【もしも、こんなことが起きたら?】隣の男性が「グラビア」を広げていてモヤッ……
※以下は、法律上の疑問を考えるために設定した架空のケースです。

仕事帰りの電車で、空いている席を見つけたKさん。隣には年配の男性が座っていました。
何気なく腰を下ろしたKさんでしたが、ふと隣に目をやると、思わずギョッとしてしまいました。
なんと、男性が大きく広げていたスポーツ紙には、女性のグラビア写真が掲載されていたのです。
しかも、紙面を大きく広げているため、Kさんの視界にもずっと入ってきます。
「えっ……ちょっと、これっていいの!?」
思わず目をそらしたKさん。
しかし、男性はわざと見せつけている様子もなく、ただ新聞を読んでいるだけです。
「本人が好きで読んでいるだけなら、何も言えないのかな……」
そう思いながらも、なんだかモヤモヤしてしまいます。
公共の場所で、周囲から見えるようにグラビアを読んでいても、法律上は問題ないのでしょうか。
教えてくれたのは…株式会社BestOne 太田垣弁護士

- 株式会社BestOne 弁護士・税理士 太田垣佳樹(おおたがき よしき)さん
東京大学法学部卒業。首都大学東京(現・東京都立大学)法科大学院修了。
2013年司法試験合格、2014年弁護士登録。Arden法律事務所の代表弁護士として、相続・不動産・企業法務を中心に幅広い案件を取り扱う。
2022年より東京都立大学法科大学院非常勤講師を務めるほか、2025年に税理士登録。
結論:自分で読んでいるだけなら、通常は法的な問題なし
自分で読んでいるだけであれば、通常は法的な問題は生じません。問題になるのは、周囲や特定の人に「見せる」方向の要素が加わったときです。
市販されている新聞・雑誌のグラビアや、スマートフォンに保存した画像を自分で見ている限り、これを処罰する規定はありません。
刑法175条のわいせつ物の公然陳列は、不特定または多数の人が認識できる状態に置くことを指しますので、自分の手元で見ている行為は通常これに当たりません。
他人にわざと見せると、条例違反になることも

各都道府県の迷惑防止条例は、たとえば東京都の場合、公共の場所や公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような卑わいな言動を禁止しています(文言は都道府県によって異なります)。
周囲の人に見えるように紙面を大きく広げる、特定の人に向けて画面を差し出すといった行為は、この規定に触れる可能性があります。
同じ「新聞や雑誌を見る」という行為でも、次のように評価が変わります。
①自分の手元で読んでいる

処罰の対象になりません。
②周囲から見える形で紙面を広げている

直ちに違法とはいえませんが、周囲に不快感を与える行為です。乗務員から注意を受けることがあります。
③隣の人に向けて紙面や画面を向ける、反応をうかがう

迷惑防止条例に触れる可能性があります。同じ相手に繰り返せば、より悪質と評価されます。
児童ポルノに当たる画像は、所持しているだけでも犯罪になる場合がある

ここまで紹介してきた内容は、児童ポルノに当たらない市販の雑誌や画像などを閲覧する場合を前提としています。
児童ポルノに当たる画像については扱いが異なります。
太田垣弁護士「児童ポルノについては、自分で見ているだけだから問題ない、とはいえません」
児童ポルノに当たる画像については、自分で見ているだけであっても、自己の性的好奇心を満たす目的で所持(データの場合は保管)していれば、それ自体が犯罪です(児童買春・児童ポルノ禁止法7条1項)。
電車でグラビアが目に入っても、違法とは限らない
今回のケースのように、隣の人が市販の新聞や雑誌のグラビアを読んでいるだけなら、通常は法的な問題にならないんですね。
一方、太田垣弁護士によると、特定の人にわざと見せつけるような行為は、迷惑防止条例に触れる可能性があるそうです。
もし電車内で同じような場面に遭遇し、不快に感じた場合は、無理に相手を注意するのではなく、席を移動したり、必要に応じて乗務員に相談したりすることも一つの方法です。
自分が不快に感じたからといって、必ずしも相手の行為が違法になるわけではないことを知っておきたいですね。
※一部AI画像を使用しています。