産婦人科で出会った、境遇の似ているプレママ友
ある日、妊婦健診の待合室でのことです。母子手帳を見ていると、隣に座っていた女性が「何カ月ですか?」と声をかけてくれました。私が「8カ月です」と答えると、彼女は「同じですね! 私もなんです」と明るい笑顔を見せてくれました。
初対面にもかかわらず、おなかの赤ちゃんの性別が同じことや、名前の候補、夫には言えない妊娠中の不安など、共通点が次々と見つかりました。お互いに初めての妊娠で心細かったこともあり、「それ分かる!」と共感し合い、気づけばすっかり意気投合していました。
診察後、彼女から「よかったら連絡先を交換しませんか?」と誘われ、私たちはすぐに連絡先を交換しました。帰宅後、夫にそのことを話すと「へぇ、よかったじゃん」とそっけない返事。彼女のまっすぐな笑顔と、夫の無関心な態度の差に、私は少し寂しさを感じていました。
彼女が抱える「結婚への不安」と、私自身の悩み
数日後、彼女とカフェでお茶をすることになりました。家にいると感じてしまう不安など、本音を話し合える貴重な時間でした。
そんな中、彼女が少し言いよどみながら「実は、順番は逆なんだけど……来月には結婚したいと思っていて」と打ち明けてくれました。「もっと早く籍を入れたかったんだけど、彼に『もう少し待ってほしい』とはぐらかされていて。でも、出産前にはどうしても入籍したくて」という彼女の言葉に、私は「結婚を先延ばしにするなんて、少し不誠実な彼氏だな」と内心思いつつも、「最近、夫と気持ちが噛み合わなくて……」と自分の悩みを打ち明けました。初めて会ったときから不思議と話が合い、お互いの悩みも自然に打ち明けられる相手でした。
帰り際、彼女が「今度、彼を紹介するね。次に会うころには『夫』になってるといいんだけど」と笑ったので、私も「じゃあ、私も夫を紹介するね」と約束をして別れました。
パートナーを紹介し合う約束。現れたのはまさかの…!
週末、私たちは「お互いのパートナーを紹介しよう」とカフェで待ち合わせをしました。しかし当日、夫は「急な仕事が入った」と言って家を出てしまい、私は申し訳ない気持ちで先にお店へ向かいました。
しばらくして彼女が到着し、「ごめんね、夫は仕事で来られなくなっちゃって」と伝えると、彼女は「残念だけど、私の彼はもうすぐ来るから紹介させてね」と笑顔を見せました。
その直後、カフェのドアが開き、彼女が「来た来た〜!」と嬉しそうに手を振りました。しかし、その先に立っていたのは、仕事に行っていたはずの私の夫だったのです。
私は「……え?」と声を漏らしました。夫は私を見て顔面蒼白になり、その場に釘付けになっていました。事態が飲み込めずきょとんとしている彼女に、私はゆっくりと立ち上がり、「紹介はいらないよ。この人……私の夫だから」と告げました。
その言葉に、彼女の顔からもサッと血の気が引きました。私は夫に向かって「妊娠中の妻に仕事だと嘘をついて、別の妊婦さんと結婚するつもりだったの? そもそも、私と籍が入っているのにどうやって彼女と結婚するつもりだったの?」と問い詰めました。
逃げ場を求めた夫の末路と、私の新しい人生
しばらく黙り込んだ後、夫が口にしたのは「……俺は、プレッシャーから逃げ場が欲しかっただけなんだ! どうしていいかわからなかったんだよ!」という、あまりにも身勝手で最低な言い訳でした。結婚する気など最初からなく、ただ彼女に嘘をついて現実逃避をしていただけだったのです。
その瞬間、私の中で夫への情が完全に冷め、「逃げ場のために、人の人生を弄ばないで! 私、あなたとは離婚する」と宣言しました。隣で震えていた彼女も涙を拭い、「私も別れる。奥さんがいるのに騙していたなんて絶対に許さない」と夫を突き放しました。
その後、私は弁護士を通じて離婚を成立させ、夫から慰謝料と養育費をしっかりと勝ち取りました。彼女もまた、弁護士を立てて子どもの認知と養育費の支払いを夫に認めさせました。夫は二重の養育費と私への慰謝料の支払いで経済的に困窮し、自業自得とはいえ、今はワンルームのアパートでギリギリの生活を送っているそうです。
一方、私は無事に出産し、実家のサポートを受けながら穏やかで幸せな日々を過ごしています。裏切りの現場で真実を知ったあの日から、私と彼女は被害者同士ではなく、同じ境遇を乗り越えた“戦友”のような関係になり、今でも子どもたちを連れて時々遊ぶ仲になりました。自分と子どもを大切にしてくれる環境を選んだことで、今の心からの笑顔があるのだと実感しています。
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妊娠中という心身ともにデリケートな時期に、最も頼りにしたいパートナーから裏切られてしまうのは、本当に辛く苦しい経験だったと思います。しかし、ご自身とお子さんのためにきっぱりと決断し、前を向いて新しい人生を歩み始めた強さをもとにこれからの人生が、お子さんの笑顔とともにさらに明るく幸せなものになってほしいですね。また大切な人との信頼関係を守るためにも、日ごろから相手に誠実に向き合い、自分の言動に責任を持ちたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。