組み
\ この記事にいいね!しよう /
シェアする

  • コメントがありません

この記事の著者
著者プロファイル

ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

読者からの体験談をお届けします。

同じ著者の連載

新着記事が配信されたら、メールやプッシュ通知でお知らせ!

気になる記事をまとめ読み

人気連載

新着連載

連載完結

もっと見る

注目記事を探す

人気記事ランキング

アクセスランキング
コメントランキング

お得な無料キャンペーン

エンタメの新着記事

PICKUP