子どもが生まれるとお祝い金を受け取ったり、将来の資金を積み立てたりと預貯金をする機会が少なくありません。このお金を親名義の口座で貯めるか、子ども名義の口座で貯めるかご相談を受けるケースがあります。結論としては状況に応じて名義を選択することになりますので、それぞれのケース・目的をお伝えします。
子ども名義の口座でできないこと
子ども名義の口座を作るかどうかを判断するにあたって、目的から考える必要があり、こちらは後述しますが、子ども名義の口座でできないことが主に2点あります。そのため、以下の2点を目的とする場合は、別の目的の有無で子ども名義の口座を開設するか判断をするといいでしょう。
【1】児童手当の振込先には指定できません
児童手当の支給対象者は、中学校卒業までの児童を養育している人で、子ども本人ではありません。そのため、児童手当の振込先は一般的にはご両親のいずれか(親がいない場合には、親族・施設の長・里親等)の口座を指定します。そのため、子ども名義の口座に児童手当を貯めたい場合には、親等の口座に入金されたものを振替する必要があります。
【2】生前贈与の対策には使えません
相続税や贈与税を抑える生前贈与の対策として、子ども名義の口座に両親や祖父母等の資産を移しても節税とはなりません。子どもが自分の意思で口座内のお金を使えない場合は子どもの資産としては判断されず、移転元の両親や祖父母の資産として判断されます。
子ども名義の口座を開設したほういい場合
子ども名義の口座を開設したほうがいい場合はいくつかの目的がありますが、主にこの2つを目的とする場合は子ども名義の口座開設を検討するといいでしょう。
【1】子どもの教育費などの将来に備えて貯めたい場合
生活費を出し入れしているメイン口座に子どもの教育費などの将来に備えるお金を貯めてしまうと、いくら準備できているかわかりにくく、支出が増えたときに使ってしまっている場合も考えられます。そのため、子ども名義の口座を開設しメイン口座と分けて管理すると金額が把握しやすく、他の目的で使われる可能性も少なくなります。預貯金以外の学資保険やジュニアNISA口座等で必要額が確保されている場合は、あえて子ども名義の口座を開設しなくてもいいでしょう。
【2】将来貯めたお金を子どもに渡したい場合
子どもが大きくなり、就職や結婚などにお金をまとめて渡したい場合に子ども名義の口座ごと渡したい場合に、子どもの口座を開設することを検討される方もいます。お年玉を貯めておいて将来渡すこともできますが、渡すときの金額が110万円を超えると贈与税の申告・納税が必要になる場合もありますので、渡すときは時期や金額等を検討すること忘れないようにしましょう。
いずれの場合も、生活費等とは分けて将来子どものために貯めておきたい場合は、子ども名義の口座を開設することを検討されるといいでしょう。
子ども名義の口座開設は金融機関によって手続きが異なる
最近の金融機関では、マネーロンダリング(犯罪収益の資金洗浄)防止の観点から口座開設の手続きが厳格になっています。子どもの本人確認だけでなく、親権者・法定代理人等の本人確認が必要になることや家族とは別の印鑑が必要な場合がほとんどです。金融機関によっては、子ども名義の口座開設に制限を掛けている場合もありますので、事前に確認することをおすすめします。
学資保険と同様に、子ども名義の口座開設もご家族の状況やご判断によって必要性の有無が異なります。上記でお伝えした内容も踏まえた上で、子ども名義の口座が必要かどうかご検討いただければと思います。