30代後半から始まった生理の変化
30代後半から、長年安定していた生理周期が急激に短くなっていきました。生理痛はさほどひどくなかったものの、年に14~15回ほど生理が来るように。さらに経血量も少しずつ増え、健康診断では貧血を指摘されました。それをきっかけに婦人科を受診したところ、医師の診断で低用量ピルと鉄剤による治療を受けるようになりました。
服薬後は生理周期が安定し、息切れや立ちくらみといった症状もある程度落ち着いたため、日常生活に大きな支障はありませんでした。
ところが、通っていた病院が数年後に突然閉院し、治療が中断してしまったのです。当時は仕事や育児に追われ、生理中につらさを感じても、「もう少し様子を見てからにしよう」と、新たな病院にかかるのを後回しにしてしまっていました。今思うと、貧血になるほどの生理だったのですから、きちんと治療を続けていればよかったかもしれません。
生活に支障が出るほど増えた経血量
その後も生理はさらに重くなっていきました。通勤電車の中で経血が漏れてしまい、会社の最寄り駅のお手洗いに駆け込み、手当のために遅刻してしまったことがあります。
また、生理中に車で外出するときは、1時間程度でこまめにトイレ休憩をしたり、新幹線や飛行機は窓際に座るのを諦め、お手洗いに近い通路側の席を選んだり。当時、私はショーツ型の生理用ナプキンを使っていなかったため、夜も数時間ごとに起きて交換しなければならず、熟睡できませんでした。このように、生活に大きな支障が出てきました。
そして旅行に出かけていたある日のこと、吸収量の多いタンポンとナプキンを併用していたにもかかわらず、お手洗いを出てわずか10分後には、経血が漏れそうな状態になってしまったのです。これはさすがにまずいと思い、旅行から帰ってすぐに婦人科を受診しました。43歳のときでした。
そこで診断されたのは「子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)」という病気でした。子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋層内にできる病気で、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けると説明されました。治療が必要な状態だったことがわかり、「こんな状態のまま何年も過ごしてきたのか」と自分でも驚きまいました。
「閉経まで逃げ切りましょう」で続けた約5年間の服薬
医師からは、薬で症状を抑えられず、妊娠を希望しない場合などには、子宮摘出を検討することもあると説明を受けました。私の場合は、まず薬による治療を始めることになりました。
私は幸い大きな副作用もなく、服用後は経血量や生理周期など、悩まされていた症状がほぼ落ち着きました。そんなとき、医師から「薬が効いていますね。このまま閉経まで逃げ切りましょう!」と言われたのです。
子宮腺筋症はエストロゲンの影響を受けるため、多くの場合、閉経後は症状の軽快が見られるとされています。私の場合は、医師の管理の下、薬で症状をコントロールしながら閉経を待つことが治療方針になりました。
それから約5年間、朝晩欠かさず薬を飲み続け、定期的に受診しながら過ごしました。
ついに迎えた閉経。「逃げ切れた」と思えた瞬間
服薬を続けるうちに、生理が来ない期間が次第に増えていきました。更年期で生理不順になりやすいといわれる年齢に差しかかり、医師からは「生理が来ないこと自体は心配しなくて大丈夫」と言われました。その後は、時期を予測できない、ごく軽い出血が数回ありました。
48歳になるころには、手指の痛みや薄毛、睡眠の変化など、これまでになかった不調が次々と現れるように。そのころ、医師から「様子を見ながら、いったん薬をやめてみましょうか」と言われました。
また、あのころのような大量出血に見舞われてしまったら……と少し不安に思いつつ服薬を中止してみると、ごく軽い生理が数回来た後、1年以上生理がありませんでした。そこでついに、医師から閉経と判断されました。
子宮腺筋症の治療開始から約6年。医師から最初にかけられた「閉経まで逃げ切りましょう」という言葉通り、私は無事に逃げ切ることができたのだと思っています。
更年期そのものは身体の変化に伴い、トラブルや戸惑いも多くあります。それでも、長年悩まされた子宮腺筋症の症状から解放されたことは、私にとって大きな変化でした。
まとめ
治療を始めたころ、「閉経まで」という言葉は、遠いゴールのように感じられました。しかし、医師と相談しながら治療を続けたことで、生活を大きく妨げていた生理の症状を乗り越えられ、閉経までたどり着くことができました。更年期は新たな身体の変化に戸惑う時期でもありますが、私にとっては、子宮腺筋症の症状から解放される大きな転機でもありました。閉経と判断されてから、さらに半年以上たった今、あのとき医師がかけてくれた言葉通り、まさに逃げ切ったのだと、改めて実感しています。
医師による解説:子宮腺筋症と閉経の関係
子宮腺筋症は、過多月経や月経痛、貧血などを招くことがある病気です。治療の考え方や、閉経後に症状が軽くなる理由、閉経の判断方法を解説します。
子宮腺筋症はどのような病気なのか
子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋層内にできる病気です。過多月経や強い月経痛、不正出血などが現れ、出血量が多い状態が続くと、鉄欠乏性貧血を伴うこともあります。
子宮腺筋症の治療方針
治療法は、症状の程度や年齢、妊娠の希望などに応じて選択します。薬で出血や痛みを抑えながら、閉経まで経過を見ることもあります。
閉経後に症状が軽くなりやすい理由とは
子宮腺筋症は、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの影響を受ける病気です。閉経後はエストロゲンの分泌が減るため、多くの場合、病変が縮小して症状も軽くなります。閉経は一般に、最後の月経から12カ月以上月経がないことを確認して判断します。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修:沢岻美奈子先生(日本産科婦人科学会専門医・日本女性医学学会ヘルスケア専門医)
著者:沢井 アカリ/50代・女性。ついにアラフィフと思っていたら、あっという間にど真ん中50歳を迎えました。更年期の荒波にもまれたり、不調の山を登ったり下ったりしている。
イラスト:おみき
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年8月)
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