こんにちは、保育士の中田馨です。1歳~2歳ごろによくある友だちのとのトラブルのなかには「乱暴に関わる」ことがあります。具体的には、たたいたり、押したおしたり、噛んだりです。どちらも気まずい思いをしてしまいますよね。
今回は、友だちをたたいたり噛んだりしたときに、保育士が何をしているかをお話しします。
たたいたり噛んだりすることは異常ではない
まず、ママたちに知ってほしいことは、たたいたり噛んだりすることは異常ではないということです。1歳~2歳ごろの子どもは、まだ自分の気持ちを言葉で表現する方法を知りません。自分の気持ちを表現する手段として、たたいたり噛んだりするのです。よく「ストレスがあるのではないか?」などと周りに言われて、「自分の責任かもしれない」と思い悩むママもいますが、決してストレスだけが原因ではありません。
保育所でよくあるのは、下記のような場合です。
・おもちゃを取られてたたいた
・自分の遊びの世界に急に入ってこられてたたいた
・「イヤ」と何度か言っているのにしつこくされたのでたたいた など
子どもを見ていると、必ずたたく・噛むには何かしらの理由があります。なかには、正義感が強くて当事者ではないのにたたいたり、友だちが好きすぎて思わず噛んでしまった子もいます。でも、「友だちをたたく悪い子」というレッテルを貼らないでほしいです。これらの行為は、子どもの発達段階でよくあることとママたちみんなが理解し、その対応方法を知っていれば、子どもたちは過ごしやすくなります。
たたいたり、噛んだりしたときにしてはダメなこと
友だちをたたいたり噛んだりすると、周囲のママたちから白い目で見られることもあるでしょう。「噛んではダメ」と何度伝えても、その場では分かっていても、また次もやってしまいます。そうなんです。これらは1回しかっておさまるものではないのです。繰り返し、繰り返し起きることなので、ママも友だちがいる公園や児童館などに行きにくくなることでしょう。
このときに、子どもを一方的にしかり続けないようにしましょう。そして、ママが必要以上に落ち込まないようにしましょう。した側もされた側も両方とも傷つくので、両方の理解が必要になります。もし、頻繁に友だちとトラブルが起きそうなら、少しの間は集団に入らないと決めてもいいかもしれません。
たたいたり、噛んだりしたときにしてほしいこと
では、具体的に保育士がしていることを紹介します。AちゃんがBちゃんをたたいた(噛んだ)とします。
体で止めに入り短い言葉で伝える
その場面を発見したら、まず体で止めに入り、Aちゃんに「たたいたら(噛んだら)ダメ」と言います。しかるのは短い言葉でスパッと言います。ママとしてはいろいろ言いたいかもしれませんが、まだ言葉の理解が大人ほどできない子どもですので、いろいろな言葉を言うのではなく、ママが一番伝えたい言葉だけを言うのです。
気持ちに共感する
Bちゃんは他の先生がフォローしてくれていますので、次は気持ちの共感です。「おもちゃを取られてイヤだったんだね」と、Aちゃんのイヤだった気持ちに共感し受け止めることはとても大切です。
友だちに目を向けさせる
次に友だちに目を向けましょう。「Bちゃん、痛いって泣いているね」と、友だちが悲しい気持ちになっていることを伝えます。これは、Aちゃんが泣いて落ち着かない状態で言っても言葉が届きませんので、Aちゃんの気持ちが落ち着いてから、友だちが「痛がっている」ことを伝えましょう。ここでママと一緒に「ごめんね」が言えればいいですが、強制することではありません。
まずはママが「ごめんなさい」と言っている姿を見せるところから始めましょう。また、ママが謝っている姿を子どもはきちんと見ています。そのことがどんな意味なのかもなんとなく感じ取っています。ここまでできればOKです。
友だちに噛まれたときはどうすればいい?
友だちにたたかれた(噛まれた)ときはどうすればいいのでしょうか。おそらく一瞬の出来事ですので、子どもは当然のことながら、ママもビックリすることでしょう。まずは、痛くて悲しかった気持ちを共感します。そして、対応方法は上記と同じです。自分の子であれ他人の子であれ、なぜたたく(噛む)行為につながったかの気持ちを理解しましょう。
自分の子どもがおもちゃを取ったことが引き金だった場合は、たかれた(噛まれた)としても、自分の子どもに「おもちゃを取られて、友だちもイヤだったのよ」と伝えることも大切です。
最後に友だち同士のトラブルが多いときに気をつけるポイントです。
・子どもの遊びから目を離さない
・すぐに手の届く場所にいる
・子どもとのスキンシップを今まで以上に意識する
子どもには「たたく(噛む)ことはダメなこと」という意識がまだありませんので、周りの大人がトラブルを未然に防ぐことが大切です。
言葉よりも先に手が出てしまうのは今の時期だけ。子どもが「自分は悪い子だ」と思わないように気を付けつつ、感情の表現を言葉にできるようになるまで、長い目で見守っていくことが大切です。