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「ハイハイをしない…」どこで相談すべき?将来への影響は?「シャフリングベビー」について医師が解説

赤ちゃんがハイハイを始める時期を過ぎてもしないことを心配しているママやパパのために、今回は「シャフリングベビー」についてお話しします。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。
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赤ちゃんの成長・発達

赤ちゃんの成長は、首がすわる(生後3~5カ月ごろ)→寝返りをする(生後5~6カ月ごろ)→おすわりが安定する(生後8カ月ごろ)→ハイハイをする(生後7~9カ月ごろ)→つかまり立ちをする(生後8~11カ月ごろ)→つたい歩きをする(1歳ごろ)→ひとりでじょうずに歩く(1歳~1歳6カ月ごろ)という順に発達することが一般的です。

 

早産で生まれた赤ちゃんは、明らかな障害や疾患がなくても運動や言葉の発達が遅く、あとから追いつくパターンもあるので、出産予定日を出生日として計算した修正月齢と照らし合わせて発達を評価します。

 

シャフリングベビーとは?

シャフリングベビーとは、ハイハイを始める時期を過ぎてもおすわりの姿勢のまま、おしりを浮かせて、両足でこぐように前進する赤ちゃんのことを言います。シャッフラー(shuffler)と呼ぶこともあります。日本では、医療者が親へわかりやすく説明するため、医学的な専門用語ではありませんが「いざり児」「いざりっ子」という言葉を使うことも多いです。ここからは、「シャフリングベビー」に表現を統一してお話しします。

 

シャフリングベビーは、非常に軽度の下肢の筋緊張低下があり、おすわりや歩行開始が遅いことがあります。寝返りやうつぶせの姿勢を嫌い、うつぶせにしてもすぐにあお向けやおすわりの姿勢になります。足の裏を床につけるのを嫌がるため、ハイハイをしないまま、つかまり立ちの時期が遅くなり、結果的に歩き始める時期が1歳半~2歳ごろに遅れることが多いです。シャフリングベビーの場合、ひとりでじょうずに歩けるようになれば、その後の運動発達は問題ないことが多いです。

 

しかし、一見シャフリングベビーと思える赤ちゃんのなかにも神経の病気が隠れていることもありますので、足をつっぱらないだけでなく、(1)母乳やミルクの飲みが悪く、泣き方も弱い、(2)首のすわりが悪く抱っこするとぐらぐらする、(3)表情の発達が乏しく、言葉の理解も遅い、(4)手指の発達が遅い、などが見られる場合は、念のため小児科医に相談されると良いでしょう。

 

シャフリングベビーの原因は?

なぜハイハイをせず、おすわりの姿勢のまま前進するのか原因はわかっていません。ハイハイが歩くために必要と思いがちですが、イギリスの小児科医ロブソンをはじめとする国内外の調査によると、ハイハイをしないシャフリングベビーは歩行開始が遅くなること、大きくなるまで見守ると運動能力などに問題のない子どもに育っていくこと、親や兄弟姉妹が似たような運動発達をしている傾向にあること、多くの赤ちゃんとは異なる運動発達の経過があっても異常ではないことがわかっています。

 

ゆっくり運動発達する赤ちゃんの診断と治療は?

10カ月健診の時点でハイハイするか、1歳6カ月健診の時点でじょうずに歩行できるかを医師がチェックします。それぞれの健診で運動発達に遅れがある場合は、専門機関へ紹介されます。専門機関へ紹介されると、ママやパパは不安と心配で落ち込むことがあるかもしれませんが、ハイハイや歩行開始が遅くても、将来的に何も問題のないこともあります。

 

しかし、ゆっくりと運動発達をする赤ちゃんに、筋疾患、脳性麻痺などの中枢神経疾患、運動失調、骨・関節疾患が見つかるケースもあります。専門機関できちんと発達の評価をしてもらうことで、赤ちゃんの発達に合わせた治療や遊び方のアドバイス、リハビリなどのサポートを受けられますので、親だけで悩まず、赤ちゃんの発達に詳しい専門家に頼ってみたりしましょう。

 

まとめ

月齢の近い赤ちゃんと一緒に過ごしたときや、保育園などで集団生活を始めたときに運動発達が遅いと親が気づくケースもあります。

 

もし、わが子を「シャフリングベビーかな?」と思ったら、保育園の通っている時期であれば保育士へ相談してみましょう。自宅保育の場合は、居住地の保健所や保健センターの保健師へ相談したり、子ども家庭支援センターや児童館の相談窓口を利用したりすることもできます。小児科を受診するのも一つです。子どもの発達について親だけで悩まず、早めに専門家に相談することをおすすめします。


【参考】
国立成育医療研究センター「乳幼児健康診査 身体診察マニュアル(平成30年3月)」
『乳幼児健診マニュアル 第5版』(福岡地区小児科医会・乳幼児保健委員会 編/医学書院)

楢崎修・楢崎明珠「1歳6カ月児健診におけるshufflingbabyの疫学的調査」(『脳と発達』1986年18巻 p484-489)
CHILD RESEARCH NET「【子どものからだと健康】第1回 ハイハイしない子ども」

一般社団法人大阪小児科医会「いざりっ子(シャフリングベビー)」

 

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    著者プロファイル

    助産師古谷真紀

    一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー。大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。

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