離婚を笑う同期
同期の男性は、僕をたびたび見下してきました。
「子どもがいると自由がなくて大変だな。俺には無理だわ」。
娘のために定時で帰るだけでも、周囲に聞こえる声で嫌味を言ってくるのです。
そんな同期が好意を寄せていたのは、受付担当のAさん。気さくな人柄で、社内でも親しまれていました。同期は何度も食事に誘っていたものの、断られていたようでした。
一方、僕も、Aさんとは以前から交流がありました。会社の家族向けイベントに娘を連れて行った際、緊張していた娘にAさんがやさしく声をかけてくれたのがきっかけです。
その後、僕たちは交際を始め、娘とも時間をかけて信頼関係を築きました。そして、僕たちは結婚。3人で新たな生活をスタートさせたのです。再婚は上司に報告していましたが、Aさんは職場で旧姓を使っていたため、ほかの同僚の多くは知りませんでした。
妻に逃げられた男は大変だな
ある日の午後、保育園から「娘さんが熱を出しました」と連絡が入りました。上司に伝えて早退しようとすると、例の同期が近づいて……。
「また子どもの用事? 妻に逃げられた男は大変だな(笑)」と笑ってきたのです。僕が「離婚は話し合って決めたことだから、人の家庭を笑うのはやめてほしい」と伝えても、
「そんなこと言っても、子どもを抱えてひとりで大変だろ? お前みたいな子持ちの男と結婚したがる人なんていないだろ」と、こちらの話を聞こうとはしませんでした。僕はこれ以上相手にしたくなくて、ひと言だけ返しました。
「僕、再婚してるよ?」。
僕の言葉を聞いた同期は「は? 嘘つくなよ」と怒りだしました。僕がエントランスへ向かうと、同期も後ろからついてきて……。
「誰が相手だよ? 子持ちのお前が再婚なんて、あり得ないだろ!」受付にも聞こえる声で、しつこく言い張っていました。
同期の態度が一変した理由
ちょうどそのとき、受付にいたAさんが僕に「□□ちゃん(娘)のこと、お願いね。私も仕事が終わったらすぐ帰るから」と声をかけてきました。
その会話を聞いていた同期は目を丸くして、僕たちを交互に見ました。そして、「なんでAさんがお前の娘のことを知っているんだよ?」と言ってきました。僕は「そういえば、言ってなかったね。Aさん、僕の妻なんだ。僕は再婚したんだよ」と事実を述べました。
何度誘っても断られたAさんが、見下していた僕の妻だと知り、同期は絶句。さらにAさんが静かに言いました。
「私は、娘を大切にする彼を尊敬しています。人の家庭を見下すような発言はやめてください」
Aさんの発言を聞いた同期は顔を真っ赤にしてうつむき、もう何も言いませんでした。僕はすぐに娘を迎えに行き、帰宅したAさんと一緒に看病しました。幸い、娘の熱は数日で下がりました。
後日、これまで同期から受けていた嫌味について上司に相談しました。すると、上司は同期本人に事実確認をおこない、厳しく注意してくれたそうです。それ以来、僕の家庭をからかうことはなくなりました。離婚したことも、娘と2人で歩んできた日々も、決して恥じることではありません。僕たちの事情を知らずに見下してくる人もいましたが、これからは家族3人で、穏やかに過ごせる毎日を大切にしていきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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