スマホに夢中な夫の相手は幼なじみ
夫はスマホに夢中で、娘のことをほとんど気にかけなくなっていました。何度呼びかけても返事をしてもらえず、寂しそうにしていた娘を見て、私はとうとう我慢の限界に。
「最近、誰とそんなに連絡を取っているの? 娘が話しかけても無視しているじゃない」
私が尋ねると、夫は露骨に不機嫌な顔をしました。
「お前にはわからない事情があるんだよ。いろいろ相談されているだけだ」
詳しく聞こうとしたのですが、夫はスマホを伏せて話を終わらせようとしました。私は、娘をないがしろにしてまで連絡を続ける理由を説明してほしいと伝えました。
追及された夫は、連絡相手が同窓会で再会した幼なじみの女性だと白状。彼女から夫婦関係や仕事の悩みを相談され、放っておけなかったというのです。
「昔からの友だちなんだから、相談に乗るくらいいいだろう」
夫はそう言い張りました。しかし、朝から晩まで頻繁にメッセージを送り合い、家族と過ごす時間まで電話を優先するのは、明らかに単なる相談相手の範囲を超えています。
私は連絡を控えてほしいと頼みましたが、夫は「幼なじみだから何もない」の一点張り。いくら話し合っても、私たちの溝は埋まりませんでした。
偶然聞いてしまった夫の言葉
ある日、娘と外出して自宅へ戻ると、夫はまた幼なじみと電話中。私たちが帰宅したことに気づいていなかったようで、夫の口からは信じられない言葉が聞こえてきました。
「離婚の話はまだ進んでいないけど、俺は君一筋だよ」
頭が真っ白になりました。
それでも、その言葉だけで夫に詰め寄れば、また言い逃れをされる――そう思った私はその場で問いたださず、聞いた日時と会話の内容を記録。その後、離婚問題を扱う弁護士に相談し、助言を受けたうえで調査会社へ依頼しました。
調査を始めてしばらくすると、夫と幼なじみが何度も2人きりで会い、ホテルへ出入りしていたことが判明。調査報告書には、日時のわかる写真や行動記録もそろっていました。
夫が言っていた「相談に乗っていただけ」という説明では、到底通らない内容でした。私は証拠を安全な場所に保管し、弁護士と相談しながら離婚や慰謝料、娘の親権、養育費について整理しました。感情のまま夫を責めるのではなく、今後の生活を守るための準備を進めたのです。
準備が整ったところで、私は夫に「一度、幼なじみも交えて3人で話したい」と、あえて穏やかに切り出しました。私が責める様子を見せなかったためか、夫は私が2人の関係を受け入れたと都合よく解釈したらしく、急に機嫌をよくしました。
「ようやく幼なじみとの関係を理解してくれたんだな」
そう言って安心した様子を見せた夫に、私は心底あきれました。
態度を変えた2人
そして話し合いの日――。
自分の実家に娘を預けた私。夫と幼なじみがそろったところで、私は離婚する意思を伝え、弁護士と相談してまとめた条件を示しました。
すると、2人の表情が一変。
「誤解だよ。俺たちは昔から仲がいいだけだ」
「子どものころから距離が近かったから、今もその延長で……」
2人は慌てて関係を否定しました。しかし、私はホテルへの出入りを記録した写真や調査報告書を突きつけました。
「相談をするために、何度も2人でホテルへ行ったの?」
そう尋ねると、黙り込んでしまった2人。
幼なじみも結婚していましたし、彼女自身も夫が既婚者であることを知っていました。お互いに既婚者だと理解しながら関係を続けていた以上、それぞれが自分の家庭と向き合わなければなりません。
私は、弁護士を通して幼なじみの夫にも事実を伝える予定だと告げました。すると彼女は青ざめ、「夫には言わないでほしい」と泣きながら頼んできました。
夫も「離婚するつもりはなかった」「家族を捨てる気はなかった」と謝罪。しかし、家庭を失いたくなかったからといって、不貞行為がなかったことにはできません。
離婚後、夫が失ったもの
その後の交渉は弁護士を通して進めました。夫とは離婚や財産分与、娘の親権、養育費について協議し、最終的に合意。慰謝料についても、夫と幼なじみの双方と話し合い、事情を踏まえた金額でそれぞれ示談が成立しました。
幼なじみの夫も事実を知り、彼女との離婚協議を始めたそうです。夫と幼なじみは互いに家庭を失う現実を突きつけられると、急速に関係が悪化したのだとか……。
娘と一緒に暮らせなくなり、養育費を支払い続けることになった夫。幼なじみとの関係も終わったと聞きましたが、私にはもう関係のないことです。
一方、私は娘と新しい生活を始めました。離婚に至るまでの手続きや話し合いは簡単ではありませんでしたが、夫の様子をうかがいながら暮らしていたころより、家の中はずっと穏やかになりました。
夫が「ただの幼なじみ」という言葉を隠れみのにして家庭をないがしろにした結果、失ったものは決して小さくなかったと思います。
◇ ◇ ◇
昔から親しい相手であっても、一線を越えて不貞関係になれば、「ただの幼なじみ」という言葉では済まされません。配偶者を裏切る行動によって、それまで築いてきた信頼や家庭を失うこともあり、その代償は決して小さなものではないでしょう。夫婦関係を築いていくうえでは、相手への誠実さを忘れず、信頼を損なうような行動をしないことが大切です。
また、パートナーの言動に強い違和感を覚えたときは、感情のまま問い詰めるのではなく、状況を整理したうえで必要に応じて専門家へ相談することも一つの方法です。自分や家族の生活を守るためにも、冷静に行動したいものですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。