子どもに早期教育は要りません!なぜかって?その理由は…【3児ママ小児科医のラクになる育児】

2020/08/28 09:25
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東京衛生病院小児科の小児科医、私生活では8歳6歳4歳の子育て中という3児のママ小児科医保田典子先生のコラム。今回は、子どもの早期教育・知育について、子どもの発達の観点から解説していただきました。

 

こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では8歳、6歳、4歳の子どもを子育て中の3児の母です。今、世の中には知育に関する本やグッズが溢れていますね。生まれてすぐに通える幼児教室もたくさんあります。

 

早期の幼児教育については、小児科医師の中でも意見が別れる話ではあると思いますが、私としての意見は天才性を育てるような先取り教育に関してはあまり肯定的な考えは持っていません。子どもの発達の観点から、知育について解説します。

 

高IQ児のゆくさき

幼児教室の宣伝には「3歳までにやらないと手遅れになる」、「平均IQ150以上」などの文言などが飛び交い、早期教育の必要性をうたっています。

幼児教育が生まれてから少し歴史ができてきたのもあり、そのような高IQの子がその後どうなったかというデータも出てきています。

 

シカゴ大学ヘックマン教授らの「ペリー幼稚園プログラム」の研究によると、幼稚園時代にIQが高かった子どもも、8-10歳になるとその効果はなくなってしまうというそうです。

 

IQは同年代に比べて現在どのくらい認知能力があるか、という相対評価なので、早期教育をすると短期間、認知能力は上がるものの効果は長続きしない、ということでした。また、IQの効果は短期的だけれど、非認知能力を伸ばし、将来の学力や所得が良くなる傾向があるとも結論づけています。

 

人間は発達する生き物なので、先取り教育をしても放っておいても、段階的に子どもたちは発達していってくれます。焦らなくても、その子の成長を見守り、時に適切なサポートしてあげれば、子どもは能力を獲得していってくれるのです。


早期療育の効果は高い

他方で、言葉が遅いなど発達障害を疑われるようなお子さんに対して、早期療育をすると効果が高い、ということもわかってきています。そのため、1歳半健診で早期に発達障害の疑いのある子を見つけてあげて、早期療育につなげてあげようという取り組みが小児科の中では重要にもなってきています。

 

上のきょうだいがいる子の方が発達が早い傾向があるように、子ども同士の相互作用によって発達をうながすことができます。

 

子どもの発達にすごく大切な知育以外のこと

 

近年、愛着障害などの研究から、夫婦げんかが多い・DVがある・体罰を受けている子どもは、そうでない子どもに比べて脳の一部が萎縮したり、不安定で情動的な行動をとる(例えば精神的に不安定になったり、暴力的になる)ことが多くなることがわかっています。

 

子どもの行動や情動が不安定になることにより、成績や精神的な安定に影響が出ることも考えられます。

 

ひとり親はよくない、まったくケンカしない方が良い、という話ではなく、子どもが安心して過ごせる家庭を作ることが子どもの安定に繋がり、子どもの教育を効果的にすることができます。

夫婦げんかであれば、きちんと夫婦で「ごめんね」と言い合ったり、ギスギスした雰囲気を引きずらないなど、ケンカをしてしまったあとにどう振る舞うか、が大事です。

 

子どもの発達をうながす大事なポイント

1-3歳の子どもの発達をうながすために、大事にしたいポイントがあります。

 

① まずはライフスキルを身につけること

排泄(おしっこやうんち)、食事、睡眠などをきちんとするということです。1歳でおむつを外さなくてはいけない、というわけではもちろんなくて、トイレを自分で表現できるようにする方法を少しずつ声かけしていく、ということからでも大丈夫です。規則正しく食事をして、睡眠がしっかりとれていると、子どもの情緒が安定して、成長にも繋がります。

 

② 言葉のトレーニングをする

言葉が使いこなせるようになると、自分の気持ちや表現したいことが他人に伝えられるようになります。言葉が知能の第一歩になるのです。実際にしゃべる言葉が出なくても、自分の表現したいことができるようになってくる、というだけでも子どもの情緒の安定と成長につながります。言葉の発達が心配であれば、かかりつけの小児科医などにご相談ください。

 

まずは、親が安定していることが一番です

興味のないフラッシュカードを機械的に見せたり、やりたくないことを無理やりやることは子どものためにもならないと思います。子どもも親も楽しく教育ができて、安定した家庭環境で知育をすることができれば、すごく効果的な教育になると思います。

 

例えば、具体的な知育をする暇がなかなかなくても、日々の声かけを工夫したり、有効なほめ方をするだけでも知育とも言えます。親が安定していることが一番です。子どもの成長を喜んで楽しい教育ができるといいなと思います。

 

参考:
『赤ちゃんと脳科学』小西行郎(集英社新書)
『佐々木正美の子育て百科』佐々木正美(大和書房)
『「学力」の経済学』中室牧子(ディスカバー・トゥエンティワン)
『子どもの「10歳の壁」とは何か?』渡辺弥生(光文社新書)

 

著者

医師 保田典子 先生

小児科 | 医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師


医療法人アドベンチスト会東京衛生病院 小児科医師。株式会社メドイース 代表取締役。2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。


経歴

2003年 筑波大学医学専門学群卒業
大阪市立総合医療センター小児循環器内科研究医
国立国際医療センター小児科臨床研修指導医
東京女子医科大学大学院
2014年より東京衛生病院勤務
2019年株式会社メドイース創業

 

■専門領域
小児科専門医
子どもの心相談医

 

■所属学会
日本小児科学会
日本小児循環器学会
日本小児科医会
日本周産期新生児学



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