新型コロナウイルスの感染拡大を受け、7都府県に出されていた緊急事態宣言の対象が全国に拡大され、安倍首相は「この緊急事態を1カ月で終了するために、人との接触を7割から8割削減することが前提だ」と述べました。それに伴い、不要不急の移動の自粛が強く求められ、それによって里帰り出産を予定していた妊婦さんにも影響が出ています。
日本産婦人科学会からもメッセージが
日々新型コロナウイルスの感染者数が増えるなか、当初里帰り分娩をする予定ではなかった妊婦さんが実家に戻り、出産を希望すると言うケースが出てきました。そこで、日本産婦人科学会は移動による感染リスクを考慮し、妊婦さんに向けて「急な帰省分娩の検討はぜひ避けてください」というメッセージを公表しています。
しかし、4月21日には、帰省分娩の予約をすでにされた妊婦さんも分娩予約をしている施設と相談の上、状況によっては現在住んでいる地域での出産を考慮してほしい旨のお願いを出しました。
出産する場所がない!
7都府県に緊急事態宣言が出された時点で、もともと里帰り出産を予定している妊婦さんに対して「受診2週間前の帰省」や「帰省後の体温測定で約2週間発熱がないことを確認した上での受診」などをお願いしていたり、緊急事態宣言対象地域や感染拡大地域からの里帰り出産を制限している施設がありました。
しかし、緊急事態宣言の対象が全国に拡大されたことで、里帰り出産自体を断る施設が増え、妊婦さんが出産する場所を失ってしまうという問題が起こっています。
行き場のない妊婦さんはどうしたらいい?
日本産婦人科学会では、現在住んでいる地域で出産施設を捜す際には、原則として自分で捜さずに現在健診を受けている担当医師と妊娠中の経過や合併症の有無などをふまえて相談し、決定するよう呼びかけています。
また、東京産婦人科医会では妊娠の週数にかかわらず、出産に対応できる施設のリストを4月17日にHPで公開したとのことです。このリストには合わせて123の施設が地域ごとに掲載され、ハイリスクの出産を受け入れられるかどうかも記されているそうです。また、JNNがおこなった日本産科婦人科学会の木村正理事長へのインタビューによると、大阪ではリストは公表はしていないものの、産婦人科医のなかでは出産が可能な施設がわかっているとのこと。
くわえて、そのインタビューで木村理事長は、妊婦さん自身が出産先を探して施設に連絡をするのではなく、「専門家のネットワークを通じて、そのような場所を探すということをやっていただきたいと思います」と話しています。
新型コロナウイルスの感染に対する不安に加え、突然出産場所を失ってしまった妊婦さんの不安は計り知れません。新たに出産施設を探すとなった場合、やはり妊婦さんのこれまでの妊娠経過を一番よく知っているのは、妊婦健診を受けていた産院の医師です。地域の施設事情もよく知っていると思います。まずは、これまで妊婦健診を受けていた産院に相談してみてください。全国の分娩取り扱い施設を検索できるサイトもあります。(※受け入れ可能な施設ではありません)。妊婦さんが安心して出産の日を迎えられますように。