フランスに移住してすぐに妊娠が判明し、何もわからないままフランスで出産・育児をしていくことを決めた私は、身内・友だちが近くにいない環境が子育てにこんなにも影響があるのかと痛感しました。私自身が寂しいのはもちろん、それ以上に息子の成長過程に関わることで、これほど自分が悩み落ち込むことになろうとは……。そんな私の体験談をご紹介します。
まさかこんなところに影響が…
「自分の家族や友だちには頼らないで、夫婦2人で協力し合えばやっていける!」と出産前は信じていた私。夫の家庭も複雑で、義父母には頼れない環境でした。産後は疲労と初めてのことばかりで私自身のストレスも強く、頼れない環境のつらさを感じながらもなんとか夫婦2人で乗り切り、子育てにも慣れて自信がついてきていました。
しかし息子が生後6カ月ころ、私たち夫婦以外の誰に会っても、怖がって泣きじゃくるように。知り合いの家に連れて行っても、家族以外の人が息子の顔を覗いた瞬間にギャン泣き。予想もしなかった息子の反応でしたが、「息子は私たち親以外の他人に慣れていない!」ということに気付いたのです。人見知りは多くの赤ちゃんが通る道だとは思いますが、そのときは初めてその様子を見て慌ててしまいました。
傷つく何でもない他人の言葉
フランスのママは生後3カ月から仕事復帰する方が多く、その間赤ちゃんはベビーシッターに預けられます。赤ちゃんも早い段階からの社会生活スタートで、人に慣れている子が多いのです。そんななか、私は仕事もないので息子を預ける理由もなく、夫が仕事に行っている間は車も運転できないため、毎日家で息子と私の2人きり。訪問者もないので田舎で孤立状態でした。
誰かに会えば怖がって泣く息子に「あ~人に慣れてないんだね。○○は人見知りすごいね、慣れさせないとダメだよ」と遊びにいくたびに人から言われるようになり、だんだん息子を連れて外出することが憂うつになってきたのです。
落ち込みふさぎ込みを経て気付いたこと
「私に家族や友だちが近くにいないせいで息子が人見知りと言われているんだ。でも、しょうがないじゃん!」とふさぎ込み、人に会うのが嫌になってさらに家から出なくなりました。人にたくさん会えば人見知りが治るというものではないかもしれませんが、「日本だったら私の家族や友だちにもすぐ会えるし、息子もきっと今とは違ったはず……。私のせいだ」と思い込んでしまって悲しくなり、あるとき夫の前で泣いてしまいました。
すると、夫から「ないことを言ってもしかたないよ。今あることで精一杯息子のためにやってあげようよ」と言われ、私は我に返ったのです。「悲しんでいても状況は変わらない。自分で動くしかないんだ」と気付き、積極的に人に会うように週末は息子と出かけるようになりました。
環境のせいで息子の人見知りがひどくなり、何も知らない人から指摘されることがとてもつらくストレスでした。「ここが日本だったらなぁ、日本に帰りたい!」と何度も思っていました。でも今は、息子も成長するし、私自身も外へ出て新しい人間関係を築き、息子に今よりももっと良い環境をつくってあげることができると信じて過ごしています。
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イラスト/塩り
監修/助産師REIKO
著者:岩見 エリ
1児の母。看護師歴12年、現在はフランスで出産し子育て中。