こんにちは、保育士・離乳食インストラクターの中田馨です。離乳食を食べさせるときに、赤ちゃんの口の発達を意識しながら与えると、正しい飲み込み方や噛み方を身につけることができます。今回は、意外と知らない時期別赤ちゃんの口の発達と離乳食の進め方を話します。
5~6カ月ごろ(離乳食初期)の口の発達と離乳食の進め方
大人は意識することなく、口に入ってきた食べ物を喉の奥に送ることができますが、赤ちゃんはこれまで母乳や育児用ミルクしか飲んだことがないので食べる練習をしなければいけません。
5~6カ月ごろ(離乳食初期)の赤ちゃんは、まだ噛むことができず、舌は前後にしか動きません。口の発達から見ると、口を閉じて取り込み、舌で喉に送って飲み込むのですが、裏ごしてとろとろにした液体に近い離乳食をやっと食べられるくらいなのです。
この時期は、特に上唇を使って食べることを意識します。離乳食をのせたスプーンを下唇に置き、上唇が閉じるまで待って水平に引く。これを繰り返すことで、自分で食べ物を取り込めるようになります。
食べさせるときは、赤ちゃんを少し後ろに傾ける姿勢で抱っこします。そうすることで舌が床と並行になり、離乳食をゴックンと飲みやすくなります。最初はうまく舌が動かせず、離乳食が口から出てしまう赤ちゃんもいますが、少しずつ口から出なくなりますので赤ちゃんのペースで進めていきましょう。
7~8カ月ごろ(離乳食中期)の口の発達と離乳食の進め方
7~8カ月ごろ(離乳食中期)になると、下あごの2本の歯が顔を出し、上あごの歯が出てくる子もいます。舌が上下にも動くようになり、舌と顎を使って食べ物がつぶせるようになります。
この時期は、舌と上あごで離乳食を潰して、唾液と混ぜ合わせて離乳食を味わっていくことが目標です。舌でつぶせるくらいのかたさの離乳食を与えて舌を鍛えていきましょう。固すぎると潰すことができず、丸のみしてしまうことがあります。固さの目安は絹ごし豆腐程度です。
また、パクパクとよく食べるからと言って、まだ口の中に離乳食があるうちにスプーンを口の前に持ってくると、食べ物を舌で潰す余裕がなくなってしまいます。ママは赤ちゃんが飲み込むのを確認してから次のひとさじを与えましょう。
9~11カ月ごろ(離乳食後期)の口の発達と離乳食の進め方
9~11カ月ごろ(離乳食後期)になると、上下4本の歯が生えてくる子が増えてきます。まだ奥歯は生えていませんが、奥の歯茎を使って食べ物を噛むことができるようになってきます。舌の動きが複雑になり、左右にも動くようになります。舌でつぶせない食べ物を舌で左右に振り分けて歯茎でつぶして食べます。
徐々にバナナくらいの固いものが食べられるようになりますが、まだ噛み潰す力は弱いので弾力のあるものは避け、繊維の多いものはとろみをつけるなどして与えましょう。この時期にコップの練習も始めてみましょう。
注意することは、丸飲みしていないかということ。赤ちゃんの食べている口の様子を観察します。モグモグと口を動かしていたらひとまず大丈夫ですが、モグモグすることなくすぐにゴックンしているときは、丸飲みしている可能性があります。
丸飲みしている場合は、食材をもう少し小さく切る、軟らかく煮るなどしてみましょう。赤ちゃんの口の発達を確認し、徐々に固さを調節していきます。
1歳〜1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)の口の発達と離乳食の進め方
1歳〜1歳6カ月ごろ(離乳食完了期)になると、舌の動きが9~11カ月ごろ(離乳食後期)よりもスムーズになります。前歯が生えそろい、奥歯も出てきます。スティック野菜やおにぎり、お焼きなどのメニューを前歯でかじって奥歯や歯茎でつぶして食べるようになります。自分で食べ物を持って前歯でかじりとる経験をすることで、一口の大きさをつかみ始めます。
最初は口に詰め込むかもしれませんが、ママが声かけをしながら食べるペースを調節し、一口量を身につけていきましょう。また、コップを使って上手に飲めるようにもなってきます。哺乳瓶はそろそろやめて、水分はコップで飲むようにしていきます。
今までの離乳食の4ステップで、母乳や育児用ミルクを飲んでいた赤ちゃんの口が、固形物を食べられる大人と同じ食べ方をする口へと成長します。
離乳食を進めるときの月齢はあくまで目安。大切なのは赤ちゃんそれぞれの発達に合わせることです。慌てず楽しく離乳食を進めていきましょう。