産後の性生活について、なかなか相談できるところがなく、悩まれている方もいます。聞きづらいことでも、パートナーと産後もより良い関係を築いていくためにはとても大切なことです。今回は、産後のママから相談されることが多い性生活についての悩みや改善方法についてお話しします。
産後の性生活はいつから始められる?
産後の1カ月健診を受け、子宮の回復や会陰部の傷の治りなど経過が順調であることを確認してもらいます。問題がなければ性生活に戻れますが、実際には出産のときにできた会陰や帝王切開の傷などの痛みや不安、慣れない育児の疲れや睡眠不足で性生活が再開できないママも多いです。
おおむね出産から4~6週間後なら可能ですが、精神的に受け入れられなかったりすると再開まで時間を要することもあります。
産後に腟が緩む! 水や空気が入って出てくる!
出産による腟の緩みは、赤ちゃんが出てくるときに皮膚が伸ばされるということもありますが、骨盤底筋の筋力が落ちる、伸ばされるなどして緩むことによります。これは、帝王切開で出産された方も、妊娠中の重い子宮を支えていたことによる骨盤底筋の緩みなどでもみられることがあります。
湯船につかって、腟の中に入ってきたお湯がお風呂から出たあとに少し時間が経って漏れ出てきて下着を濡らしてしまうという経験をされている方もいるのではないでしょうか? また、腟が緩んでいることによって、性行為のペニス挿入中に腟内に空気が入りたまってくることがあります。下腹部に不快感があったり、腟からおならのように空気が漏れてくることが気になることがあります。
腟の緩みは、出産前との性行為時の感じ方に変化があったり、本人やパートナーも快感を得づらかったりすることもあります。腟の緩みは、時間の経過と共に改善することもありますが、腟の周囲の筋肉(骨盤底筋)をつけるために、体操をすることが効果的です。
性行為時に痛みを感じる!
1カ月健診で問題なく、性生活の開始の許可が医師から出ても、傷の痛みが続いている方もいます。性行為によって会陰部の傷が完全に開いてしまうことはありませんが、完全に治癒していない・傷痕が化膿している場合などは、縫合部分から血がにじむ、傷痕に痛みを感じることがあります。痛みを感じる場合は、無理に性行為することを避け、不安な場合は医師に相談しましょう。
また、出産によるホルモンバランスの変化や、授乳中のホルモン分泌、出産・育児によるストレスが原因で、以前よりも性行為時の腟内が濡れにくくなることがあります。また出産時の痛みの記憶や、会陰部の傷の不安により、腟内が乾燥することもあります。腟内の潤いが足りないことで性行痛の原因になることがあります。前戯に時間をかける、また潤滑ゼリーを使うのも1つの方法です。多くの医療機関でも性交痛の緩和方法として推奨されています。水溶性の潤滑ゼリーであれば、使用後は簡単に洗い流したり、拭き取ったりすることが可能です。ドラッグストアや薬局・薬店の避妊具コーナーなどで手軽に購入できます。
産後の性生活で1番大切なのは性生活の再開は心身の回復が順調であることで、時期は個人差が大きいものです。パートナーに、無理せず痛みや不快症状があるときは伝えられる関係性を築いていくことが大切かと思います。
<参考>
一般社団法人日本家族計画協会「産後の性生活Q&A」