新型コロナウイルスが一部地域で流行し始めた2月末、夫の辞令で家族揃って他県へ転勤しなければなりませんでした。しかも当時感染者が最多だった北海道からよりによって感染者0の県へ。引っ越しを通して困ったことが多々ありました。
北海道でコロナが流行のなか、他県へ転勤
2月末、北海道で新型コロナウイルスに何人も感染し始めたころ、家族全員で他県へ転勤することになりました。転勤先は当時感染者がまだ出ていなかった地域。同業者で感染者が出てしまっていたこともあり、私たち家族の引っ越しへのプレッシャーはかなりのものでした。
私たちが感染源になったらどうしようということはもちろん、差別や風評被害にあったら……という思いが強かったです。実際、私たちが引っ越す半月くらい前から、「他県民は観光や引っ越しで県境を超えてくるな」というSNSへの書き込みが出始めていました。
引っ越してみて、まず困ったこと
引っ越しの際、移動に3日かかりました。まず困ったのは、その移動中に紙資源の買い占めが起こったことです。引っ越しのため、紙類や生理用品は最低日数分のみ。移動中はニュースをあまり見ておらず、買い占めを知るのが遅くなり、引っ越し先に着いた早朝すぐに買い物へ出なければいけなくなりました。
また、引っ越しのあいさつ用に特に何も考えず北海道のお菓子を買っていましたが、「こんな時期に北海道から引っ越してきてすみません」と一言添えてあいさつしなければならないことに……。
何よりつらいのはSNSの差別
引っ越しで一番つらかったのは、周囲の目です。SNSや朝の情報番組の視聴者の声のコーナーで、「他県ナンバーが走っている。コロナを持ち込むな」「他県の人間は迷惑だから来ないでほしい」という投稿を何件か目にしました。
直接非難されたり嫌がらせをされたりすることはないとは思いつつ、小さい子どもを連れて他県ナンバーで出歩いていたら何が起きるかわかりません。慣れない土地でのそういったSNSによる非難が怖くて、最小限の買い出しもなかなか思うように行けませんでした。
新型コロナウイルスが世間で騒がれ始めたときに他県へ引っ越しとなり、自分たちが感染源になるかもしれず、そして周りからそういう目で見られるかもという不安がありました。実際には直接何か言われることはありませんでしたが、今でも「よそ者はコロナを持ち込むから来るな」というSNSの投稿を思い出して、居心地の悪い思いがします。
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著者:桜場紫
0歳女児の母。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する記事を執筆しています。趣味は読書、夫と週替わりで選ぶ映画の鑑賞。