予定帝王切開から産後まで
私は逆子のため妊娠38週で予定帝王切開となりました。手術中に大量出血し、急激に血圧が下がり、頭痛や吐き気、寒気などに襲われて、死を意識するほどの状態でした。
でも、本当につらかったのは術後です。アレルギーの関係で痛み止めが使えず、後陣痛に加えて傷口の痛みが数日間続きました。
身内に言われた心をえぐられる言葉
帝王切開による出産のため、9日間の入院生活の間に身内がお見舞いにきてくれました。久しぶりに知り合いに会ったうれしさで話がはずむ中、「帝王切開だと子どもを産んだ気がしないでしょ」と、心ない言葉が……。
その言葉を聞いた私は、術中や産後の大変だった様子を話すと、「痛かったの? でも、陣痛の痛みはわからないんだよね?」と言われ、悔しさのあまり何も言い返せず、心がえぐられる思いでした。
心の傷薬は“わが子の笑顔”
身内に言われた心ない言葉によって精神的ダメージを受けましたが、育児は待ってくれません。数時間おきの授乳やおむつ替え、沐浴に寝かしつけなど、日々が目まぐるしく過ぎてゆき、あのとき帝王切開で産んだ子が1歳になりました。
いたずらやイヤイヤなど、新たな悩みが増えていきますが、健康にすくすく成長してくれて、私に向ける100万ドルの笑顔を見ていると、赤ちゃんへのリスクを抑えた帝王切開手術が誇らしく思えるようになりました。
あのとき身内から言われた言葉は、体の傷跡を見るたびに思い出すと思います。ですが、わが子のためにおなかを切って産む出産も、まさしく命がけです。わが子を見るとおなかの傷跡も勲章のように思えて、少し誇らしく感じるようになりました。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
イラスト/sawawa
著者:上原りな
1児(女の子)の母。自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。趣味は、手芸、映画鑑賞、ネットサーフィン。