全国的に再拡大が見られている新型コロナウイルス。ワクチンや治療薬の開発が進められているなか、令和2年8月4日、13:15より大阪府吉村知事と松井大阪市長が共同会見をおこない、治療に効果的とされるうがい薬について言及しました。実は、このうがい薬、妊婦さんや授乳中のママは注意が必要なのです。
会見の内容は?
大阪はびきの医療センターが大阪府の宿泊療養施設の療養患者41名を対象におこなった研究において、「ポビドンヨードでの含嗽(うがい)によって唾液ウイルス陽性頻度は低下する」という結果が得られたということです。
その結果を踏まえ、宿泊療養施設臨床研究の拡大、患者受入れ医療機関等への情報提供などをおこなっていくとのこと。また、①発熱など風邪に似た症状のある方及びその同居家族 ②接待を伴う飲食店の従業員の方 ③医療従事者や介護従事者の方に対してポビドンヨードうがい薬によるうがいを励行するよう呼びかけました。
ポビドンヨードって何?
ポビドンヨードは、グラム陽性菌・陰性菌、真菌、結核菌及びHBV、HIVを含む一部のウイルスや抗生物質耐性菌などに効果を発揮する殺菌消毒剤です。医療現場でも、手術の際の傷口の消毒、手洗い、分娩時などで使用されています。
ポビドンヨードは経口投与はできないので、うがいをする際には「ポビドンヨードの成分を含んだうがい薬」を使用する必要があります。大阪はびきの医療センターがおこなった研究では、「ポビドンヨードの成分を含んだうがい薬」で、起床時・昼食前・夕食前・就寝前にうがいをおこなったということでした。
妊婦さん・授乳期のママは待って!!
大阪府知事の会見を受け、すでにポビドンヨードの成分を含んだうがい薬が品薄になっているようですが、妊婦さんや授乳期のママの使用には注意が必要です。
ポビドンヨードにはヨウ素が含まれています。ヨウ素は食品中に存在するミネラルで、体内で甲状腺ホルモンを合成するために欠かせないものです。甲状腺ホルモンには、体の発育や新陳代謝を促進させるという重要な役割があり、妊娠中は胎児の骨や脳の発育のためにも欠かせません。しかし、日本人は日常的にヨウ素を摂取しているため、平均的な食生活をしていれば不足することはほとんどないと言われています。そのため、「ポビドンヨードの成分を含んだうがい薬」でのうがいは、ヨウ素の過剰摂取に繋がる恐れがあるのです。
ヨウ素は胎盤を通過しやすく、母乳にも移行しやすいと言われています。ヨウ素の過剰摂取により、赤ちゃんの甲状腺機能が低下するおそれあります。そのため、妊婦さんや授乳期のママは「ポビドンヨードの成分を含んだうがい薬」の使用をさけたほうがよいでしょう。
今回発表された研究成果は朗報とも言えますが、まだまだ症例数が少なく検証の余地があると思われます。1日も早いワクチンや治療薬の開発が望まれるところですが、それまでは3密を避けること・手洗いの励行・マスクの着用など基本的な感染予防に努めることが重要です。一人ひとりが今できることをきちんとおこなって、日々過ごしていきましょう。