私は30代の主婦です。夫と幼い娘の3人で暮らしています。夫はやさしく家族思いですが、義実家とはほとんど付き合いがありません。
20年引きこもる義兄を押し付ける義母
その理由は、義母の極端な長男優先の考え方にありました。義母は昔から夫の兄ばかりをかわいがり、次男である夫には我慢を強いてきたそうです。しかし、義兄は就職活動でつまずいたことをきっかけに、20年以上引きこもっていました。義母は義兄に高い理想を押し付け、思い通りにならないと厳しく責めていたといいます。そんな義母に嫌気がさした夫は、結婚を機に距離を置くようになりました。
ところがある日、突然義母から電話がかかってきたのです。
「もう長男の面倒を見るのは限界! あんたが引き取りなさい!」
夫は「絶対に嫌だ!」と拒否しましたが、義母は聞く耳を持ちません。
そこで私は電話を代わり、「はい! お義兄さんと同居ですか。わかりました、おまかせください!」と答えたのです。
夫は「えっ!? 何で!?」と驚いていましたが、私は以前から義兄のことが気になっていました。義母から離れれば、義兄も少しずつ前を向けるのではないかと思ったのです。
義兄を引き取った結果、思わぬ変化が!
電話を切ったあと、夫に自分の考えを説明しました。夫も兄のことを心配していたため、まずは本人の意思を確認することに。義兄が同居を希望したことから、私たちは受け入れを決めました。
義実家を訪ねると、義母は「あぁ~やっと厄介払いができるわ!」と大喜び。義兄は不安そうにしていましたが、私たちと一緒に家を出ました。
同居を始めたころ、義兄は自室にこもりがちでした。しかし、私たちは無理に外出を促さず、本人のペースを尊重しました。その後、義兄は相談機関の支援も受けながら、少しずつ家事を手伝うように。娘とも打ち解け、やがて短時間のアルバイトにも挑戦するようになりました。
それから約2年。義兄が自信を取り戻し、仕事を続けられるようになったころ、突然義母が訪ねてきたのです。
「長男が働いてるって聞いたわ! 私、もうお金がないの。帰ってきて面倒を見てちょうだい!」
どうやら義母は、義父の死後に相続したお金を浪費し、貯金をほとんど使い果たしてしまった様子。義兄が働き始めたと知り、今度は生活費を頼ろうと考えたのでした。
「もう言いなりにはならない!」義兄の反撃
「あんたは長男なんだから、親の面倒を見るのは当然でしょ!」
義母がそう言い放つと、義兄は静かに口を開きました。
「母さん、俺はもう戻らない。これからは自分の人生を生きたいんだ」
驚いた義母は「育ててあげた恩を忘れたの!?」と声を荒らげましたが、義兄の決意は変わりません。夫も「兄貴を厄介者扱いして押し付けたのは母さんだろ。働き始めた途端、お金を頼るなんて勝手すぎる!」と反論しました。
さらに義兄は、義父が自分の将来のために残してくれたと聞いていたお金についても、専門家に相談していることを伝えました。
「父さんの遺産についても、きちんと確認したい。必要な話は専門家を通して進めるよ」
義母は顔色を変え、「そんな大げさなことしなくても……」と動揺。しかし、誰も義母の要求を受け入れることはありませんでした。
その後、義母は生活を見直し、以前より質素な暮らしを送るようになったそうです。
一方、義兄は仕事を続けながら、自立に向けて少しずつ準備を進めています。最近では料理が得意になり、娘も義兄の手料理を楽しみにしています。
あの日、義母の要求を引き受けたことで、義兄が新しい人生を歩み始められたことを、私たち夫婦はうれしく思っています。
◇ ◇ ◇
子どもの将来を思うあまり、自分の理想を押し付けてしまうこともあるかもしれません。しかし、親の期待に応えることだけが、子どもの幸せではないはずです。
義兄が少しずつ前向きになれたのは、周囲が本人の意思を尊重し、見守ったからこそでしょう。家族であっても、お互いの人生や気持ちを大切にしたいものですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。