高級レストランで婚約者を見下した男女
ある休日、僕は婚約者との記念日を祝うため、少し奮発して高級レストランを訪れました。
落ち着いた雰囲気の店内で食事を楽しんでいると、近くを通りかかった男性が突然「あれ? 久しぶりじゃん!」と彼女に声をかけてきました。
彼女によると、男性は学生時代の同級生・A男だそうです。A男は隣にいた女性を自分の彼女だと紹介しました。僕にとっては2人とも初対面です。
するとA男は、彼女の服装をじろじろと眺め、いきなり笑いながら言いました。
「お前、相変わらず地味だな。こんな高級レストランに来るなんて意外だわ」
隣の女性まで、彼女を上から下まで眺め、「こういうお店って、雰囲気も大事なのにね」と笑います。さらにA男は僕にも目を向け、「彼氏も真面目そうだな。2人で頑張って奮発したの?」とからかってきました。
初対面の僕にまでそんなことを言うなんて、失礼にもほどがあります。思わず言い返そうとしましたが、彼女にそっと腕を引かれ、思いとどまりました。
2人は言いたいことだけ言うと、自分たちの席へ戻っていきました。
あとで彼女に聞くと、A男は学生時代から人を見下すような発言が多く、あまり親しくしていなかったそうです。
「せっかくのお祝いなのに、嫌な思いさせちゃったね」
そう謝る彼女に、僕は気にしなくていいと伝えました。それでも、楽しみにしていた食事に水を差され、モヤモヤが残りました。
数週間後、商談相手を見てびっくり!
それから数週間後のことです。
僕は会社で、新規取引先の選定を担当していました。その日も、新たに取引を希望する会社との商談があり、資料を確認してから応接室へ向かいました。
ところが、部屋に入った瞬間、思わず足が止まりました。
そこにいたのは、あのレストランで会ったA男と、その交際相手の女性だったのです。どうやら2人は同じ会社に勤めており、今回はその会社の担当者として来ていたようです。
2人も僕に気づいた途端、驚いたように顔を見合わせ、気まずそうにあいさつしてきました。一方、僕は仕事に私情を持ち込むつもりはなかったため、普段どおりに名刺を交換し、商談を始めました。
2人は資料を広げて説明を始めたものの、どこか落ち着かない様子。僕が取引条件について質問しても、A男は「そのあたりは、また改めて確認します」と口ごもるばかりでした。
やがて、まだ十分に話ができていないにもかかわらず、「一度持ち帰って、改めてご連絡します」と言い出したのです。
結局、2人は予定よりも早く商談を切り上げ、逃げるように帰っていきました。
上司からの電話で思わぬ展開に
数日後、A男の会社から電話がありました。相手は、営業部の責任者だという男性でした。
「先日は弊社の担当者がお世話になりました。その後、ご検討状況はいかがでしょうか」
僕は、まだ検討に必要な情報がそろっていないことを伝えました。先日の商談では、こちらが確認したかったことを十分に聞けないまま、A男たちが打ち合わせを切り上げてしまったからです。
すると電話の相手は驚いた様子で、担当者からは商談を終え、現在は僕たちの会社で検討中だと聞いていたと話しました。
さらに、「弊社の担当者に何か失礼がありましたか」と尋ねられました。僕は少し迷いましたが、レストランでの出来事も話すことにしました。
婚約者の同級生として偶然顔を合わせたこと、その際に僕たちを見下すような発言があったこと。そして、商談で再会した際には2人がひどく気まずそうにしていたことを伝えたのです。
話を聞いた責任者の男性は驚いた様子で、担当者たちの失礼な言動について謝罪してくれました。
後日、新しい担当者との商談は問題なく進みました。あの2人がその後どうなったかはわかりませんが、それ以来、顔を合わせることはありませんでした。
この話を婚約者にすると、彼女は「えっ、あの2人が!?」と驚いたあと、「世間って狭いね」と笑っていました。
あのときは悔しい思いをしましたが、感情的に言い返さず、仕事でも冷静に対応してよかったと思っています。どこで誰と再会するかわからないからこそ、自分自身の言動にも気をつけようと感じた出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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