そんなある日、夫から「うちの親に、初孫を見せに行こう」と言われ、義実家を訪れることに。
お祝いしてもらえると思っていた私でしたが、そこで待っていたのは、さらに心をえぐるような言葉の数々でした……。
夜泣きよりつらかった夫の心ない言葉
深夜2時。私は泣き続ける息子を抱き、部屋の中を歩き回っていました。
おむつを替え、授乳をして、室温や服装も確認。それでも泣き止まない息子を何とか落ち着かせようと、必死にあやしていたのです。
すると、ベッドに横になっていた夫から冷たい声が飛んできました。
「いつまで泣かせてるんだよ。うるさくて眠れないだろ」
「私だって泣き止ませようとしてるよ……」と返しても、夫は起き上がろうともしません。
「明日は朝から会議なんだよ。早く静かにさせてくれよ」と言って、夫は頭まで布団をかぶってしまいました。
妊娠中には「夜泣きも俺に任せて」と言っていたはずなのに、実際に息子が生まれてから、夫が夜泣きの対応をしてくれたことはありません。それどころか、昼間には別のことで私を責めるように……。
さらに別の日、夫から突然「最近、小遣いが足りないんだけど」と言われたのです。
「この前、追加で渡したばかりだよね?」と確認すると、露骨に不機嫌な顔になった夫。
「細かいこと言うなよ。俺が働いて稼いだ金だろ」
その言葉に、私は何も言い返せませんでした。産後、私は自分の収入が減っていたこともあり、夫にそう言われると、胸にとげが刺さったような気持ちになっていました。
「家事は俺がやる」「育児は2人でするものだろ」と言ってくれた人は、一体どこへ行ってしまったのだろう……。私は悔しさをこらえながら、腕の中の息子のことだけを考えるようにして過ごしていました。
初孫のお祝いのはずが…
そんな生活が続いていたある日、夫が言いました。
「今度の週末、うちの実家に息子を見せに行こうよ」
正直なところ、私はあまり気が進みませんでした。産後で体力も戻りきっておらず、息子を連れて出かけるだけでも大変だったからです。
それでも、義両親にとっては初孫。きっと楽しみにしてくれているだろうし、少しくらいなら……と考え、行くことを決断。
当日はおむつや着替え、授乳に必要なものなどを準備し、息子を抱いて義実家へ向かった私たち。ところが義実家の玄関に入った途端、義母から思いがけないことを言われたのです。
「あら、あなたも来たの? 息子と赤ちゃんだけかと思っていたわ」
冗談だったのかもしれません。しかし、ただでさえ疲れ切っていた私には、その言葉がひどく冷たく感じられました。
それでも、その場の空気を悪くしたくなくて、私は何も言わず居間へ。しばらくはたわいもない話をしていましたが、突然、夫が義両親の前でこんなことを言い出したのです。
「俺、最近ずっと寝不足なんだよ。夜中に全然寝られなくてさ」
まるで自分だけが育児で苦労しているような口ぶり。さらに夫は、私がうまくあやせないせいで、息子の夜泣きが長引いているかのような話まで始めました。
すると義母まで、「母親なのに、赤ちゃん1人あやせないの? 要領が悪いんじゃない?」と言い出したのです。
義父からも、「息子は外で仕事をしているんだから、夜くらい寝かせてやらないと」と言われました。
私は息子を抱きながら、黙ってその言葉を聞いていました。本当は「夜中に起きているのは私です」と言いたかった。「あなたたちの息子は何もしていません」とも言いたかった。
それでも、必死に耐えていました。
しかし、義母から続けて「母親なんだから、もう少ししっかりしないと」と言われた瞬間、心がスッと冷めてしまったのです。
息子を抱いて義実家を出た私
私は義母を見て、静かに言いました。
「お義母さんは、きっと完璧なお母さんだったんですね」
義母は驚いたように私を見ましたが、私はそのまま続けました。
「私は毎晩、息子が泣くたびに起きています。授乳もおむつ替えも、すべて私がしています」
「夫は何もせず、『うるさい』『早く泣き止ませろ』と言うばかりです。私はもう限界です」
夫が慌てて私を止めようとしましたが、もう黙っているつもりはありませんでした。
「妊娠中は家事も育児も一緒にすると言ってくれていました。でも、今はほとんどしていません。それなのに、私が何もしていないように言われるのは納得できません」
黙ってしまった義両親に向かって、私はさらに続けました。
「そんな夫の話だけを聞いて、『母親なんだから』『要領が悪い』と責められるために、今日ここへ来たわけではありません」
部屋は静まり返り、誰もすぐには何も言いませんでした。
その沈黙の中で、息子の荷物をまとめた私。夫から「おい、待てよ」と言われましたが、義両親に「今日はもう帰ります」と告げ、夫には「今はあなたとも話したくない」と伝えて、息子を連れて義実家を出ました。
帰宅する途中、涙が止まりませんでした。
言い返せた爽快感などありません。ただ、「これ以上ここにいたら自分が壊れてしまう」と思ったのです。その日は、帰宅した夫とはほとんど口を利かず、私は息子のお世話をして休みました。
数日後、少し気持ちが落ち着いてから、夫と改めて話し合うことに。
私は、産後ずっと寝不足だったこと。夫から責められるたびに苦しかったこと。そして義実家で私を悪者のように話されたことで、夫への信頼が大きく揺らいだことを伝えました。
「このままあなたが何も変わらないなら、私はこれから一緒に子育てをしていける自信がない」
そこまで伝えると、夫はようやく自分の言動がどれほど私を追い詰めていたのか気づいたようでした。
夫はしばらく黙ったあと、「自分が仕事をしていることを言い訳にしてた。家に帰ったら休んで当然だと思って、全部任せてた。本当にごめん」と謝ってくれました。
夫は義母にも、実際には夜泣き対応や育児のほとんどを私に任せていたことを説明したそうです。後日、義母から私に謝罪がありました。
「息子の話だけを聞いて、あなたを責めてしまってごめんなさい」
「大変な時期なのに、あんなことを言うべきじゃなかったわ」
すぐに気持ちを切り替えられたわけではありません。それでも、きちんと謝ってもらえたことで、少しだけ気持ちが軽くなりました。
夫も、その日を境に突然「完璧な父親」になったわけではありませんでしたが、帰宅後にお風呂を担当したり、休日には息子を抱いて私を昼寝させてくれたりと、少しずつ育児をするように。家事についても、できることから分担するようになりました。
あのとき義実家で黙って耐え続けていたら、私は今もひとりで抱え込んでいたかもしれません。
息子を抱いて「もう帰ります」と言ったあの日は、夫婦で子育てをするために必要な日だったのだと思っています。
◇ ◇ ◇
産後は、赤ちゃんのお世話だけでも心身ともに大きな負担がかかる時期です。そんなとき、身近な家族から責められれば、さらに追い詰められてしまうでしょう。
我慢し続けるのではなく、時にはその場から離れ、自分が何に傷ついたのか、相手に何を変えてほしいのかを伝えることも大切です。夫婦で子育てをしていくためには、どちらか一方に負担を押しつけず、お互いの状況に目を向ける必要があるのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。