出世欲が強い同僚
Aは僕を勝手にライバル視していたよう。Aは上司へのアピールに熱心な一方で、僕の担当業務に関する共有事項をわざと遅れて伝えたり、事あるごとに嫌味を言ったりしてきたのです。
自分が優位に立つためなら、周囲を押しのけることもいとわない様子のA。僕はそんな彼の態度に困惑しつつも、余計なトラブルを避けるため、適度な距離を保ちながら自分の業務に集中していました。
そんなある日、僕たちの会社で大きな動きがありました。年に一度、勤務実績などをもとに選ばれた社員が受けられる、親会社への転籍面接。その対象者として、僕とAが選ばれたのです。
念願のチャンスを前に、Aは僕への対抗心をさらに強めたようでした。
親会社への転籍面接でも嫌がらせ?
そして面接当日。会社を出ようとしていた僕に、Aはすれ違いざまにわざと肩をぶつけてきました。その拍子に、かばんから面接用の資料が床に散乱して……。
Aは「あ~。悪い、急いでるから」と言って手伝おうともせず、そのまま先に行ってしまいました。僕は急いで資料を拾い集め、親会社へ向かいました。
親会社があるビルのエントランスに着くと、再びAの姿が。彼は、近くを歩いていた幼い子どもにぶつかり、子どもはその場に転んで泣き出してしまいました。心配になった僕が「大丈夫?」と駆け寄ると、母親らしき女性もやってきて……。
ところがAは、僕の顔を見るなり「悪い、俺急いでるから、あとよろしく!」と言い残し、そのままエレベーターへ走っていってしまったのです。
僕も面接の時間が迫っていましたが、泣いている子どもをそのままにすることはできませんでした。「大丈夫? けがしてない?」と僕は子どもの様子を確認し、母親にも「すみません、僕の同僚が…」と事情を説明しました。
幸い、子どもに大きなけがはなさそうでした。僕の言葉を聞いた母親は「ありがとうございます。あなたもお急ぎですよね? もう大丈夫ですよ」と言ってくれて……。僕は頭を下げて、急いで面接会場へ向かいました。
Aの行動が思わぬ形で発覚
面接会場の待合スペースに到着すると、受付の近くでAが担当社員に、「僕と一緒に面接を受けるはずのやつ、遅れるみたいですよ」と話しているのが聞こえてきました。
まるで僕が時間にルーズであるかのような彼の言い方に腹が立ちましたが、ここで感情的になっても仕方がないと思い落ち着きました。
僕が到着したことに気付いたAは、決まりが悪そうな表情を浮かべ、そのまま面接室へ入っていきました。僕が受付担当者に到着がぎりぎりになった理由を説明していると、少しして、先ほどエントランスで会った女性が同じフロアにやってきました。
実は、彼女は親会社の社員だったよう。ビル内の社内託児所に子どもを預けたあと、仕事のため同じフロアに来たとのこと。「この方が遅くなったのは、この方のせいではありません」とエントランスで起きた出来事を説明してくれたのです。
事情を聞いた受付担当者は、面接を担当している社員のひとりにその内容を伝えていました。その社員とともに、僕も面接室へと入りました。
動揺したAの結果は
面接が始まると、面接官はAにエントランスでの出来事について確認しました。まさか自分の行動が伝わるとは思っていなかったのでしょう。Aは突然事情を尋ねられて、しどろもどろに。
さらに、その動揺を引きずってしまったのか、その後の仕事に関する質問にもうまく答えられず……。面接が終わったあとのAの顔からは、すっかり余裕が消えていました。
一方、僕はこれまで担当してきた仕事や実績、親会社で挑戦したいことなどについて、できるだけ落ち着いて答えました。
そして後日、面接の結果が発表されました。Aは転籍の対象には選ばれず、僕は親会社への転籍が決まったのです。もちろん、エントランスでの出来事だけで結果が決まったわけではないと思います。勤務実績や面接での受け答えなども含め、総合的に判断された結果です。
自分の評価を上げようと他人の足を引っ張っていたAでしたが、その行動が思わぬところで自分に返ってくることに。目先の評価にとらわれず、日ごろから誠実に行動することの大切さを改めて感じた出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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