「横隔膜ヘルニア」という先天性疾患を抱えて生まれたお子さんを持つママの体験談をお届けする連載企画です。横隔膜ヘルニアとは、本来胸とおなかの臓器を隔てている横隔膜に生まれつき穴が開いており、その穴からおなかの中の臓器が胸の中に出てきて心臓や肺を圧迫してしまう病気。 おなかの子が横隔膜ヘルニアであると診断された妊娠中から出産までの出来事やママが感じた不安、生まれたお子さんの様子やその後の治療についてご紹介していきます。
友人に男の子のママが多かったため、わが家には息子の退院前からおさがりの服がたくさんありました。しかし、人工呼吸器や酸素吸入器をつけて生活をしていた息子は、どんな服でも着ることができるというわけではありませんでした。今回は、呼吸の補助が必要だった医療的ケア児の息子が着られた服、着られなかった服をご紹介します。
頭からかぶれない! 前開きはマスト
おすわりが安定し始める生後4~5カ月には、頭からかぶるロンパースなどに切り替えることも多いもの。しかし、息子の場合、呼吸の補助をおこなうチューブが邪魔になって、そういった服は着ることができませんでした。
また、お風呂から上がる際にカニューラ(酸素を吸入するための管)の装着などをおこなわねばならず、なるべく手間を省きたかったため、セパレートの服も除外。たくさんおしゃれなおさがりをもらっていたのに、結局呼吸の補助が完全に外れる1歳直前まで前開きのベビー服ばかり着せていました。
引っ掛かりそうで怖い! フード付きはNG
前開きのベビー服で意外と多い、動物やキャラクターになれるフード付きのタイプ。前開きということで着られないことはなかったのですが、結局かわいらしいフードも呼吸補助のチューブが邪魔でかぶれませんし、着脱のときにチューブがフードに引っ掛かってしまうこともあったため、着せていませんでした。
ただ、防寒にもなるような厚めのベビー服は、いただいたものだけでなく、自分で購入しようとしてもフードがないものが見つからず、冬の外出時だけはやむなく着せることもありました。
意外な盲点? 足つきカバーオールも×
2人目のときに大活躍した、あっという間に着せられて足先まで覆ってくれるファスナータイプのカバーオール。前開きでフードもなく、着せるのもラクなので息子のときも使う気満々だったのですが、意外な盲点がありました。息子の血中酸素濃度を測るモニターが付けられないのです。
血中酸素濃度のモニターは、足の親指にセンサーを取り付けて器械につなぐのですが、足まで覆うカバーオールだと足のセンサーから延びる配線を出すところがありません。また、センサーはよく外れるので、足先はすぐに出せるようにしておかなければならず、結局どんなに寒い日でも前開きのベビー服と靴下という形に落ち着きました。
たくさんかわいいおさがりをいただいていたので、着せてあげたい気持ちもあったのですが、呼吸の補助がついている間は見た目ではなく世話のしやすさが一番大切でした。前開きのベビー服は入院時や通院時に重宝するので、2歳になった今でも何着か捨てずにとっておいています。
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監修/助産師REIKO
著者:岩崎はるか
2女1男の母。両実家とも遠方のためワンオペ育児中。先天異常の影響で肺が片方しかない医療的ケア児を含む3人の子を育てた育児体験談のほか、大学院で農学を学んだ経験から食についても執筆。