こんにちは! 助産師のREIKOです。お産をしたことのある方ならご存知かもしれませんが、赤ちゃんの誕生が近付くと「いきみたい」という感じが出てきます。このいきみたい感じ、実は「うんちがしたい」という感じに似ています。そこで今回は、私が病院で働いていたときの話を交えて、もう少し“お産とうんち”について掘り下げたいと思います。
子宮と腸の関係は?
ママの体の断面を見るとわかるように、子宮と腸は隣り合わせ。妊娠前は、ニワトリの卵くらいの大きさの子宮がママの胃を圧迫するくらい大きくなるのですから、腸も影響を受けないわけはないんです。
ホルモンや大きくなった子宮の影響を受けて、妊娠中は便秘気味になったり、出産前には下痢気味になったりすることが多々あります。お産のときに、赤ちゃんの頭が下がってきて見えるようになるころになると、赤ちゃんの頭で圧迫された肛門も大きく開いて、腸の壁が見えることもあるんですよ。
陣痛が来たら浣腸する?
以前は陣痛が来て入院となると、浣腸をしていました。浣腸をすると、うんちが出て腸が空になり、赤ちゃんがスムーズに降りてこられるとか、腸への刺激によって陣痛が強まるとか言われていたのですが、近年そのような根拠がないということがわかり、浣腸をおこなわない施設が増えてきています。
私が働いていた病院では、便秘気味でお通じが出ていないというママには、医師の指示で浣腸をおこなっていましたが、ほとんどのママは浣腸せずに経過を見ていました。
ママ「うんちしたい」→助産師「それは赤ちゃんだから」
お産が進んでくると、赤ちゃんの頭が下がってきて、ママの腸を圧迫します。そのため、ママは、「いきみたい」「うんちがしたい」と訴えてくることが多くあります。でも、大抵はうんちではありません。
ママが「うんちしたい」と訴えると、助産師が「それは赤ちゃんだから。いきまないでリラックスしてねー」という会話がよく繰り広げられます。ホント、お産あるあるです。
うんちか赤ちゃんか!? それは内診をすればわかります。ママが「うんちがしたい」というときは、お産が進んでいることが多いです。なので、ママの「うんちがしたい」「いきみたい」は、助産師にとって重要なキーワードなんですよ。
いきむときは「かたーいお通じをするイメージ」で
分娩台に上がり、いよいよいきみ開始となったとき、いきみ方がわからないというママもいらっしゃいます。そんなときは、「かたーいお通じをするつもりでいきんで!」と声かけをすることが多くありました。
お通じをするつもりでいきめば、うんちが出てしまうのも仕方ないことだと思います。助産師にとっては、お産のときにうんちが出ることは、本当にめずらしいことではないんですよ。
パパに見られたらどうしよう!?
お産のときは、パパに立ち会ってもらいたいけど、もしパパに見られてしまったら……と心配になってしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか? 基本的に立ち合い出産の際、パパの立ち位置はママの顔の横あたり。ママのおなかや足には清潔なシートがかけられているので、肝心な部分はまったく見えません。
万が一、うんちが出てしまっても、涼しい顔で助産師が処理します。お産の際には、羊水や血液などのにおいもありますし、何より助産師が手早く処理するので、うんちのにおいもそれほど気になりませんよ。分娩台に上がったら、とにかく赤ちゃんを産むことに集中してくださいね。
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イラスト/マメ美