留守中、兄夫婦が私の部屋に?
父が亡くなる前、私は自分が借りていたマンションで父と一緒に暮らしていました。父はもともと別の賃貸住宅でひとり暮らしをしていましたが、体調を崩してから、ひとりで生活することが難しくなりました。そこで、父が住んでいた部屋を解約し、管理会社にも許可をもらったうえで私の家で一緒に暮らすことにしたのです。
当時、兄とはあまり頻繁に連絡を取る関係ではありませんでした。父が病気になったことをきっかけに連絡を取り合うようになったものの、父が私の住まいに移った詳しい経緯までは伝えていませんでした。そのため、兄は父の住んでいた部屋が、もともと私が借りていた賃貸マンションだとは知らなかったようです。
父が亡くなったあとも、私はそのまま同じ部屋で暮らしていました。
そんなある日、仕事で家を空けていたときのことです。突然、義姉から「結構いいところに住んでるんだね」とメッセージが届きました。
何の話かわからず聞き返すと、「今、お兄さんと部屋に来てるよ」とのこと。
父と暮らしていたころ、家族が出入りできるよう兄にも合鍵を預けていたため、それを使って入ったようでした。
突然どうしたのか理由を尋ねると、義姉は「ここ、お父さんが住んでいた家でしょ? 今後どうするのか話しておこうと思って」と言うのです。
不公平だと怒る兄。でも勘違いで
すぐに兄へ連絡すると、兄はなぜか怒っていました。
「父さんが住んでいた家を、そのままお前が使ってるなんて聞いてない」
そこでようやく、兄夫婦の勘違いに気づきました。兄たちはこの部屋を父の所有物件だと思い込み、私が父の死後、そのまま自分のものにしたと考えていたようです。
しかし、この部屋はもともと私が借りているもの。父の療養中、一緒に暮らしていただけです。
兄には「ここはお父さんの家じゃなくて、ずっと私が借りている部屋だよ」と説明しましたが、「じゃあ、なんで父さんがここに住んでたんだ」となかなか納得してくれません。父の体調を考えて一緒に暮らしていたことを改めて説明すると、ようやく少しずつ状況を理解したようでした。
兄夫婦が家を欲しがった理由
その後、兄から改めて連絡がありました。そこで聞いたのは、兄夫婦が当時、住まいについて悩んでいたということです。兄夫婦は、父が所有していたと思い込んでいたマンションに私がそのまま住んでいると知り、「自分たちも住めるのではないか」と考えたようです。そこで、今後のことを話し合おうと、私の部屋を訪れたのだといいます。
とはいえ、確認もせずに私の留守中に入ったことは納得できませんでした。
私が「事情があるなら最初から相談してほしかった」と伝えると、兄もさすがに自分たちの思い込みだったとわかったようで、最終的には謝ってくれました。預けていた合鍵も返してもらうことに。父のことでバタバタしていたとはいえ、合鍵を渡しっぱなしにしていたことは私自身、反省しました。
父との思い出が残る部屋で
私は現在もこの家で暮らしています。父といられたのは、療養中のわずかな時間だけだったかもしれません。それでも、体調がいい日に一緒に食事をしたことや、何気ない話をしながら過ごした時間は忘れられない思い出です。ここはいつまでも、父と過ごした記憶が残っている場所であり続けます。
今では、兄夫婦とは本当にたまに連絡を取る程度です。父の病気がわかる前ほどではないですが、私から必要以上に関わろうという思いもないので、正直、今くらいが程よい距離感だなと感じています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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