こんにちは! 助産師のREIKOです。出産を控えて、陣痛ってどのくらい痛いんだろう、赤ちゃんは無事生まれてくるかな……なんて、思いを馳せているママもいらっしゃるかと思います。出産予定日はあくまでも予定日で、出産はいつになるかはわかりません。もちろん、ほかのママとお産が重なることだってあり得ます。お産が重なるのはよくあること? そんなとき病院のスタッフはどうしているのか、私が働いていた病院を例にお話ししたいと思います。
入院から出産までの流れ
産院によって、陣痛室と分娩室が分かれているところ、LDR(陣痛室から分娩室、産後の回復室の機能を兼ねているお部屋)があるところなど、さまざまです。
私が働いていた病院は、陣痛室・分娩室・産後入院のお部屋が分かれていました。陣痛が来たり破水で入院になると、陣痛室へ。そこでお産の経過を見て、お産間近になったら分娩室に移動、お産後2時間まで分娩室で経過を見て、問題がなければ産後入院のお部屋に戻るという流れでした。
大きな病院だからこその悩み!?
私が働いていた病院は、その地域では大きな施設で、正常分娩だけでなく、ハイリスクなケースも受け入れていました。また、産婦人科病棟ということもあり、お産以外にも検査や処置も分娩室でおこなわれていて、分娩室は2部屋、陣痛室は2部屋ありました。
検査や処置はあらかじめ日時が決まっているので、先生方が重ならないように調整しているのですが、それでも検査や処置が多い日もあります。そこにお産が加わったときには、分娩室の争奪戦!?が起こっていました。
いろいろ重なったときこそ!
検査や処置がなくても、お産が重なるときは重なります。そんなときこそ、助産師の先を見通す判断力と医師をはじめとしたスタッフとの協力が不可欠になります。日中は、それでもスタッフの人数が確保されていますが、夜間は日中と同じ人数とはいかないので、なおさらです。
お産が重なったとき、どのママの経過が一番早いか、検査・処置の時間の調整は可能か、今、分娩室で休んでいるお産後のママの経過に問題はないか……などなど、いろいろなことを判断して、お部屋移動をしていただくことも。
破水はしているけれどまだ陣痛が来ていないママは、いったん病室で経過を見たり、せっかく分娩室に入ったのに、思いのほかお産が進まず、陣痛室にいたほかのママのほうがお産が早くなりそうという場合は、申し訳ないけれどもお部屋をチェンジということもありました。
それでも安全第一で!
いろいろなことが重なったとき、助産師の頭と体はフル回転です。でも、ママたちの前では冷静に、そしてママと赤ちゃんの安全を第一にしていました。
私が今でも印象に残っているできごとは、破水で日中入院した6人のママたちに次々と陣痛が来て、夜勤の間に全員がお産になったこと、そしてこちらも夜勤でのできごとですが、分娩室も陣痛室もすべて埋まっている状況で、もうすぐ生まれそう!という経産婦さんがさらに入院となり、数分違いで3人のお産があったことです。
いずれのお産もスタッフ全員バタバタでしたが、ママも赤ちゃんも無事で、ほっとしたのと同時に何とも言えない達成感を先生やほかのスタッフと分かち合ったことを覚えています。
最近では、1カ月に取り扱うお産の件数を決めている産院も少なくありません。産院のスタッフはお産をはじめ、ほかのできごとが重なったときのことを常に考えながら、陣痛に向き合っているママたちの経過を見ています。「私のこと忘れられてるかも……」なんて心配はいりませんよ。
◆関連動画 出産ドキュメンタリー