毎年のように豪雨災害が発生していますが、火災保険の加入内容によっては水害に対する補償がなされるものがあります。持ち家でも賃貸でも多くの方が火災保険に加入している一方で、加入内容までは把握されていない方も少なくないと思います。
今回は加入している火災保険が自然災害に対応できるかどうか確認していただくきっかけにしていただければと思います。
持ち家の場合
火災保険の加入時期や保険会社によって、火災保険の保険金が支払われる範囲(補償範囲)は異なりますが、最低限の補償範囲は、火災・落雷・破裂・爆発が対象で、2000年代に加入した火災保険であれば、風災、雹(ひょう)災、雪災までは補償範囲となっていることがほとんどと思われます。これに、保険料を上乗せすることによって、盗難、水濡れ(給排水の破損等による被害)、水災(台風や豪雨による浸水、土砂崩れ等)、汚破損、地震(津波、噴火、地震が原因の火災)の損害についても補償範囲とすることができます。まずは、お手持ちの火災保険証券を準備して、補償範囲の確認をしましょう。
河川の周辺や低地・窪地にお住いの人は水災による損害の可能性が高いため、水災も補償の対象とすることをおすすめします。また、地震に対する補償は火災保険に上乗せする地震保険でカバーします。地震保険は原則単独では加入できないため、火災保険と合わせて加入します。なお、補償期間の途中からの追加も可能です。
賃貸の場合
賃貸物件の火災保険は、火災等の事故が発生した際に大家さんへ賠償金を支払うための借家賠償保険(借家人賠償責任保険等の名称も)の意味合いが強く、入居や更新時の手続き時に加入されるため、内容までは把握していないケースが少なくありません。
実際には借家賠償保険に家財(家具、電化製品、衣服等)の火災保険がセットされているものが、賃貸の火災保険としては多く、この家財の補償範囲が、上記の持ち家と同じように保険ごとに決められています。火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災盗難、水濡れ、水災、汚破損、地震のどの災害を対象としているか確認をしましょう。なお、建物についての火災保険は大家さんや管理会社が加入しているため、賃貸物件を借りる方が入ることはほぼありません。
無駄なく適切に加入するポイント
火災保険は物件の購入や賃貸の手続きと同時に行うケースが多く、細かく内容を確認して加入されていない方が多い印象があります。そのため、無駄なく適切に加入・見直しをするポイントを4点お伝えします。
Point1
水災の補償はハザードマップを確認の上、浸水の可能性がある場合は加入を検討しましょう。逆に高台やマンションの高層階等で浸水の可能性がない場合は水災の補償は不必要であることがほとんどです。
Point2
地震保険は、地震による破損、倒壊以外に火災保険では補償が受けられない津波、噴火、地震が原因の火災も補償の対象です。地震保険は一部の少額短期保険を除く場合、火災保険にセットする方法で加入します。こちらもハザードマップを確認して、津波や噴火、土砂崩れの可能性がある場合は加入を検討しましょう。
Point3
更新時には、インターネット専用の保険会社を含めた他の保険会社でも保険料・補償内容を比較しましょう。なお、地震保険は政府が再保険を通じて関与していることもあり、都道府県・建物の種類・保険金が同一の場合は保険会社による保険料の差はありません。
Point4
盗難、汚破損はお住まいの環境により、要不要が異なります。セキュリティの高い住宅であれば、盗難の補償の必要性は少ないですし、人通りや交通量の多い場所であれば建物への汚破損のリスクが高まりますので、補償を検討しましょう。不要な補償が多い場合は中途で変更するか、更新時に削減しましょう。
梅雨の時期から、台風、秋雨前線の季節には、今までとは異なる量の雨が降る可能性があります。多くの保険会社では、火災保険の支払い事由が風災、雹(ひょう)災、雪災、水災であるということです。ゲリラ豪雨や台風が起きやすい季節になりましたので、ご加入の火災保険を確認することから始めてみましょう。