結婚あいさつの場に、謎の女性
彼との結婚が決まり、彼の実家へあいさつに行った際のことです。彼の実家近くで落ち合うことになっていましたが、彼から「急きょ用事があって少し遅れる。先に家に入っていて」との連絡が。
結婚あいさつなのに……とは思いましたが、私自身、もともと彼のご家族とは交流があり、そのままひとりで彼の実家へ向かいました。とはいえ、正式な結婚あいさつ。緊張の中で彼の家のインターホンを押すと、出迎えてくれたのは、彼の母と……見知らぬ女性でした。
ごきょうだいかな?などと困惑していると、彼の母から「息子の幼なじみのA子さんです」と紹介されました。
「どうして結婚のあいさつに、彼の幼なじみが?」と疑問に思いましたが、彼の母は「A子さんは小さいころから知っているし、家族みたいなものだから」と当然のような様子でした。
彼母「美人と結婚させたい」
その後、中に通してもらい、彼が来るまで3人で話をしていました。しかし、彼の母の一方的な言葉が続くばかり。それも、私とA子さんを比べるようなものばかりでした。
「A子さんは、小さいころから本当にかわいくて。そのまま大人になってすごく美人さんよね」
「明るくて気が利くし、昔から息子とも仲がよくてね」
あまりにも彼の母がA子さんを褒め続けるので、どういう反応をしたらよいのかわからず、次第に居心地の悪さを感じるようになりました。そして、A子さんのことをひとしきり褒めたあと、彼の母は驚くことを口にしたのです。
「私、あなたと息子の結婚に賛成してないの」
「子どものことを考えると、美人と結婚させたいの。あなたよりA子さんのほうがお似合いだと思う」
「だから、息子との結婚の話はなかったことにして」
平然と言う彼の母に、私は呆然。A子さんも否定する様子はなく、ただ微笑んでいました。
彼本人がいないところで突然そんな話をされ、私はどうしていいかわからなくなり……。私は「今日は失礼します」と言って、そのまま彼の実家をあとにすることしかできませんでした。
彼は何も知らなかった
家を出てから彼に連絡し、このとき起きた出来事を伝えました。
すると彼はひどく驚き、「A子がいることも、母さんがそんなこと思っていたのも知らなかった」とのこと。もちろんA子さんと結婚するつもりはなく、「僕が結婚したいのは君だ」とはっきり言ってくれました。
彼によると、A子さんとはたしかに幼なじみではあるものの、交際したことは一度もないそうです。以前、A子さんから好意を伝えられたことはあったそうですが、そのときも断っていたとのこと。彼の母はたしかに昔からA子さんを気に入っており、「いつかA子ちゃんと結婚してくれたら」と言われることがあったそうです。ただ彼は冗談だと思い、そこまで深く考えていなかったと打ち明けてくれました。
その後、彼から母親に連絡してもらい、彼と彼の母とで話し合いがおこなわれました。結果的に、このときの話し合いは平行線のまま。そこで私たちは、しばらく彼の母とは距離を置き、自分たちのペースで結婚の準備を進めることにしたのです。
私たちが選んだ道
その後しばらくして、彼の母から再び連絡があったそうです。どうやらA子さんには別に交際している男性がいることがわかり、彼の母が期待していた「息子とA子さんの結婚」はなくなったとのこと。
これで私たちの結婚を素直に認めてくれるのかと思いましたが、彼の母から届いたのは「それなら、あなたが選んだ人と結婚すれば」という投げやりな言葉でした。
彼はそんな母親の態度に「結婚相手は自分で決めるし、これ以上、彼女を傷つけるようなことを言うなら本当に距離を置く」とはっきり伝えてくれました。その後、私たちは予定どおり入籍。彼の母とは必要以上に関わらず、夫婦2人で穏やかに暮らしています。
結婚あいさつの日は本当に衝撃的でしたが、彼が母親の意見に流されず、最後まで私との結婚を選んでくれたことはうれしかったです。結婚する相手を決めるのは、親ではなく本人。あの出来事を通して、改めてそう感じました。
イラスト:藤まる
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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