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おもちゃを貸せないとダメな子? 保育園でのほめ方・しかり方【遊び編】

保育士の中田馨さんが、保育園で実践している「子どもへのほめ方・しかり方」を教えてくれました。今回は遊び編です。遊びがなかなか終わる気配がないとき、散らかし放題・片付けないときなど、シーン別に詳しく解説!

おもちゃで遊ぶ子どものイメージ

 

こんにちは、保育士の中田馨です。「保育園で実践している、子どもへのしかり方・ほめ方」の第3回目になります。毎日子どもと過ごしていると「しかる」「ほめる」場面が多くやってきます。今回は、遊ぶ場面で保育士が現場で実際にどのような声かけをしているかをお話します。

 

良かれと思って言ってしまう言葉を言い換える

子どもが遊んでいるときに、良かれと思って言っている言葉はないでしょうか?

例えば、お友だちとのやり取りの中でよくあるのがおもちゃの貸し借り。「かして」「どうぞ」とスムーズに話が進めばいいのですが、多くが「かして」「ダメ!」となって貸すことができません。

 

このとき、ママは良かれと思って「もうたくさん遊んだんだから、貸してあげなさ
い」と言ってしまうかもしれません。でも、「おもちゃを貸せない」=「優しくない」と思わないでくださいね。楽しく遊んでいたのに急に「かして」と言われては、「はい、どうぞ!」とはなかなか言えないものです。

 

例えば大人も、ゲームをしている途中で「そのゲームおもしろそうだね。今すぐ貸してよ」っと言われたら「え?それは無理。終わってからにしてよ」と思うことでしょう。そうなんです! 子どもも同じ気持ちなのです。

 

そこで、言葉を言い換えてみましょう。「○○ちゃんも遊びたいみたい。どうする?」と聞いてみましょう。子どもによっては「あとでならいいよ」と言う子もいるでしょう。じっと考えているこの場合は、「終わったら貸せるかな?」と聞いてもOK。相手の子にも「今、遊んでいるから待ってね」と声をかけます。

 

しばらく2人の様子を見ていると、ついさっきまで怖い顔して「ダメ!」と言っていた子が、すんなりと「はい、どうぞ」と貸すことができるのです。貸すことができた子には「貸してくれてありがとう」とほめて、待ってた子にも「貸してもらえてよかったね」と気持ちを共感しましょう。

 

子どもの遊びがなかなか終わる気配がない

そろそろごはんの時間なのに、子どもの遊びがなかなか終わる気配がないなんてこと
が生活の中ではたびたび訪れます。「ごはんだよ」と声をかけても「イヤ!」と言ったり、ときには聞こえないふりをすることもあります。「イヤ!」と言われても「ごはんの時間です。早くしなさい!」としかる必要はありません。

 

前にも話したように、夢中で遊んでいるときに急に別のことを言われても「今は、そんな気分じゃない」と思うものです。そこで、声をかける方法を変えてみましょう。

 

例えば、ブロックや積み木など作る遊びをしているときは、「いっぱい遊んだね! それが完成したら、ごはんを食べようね」と、ある程度遊びを終わらせる目安を伝えます。作品を完成させて遊びが終了できたら、「自分で終われてえらかったね」とほめてあげましょう。

 

誘っても嫌がった場合は、「まだ食べたくないんだね。良いにおいするんだけど、チラリとごはん見に行ってみようか?」と言って誘ってみましょう。ごはんを見たらお腹がグーッとなって「食べるー!」と言うことも。

 

 

散らかし放題! 片付けない!

部屋中におもちゃを広げて散らかし放題、そして片付けない。片付けても片付けてもすぐに散らかすので「どうしたもんか」とママは思うでしょう。散らかる原因はいくつかあります。

 

片付ける場所が分からない

いつも片付けるところが違ったり、おもちゃ箱が違ったりすると、片付ける場所が分からない場合があります。まずは、おもちゃ箱と片付ける場所を固定させましょう。おもちゃ箱には、入れるおもちゃの写真を貼ると子どもにもわかりやすく片付けしやすいです。

 

一人ではまだ片付けられない

1〜2歳はおもちゃを広げる能力はあるのですが、まだひとりで片付けられない年齢です。「片付けなさい!」としかる必要はありません。「ママとお片付けしよう」と誘って、まずは、10個あるうちの1個でも片付けられたらOK!「片付けてくれてありがとう! ママ、助かったよ」とほめて、できた喜びを共感します。

 

ブロックなどは「ママは赤を片付けるから、○○ちゃんは緑をよろしくね」「すごい! お片付け早い!」と言って、お片付けゲームにしてもいいです。欲張らず、その子のペースで進めていきます。
 

片付けの習慣をつけるには、次の遊びに移る前に1個からでもいいので片付けるとい
う行動を親子で取り組んでみましょう。

 

友だちのものを取ってしまう

先ほど、おもちゃの貸し借りの話をしましたが、本気で欲しいように思えないのに友だちの物を取ってしまう場合。保育所でもよくあります。「ちょうだい」と言って譲ってもらうとすぐにその辺にポイっとしてしまう。「貸してくれた子がかわいそうだから、いらないんだったら、欲しいって言わないで!」と思ってしまいます。

 

ポイッとしたおもちゃを持って「これで遊びなさい!」としかってしまうかもしれませんが、このときに見てほしいのは、「なぜ、お友だちのものばかり欲しがるのか?」という点です。


・友だちと遊びたいけどどう遊べばいいか分からない
・親の気を引きたい

 

大抵はこの2つが原因です。どう遊べばいいか分からない場合は、友だちと自分の子どもの仲立ちになって遊ぶようにしましょう。親の気を引きたい場合は、「ママはあなたの子と見守っているから大丈夫よ」と態度で示すことも大切です。


「○○ちゃんがかわいそうだから、いらないんだったら欲しいって言わないで!」ではなく、「使わないなら、○○ちゃんに返そうか」と誘いましょう。返すことができたら、「返せたね」と言ってほめてあげましょう。
 

しかるのはこのときだけ!

遊びの場面でしかるのは3つだけでいいです。
 

●高いところにのぼったり、ケガをしそうな危ないことをしたとき
●友だちをたたいたり蹴ったり、傷つけることをしたとき
●公共の場で走り回ったりして、周りの人に迷惑をかけてしまったとき


これらのときは「ダメ!」と強くしかります。しかるときは、短い言葉を心がけます。ママの体で受け止める行動をする必要もあります。上記3つ以外の場合は、いかにしからずにほめる方向に持っていけるかがポイントになるので、どう言い換えたらいいかなと考えてみましょう。

 

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    この記事の著者
    著者プロファイル

    保育士中田馨
    一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長

    0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。『いっぺんに作る 赤ちゃんと大人のごはん』(誠文堂新光社)も発売中!

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