同僚がまさかの行動を…
ある朝、出勤すると、同僚のB田が清掃員の女性に横柄な態度を取っていました。女性はうちの会社の清掃スタッフのようでしたが、見かけるのは初めて。僕は新しく入った人なのかなと思っていました。
なんとB田は、自分が落としたコンビニ袋を指さして、「それゴミだから片付けといてくれない?」と言い放ったのです。
僕はB田に「自分で落としたんだから、自分で拾いなよ」と注意。そして、女性に「同僚がすみません。僕も手伝いますよ」と声をかけ、掃除を手伝いました。
女性は「ありがとうございます。わざわざ手伝っていただいて……」と恐縮した様子。僕は「気にしないでください。同じ会社で働く仲間ですから。清掃スタッフの皆さんにはいつも感謝しています」と伝えました。
すると、女性は少し驚いたように僕を見つめ、うれしそうに笑ってくれました。
1カ月後、思いがけない再会が
それから1カ月後、会社で社長の交代が決まりました。今の社長が娘に社長の座を譲り、自分は会長になるというのです。
新社長となる娘は長く海外にいたそうで、顔を知る社員はほとんどいません。近いうちに支社を視察することになり、社内はその話題でもちきりでした。
そして視察当日。僕がB田と出勤すると、以前助けた清掃員の女性がエントランスで待っていました。
女性は僕を見るなり、「わが社はこれから新事業を始めます。社内で話し合った結果、あなたにその新事業を手伝ってもらいたいの。本社に異動してもらえますか?」と言ったのです。
僕は「えっ!? 僕ですか?」と戸惑うばかり。すると女性は名刺を差し出し、「改めまして、A子です。新しく社長に就任しました」と名乗りました。
なんと、清掃員だと思っていた女性こそが新社長だったのです! A子社長は会社のことをよく知るため、身分を隠して清掃員として働き、現場の様子を見ていたのだとか。
不満げな同僚に、新社長の反応は?
この人事に、B田は納得できなかったようでした。「なんでお前がなんだよ! 営業トップの俺こそが選ばれるべきだろ!」と不満をあらわにしたのです。
そんなB田に、A子社長は「新事業を手伝ってもらうにあたり、清掃の仕事を深く理解し、現場で働く人やお客様を大切にできる人材が必要です。営業成績だけでは決められません」と告げました。しかし、B田は「じゃあ俺に何が足りないんですか?」と、なおも食い下がります。
するとA子社長は「私は、困っている人に自然と手を差し伸べられる人にこそ、会社の未来を任せたいんです。あの日、清掃中の私にあなたが取った態度は、今も覚えていますよ」とピシャリ。B田は言い返せず、黙るばかりでした。
その後、数日ほど考えた僕。A子社長の期待に応えたいと思い、新しい仕事を引き受けることにしました。
明暗を分けた結末
こうして僕は本社に異動し、A子社長を支えることに。慣れない仕事に戸惑いながらも、新人時代の清掃経験を生かし、少しずつ仕事を任せてもらえるようになりました。
一方、僕の仕事を引き継いだB田は、清掃スタッフとの連携がうまくいかず苦戦したよう。スタッフからは「B田さんに代わってから仕事を押しつけられて大変で……」「人をこき使うような態度もあって」と僕に苦情が届きました。
それをA子社長に相談したところ、社長からB田に「清掃の現場を経験してみては?」との提案が。ところがB田は「俺が掃除? 絶対に嫌です。俺はデスクから指示を出してこそ活躍できる人間なんで」と反発。
結局、その後もB田は仕事がうまくいかず、しばらくして「こんな会社辞めてやる!」と自ら退職したそうです。
一方、僕は新事業の企画に携わり、会社の売上アップに貢献。A子社長からは「会社のために頑張ってくれてありがとう。あなたがそばにいてくれたら心強いわ」と感謝され、とてもうれしくなりました。
あの日の小さな行動で、僕の人生は大きく変わりました。何気ない親切を見てくれていた人がいたのです。これからも周りを大切に、今の仕事を頑張っていきたいと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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